君の瞳でつかまえて 30 | 妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

嵐のニノちゃん、大野さんをイケナイ目で愛でる妄想小説ブログです。

残念ながら、ちょっと腐な感じです。

あくまでも妄想なので、生温かく見守ってくださいませ。









Side O








「おはようございます」


扉を開けると、牢屋番の兵士が立っていた。兵士は俺が羽織ったニノのユカタを見て、一瞬驚いた表情を見せた。


「どしたの?」


「…はっ…王子が、お呼びです。広間に来るようにと」


「へ?こんな朝早く?」


俺がびっくりして声をあげると、兵士は頷いた。


「西国の者も一緒に、ということでした」


「ニノも…」



本来なら牢からも出すことのない収容者を、王の広間に呼ぶなんて…



どういうことなんだろう。



おいらに任せる、と言った潤王子の気持ちが、変わったんだろうか。



もしかして、櫻井大尉に渡すためとか…



別の場所に移動させるため、とか?



思わず、兵士からは見えない位置にある寝台の上のニノを見る。起き上がって、不安そうにこっちを見ていた。


「わかった。すぐ行く」


兵士に告げると、俺は扉を閉めた。寝台まで戻って、不安げなニノに微笑もうとしたけれど、うまくいかなかった。


「王子が…お前連れて広間に来いって」


「え…」


ニノは顔をこわばらせた。

隣に腰掛けると、ニノの、膝の上で握り締められた手をぎゅっと握った。


「大丈夫。離れないから」


俺がそう言うとニノは目を伏せて頭を振った。


「あなたの立場が…悪くなるよ」


俯くニノの顎に手をかけて、唇に軽くキ  スをした。


「おいらのことなんか、心配しなくていいよ」


俺は昨夜ニノの手首から外して、寝台に放り出していた手  錠を手に取った。片方をニノの右手にはめる。


「ニノが左利きでよかった」


「あ…大野さん…」


俺は手  錠のもう片方の輪を自分の左手の手首にはめた。


「二人とも、利き手は使える」


「大野さん…」


手  錠に鍵をして、その鍵を寝台の脇の棚の、たくさんある引き出しの一つの奥の方にしまった。


「こうしとけば、簡単には離れらんないから」


俺は戸惑った顔をしたニノに微笑んで、髪を右手で撫でた。


「ここに、一緒に戻って来ない限り、絶対…一緒にいられる」


髪を撫でていた手で顔を引き寄せて、一瞬、唇を触れ合わせて離れた。


「大野さん…あの…」


ニノは、口を開いたけれど言いよどむ。その耳がほんのりピンクに染まっていた。


「なに?」


「…嬉しいけど……その……まだ…服…着てないから…」


言い終わったニノは真っ赤になって目を伏せた。


「……わあっ、そっか」


何も身につけていないままで、2人の手首をつないでしまっていて、俺は慌てて棚に視線をやった。


「あれ?どの引き出しにいれたっけ?」


「ふっ…ははっ…大野さん…」


ずらりと並んだ棚の引き出しを、片っ端から引っ張り出し探していると、背中からニノのころころと笑う声と、ふたりをつなぐ鎖の音がジャラジャラと聞こえてきた。