君の瞳でつかまえて 34 | 妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

嵐のニノちゃん、大野さんをイケナイ目で愛でる妄想小説ブログです。

残念ながら、ちょっと腐な感じです。

あくまでも妄想なので、生温かく見守ってくださいませ。







Side O







執務室の入り口が騒がしくなり、兵士が1人、慌ただしく駆け込んできた。


「潤王子、西国の…トーマ王子がお出ましになりました」


ニノと抱擁していた潤王子は身を離して踵を返すと、「すぐ行く」と短く言った。


「カズも来て?」


ニノはこくんと頷いた。不安気に見えるその顔を覗き込む。


「ニノ…」


「大野さん…」


思わず手を握る。


見ていた潤王子はにっと笑った。


「智さんも…って、ダメって言っても付いて来ざるを得ないか…」


潤王子はふたりの手錠を見て、面白そうにふきだした。


「智さん、カズを連れ去られないようにしっかり見張ってて」



そうか…



ニノはこの国の王子だけど…



西国の…トーマ王子の乳母子…



もう、取り調べなんか必要ないだろうから、櫻井大尉にニノを渡す必要はなくなったけど…



おいらは…この先、ニノと一緒にいられんだろうか…



一緒にいて、いいんだろうか…



「大野さん…」


黙ってしまった俺を、ニノはじっと見つめていた。もう一度、その手をきゅ、と握ると、俺は潤王子を追って広間に向かって歩き出した。


廊下に出ると、階段の踊り場から広間にいる人々が見えた。相葉ちゃんも兵士として駆り出されたのか、牢屋番の他の兵士達と共にそこにいた。西国からの人々は15人くらいの一団だ。


「トーマ」


ニノがその中の1人を見て名前を呼んだ。


「ニノ…大丈夫か?」


トーマと呼ばれた男は、ニノと俺をつなぐ鎖にちらりと目を走らせて、心配そうな顔つきになった。


「ニノ!大丈夫なん?」


「ニノ、なんもされてない?大丈夫?」


「ニノ、むかえにきたでー」


トーマの周りにいた西国なまりの男たちが、ニノを見つけていっせいに話し出して、ニノは左手で顔を覆った。耳が赤くなっている。


「ヒナ、ヨコ、マル…恥ずいってば…」


小さく呟くニノの脇から、潤王子がすっと前へ出て階段を下りていく。その後ろにぴったりと櫻井大尉が着いていた。

俺とニノも慌てて続いた。


階段を下りると、ふたつの国の王子達は静かに対峙した。