夜間飛行の暗い機内に、シートベルト着用サインが灯る。間も無く、激しい上下の揺れが始まった。
俺は膝にかけた毛布の上で手をぎゅっと握りしめた。
自分でも子供だな、と思うけど
揺れるの、ちょっと怖いんだよね…
あてがわれた座席の隣は空席だった。
隣に誰か
例えば、リーダーとか、
いてくれればよかったのに。
俺たちは、急遽降ってわいた、『 南国の島で写真集の撮影を行う 』という目的のため、東京からはるかかなた、南の島ゆきの飛行機に乗っていた。
マネージャーが割り振った、窓際の俺の席の右隣は空席だった。通路を挟んで、リーダーの座席。リーダーの隣がJで、俺の後ろに相葉さんと翔さんがいるはずだ。
みんな眠ってしまっているのか、機内は静かだ。
時折上下に揺れる機体のたてる音と、体ががくん、と下に落ちる感覚に、落ち着かない。
…と、通路を挟んだリーダーの席から、人がごそごそと立ち上がった。そのまま、通路を後ろへ歩いていく。
トイレかな…
リーダー、今立ったらダメなんだよ。
ベルトサインついてるだろ。
こんな揺れてんだから…
声をあげたかったけれど、後ろを振り向いたら寝こけている翔さんの顔が見えて口をつぐむ。
程なくして、大野さんは戻ってきて、機体の揺れにふらふらしながら座席に戻ろうとした。
危なっかしいなあ…
飛行機の中じゃなきゃ、
俺が、支えてあげられるのに。
じっと見つめていたら、やっと座席に収まって、シートベルトをごそごそと探す大野さんと目があった。
そのとたん、大野さんはぷっと吹き出して、シートベルトを探す手を止めて、立ち上がった。
慌てて、「座ってろよ」と言いかけたとき、機体はまた大きく揺れて、通路に立ち上がっていた大野さんは、ぐらりと大きく倒れて、俺の隣の空いた座席に滑り込んだ。
「あっぶな…バカ、座ってろよ」
「ふふ…そうだね、座ってる」
大野さんがいたずらっぽい笑みを浮かべて俺の隣の席でシートベルトを探そうとするから焦った。
「ダメだって、リーダー、自分の席じゃないと」
「や、揺れてっから…にのの隣の方がいいかなって…」
大野さんはそう言うと、見つけ出したシートベルトをカチンと締めて、座席に深くもたれた。
それは…
どういう意味なんだろう。
大野さんの顔を見つめると、気づいた大野さんは俺を見てニコッと笑った。
「揺れてんの、怖いでしょ」
首を横に振ることは、
簡単…なはずだったのに。
大野さんの顔を見ながら、俺は、なぜか、こくっと頷いてしまった。
ふ、と笑う大野さんの声にはっと我に帰って、顔が熱くなる。
「いつも、おいら達、隣に座ること多いのにね」
「そうですね」
そっか…
もしかしたら
大野さんが隣じゃないから
こんな、怖かったのかな。
そのとき、またがくん、と機体が大きく揺れた。
咄嗟に、俺が大野さんに向かって差し出した手を、大野さんはさも自然なことのようにぱっと掴んで、ぎゅっと握った。
「大野さん…」
「揺れが収まるまで、ここにいる」
俺の手を握ったまま、大野さんは毛布を自分の膝にかけた。
こんな揺れてんだから…
声をあげたかったけれど、後ろを振り向いたら寝こけている翔さんの顔が見えて口をつぐむ。
程なくして、大野さんは戻ってきて、機体の揺れにふらふらしながら座席に戻ろうとした。
危なっかしいなあ…
飛行機の中じゃなきゃ、
俺が、支えてあげられるのに。
じっと見つめていたら、やっと座席に収まって、シートベルトをごそごそと探す大野さんと目があった。
そのとたん、大野さんはぷっと吹き出して、シートベルトを探す手を止めて、立ち上がった。
慌てて、「座ってろよ」と言いかけたとき、機体はまた大きく揺れて、通路に立ち上がっていた大野さんは、ぐらりと大きく倒れて、俺の隣の空いた座席に滑り込んだ。
「あっぶな…バカ、座ってろよ」
「ふふ…そうだね、座ってる」
大野さんがいたずらっぽい笑みを浮かべて俺の隣の席でシートベルトを探そうとするから焦った。
「ダメだって、リーダー、自分の席じゃないと」
「や、揺れてっから…にのの隣の方がいいかなって…」
大野さんはそう言うと、見つけ出したシートベルトをカチンと締めて、座席に深くもたれた。
それは…
どういう意味なんだろう。
大野さんの顔を見つめると、気づいた大野さんは俺を見てニコッと笑った。
「揺れてんの、怖いでしょ」
首を横に振ることは、
簡単…なはずだったのに。
大野さんの顔を見ながら、俺は、なぜか、こくっと頷いてしまった。
ふ、と笑う大野さんの声にはっと我に帰って、顔が熱くなる。
「いつも、おいら達、隣に座ること多いのにね」
「そうですね」
そっか…
もしかしたら
大野さんが隣じゃないから
こんな、怖かったのかな。
そのとき、またがくん、と機体が大きく揺れた。
咄嗟に、俺が大野さんに向かって差し出した手を、大野さんはさも自然なことのようにぱっと掴んで、ぎゅっと握った。
「大野さん…」
「揺れが収まるまで、ここにいる」
俺の手を握ったまま、大野さんは毛布を自分の膝にかけた。