「君の瞳でつかまえて」の番外編です。
以降、お話はBL妄想となります
苦手な方はご注意くださいませ
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Side N
「カズ…ただいま」
大野さんの声がしたような気がした。
今、城にはいないはずなのに…
夢…?
俺…寝たんだっけ?
西国から持ってきた酒の瓶をあけたような記憶だけあった。
「カズ…」
ふわあっと笑う大野さんの姿は、白い背景に溶け込んで消えてゆく。
やだ…
ここんとこずっと、会えなくて…
すごい寂しかったのに…
また行っちゃうの?
「…和也様…」
まどろみの中、また、名前を呼ばれる感覚がした。
大野さん…?
…戻ってきたの?
「…和也様…」
やだ…
ふたりのときは、『様』なんかつけて呼ぶなって…いつも言ってんのに…
「様…やだ…」
ふわふわしたまま、かすれた声で絞り出すように呟いた。
「…和也…カズ…」
「ん…大野さん…」
名前を呼ばれると同時に肩を揺らされる。俺は自分の肩を掴む腕を抱き寄せた。ぎゅっと抱きしめる。
「あの…和也様…」
「戻ってきたの…?」
あれ…なんか…抱き心地…違う…
「ニノ…おまっ…」
あれ?
大野さんの声が少し離れたところから聞こえた。
「ん…」
眠い目をこすりながら目を開けると…俺が抱きしめていたのは
「涼介っ…」
「おはようございます」
ニコニコと満面の笑みを浮かべる小姓の涼介だった。
「ニノ…おまっ…何浮気してんだよ」
焦ったような、非難するような大野さんの声が聞こえて、そちらを見ると、きちんと軍の制服を着た大野さんが寝室のドアを開けて、唇を尖らせてこちらを見ていた。
「あ…ちが…間違えただけ…」
慌てて起きあがる。
涼介は目を細めて、ふふっと笑うと寝台をおりた。
「今日の朝礼は月イチの全軍招集だから早いんですよ」
…そうだった。
昨日まで3日間、大野さんが王室付きの植物研究所の野外調査に駆り出されて、会えなくて…
昨夜は寂しくなって、つい、西国から持ってきた酒を飲み過ぎてしまった。
大野さんはつかつかと寝台に近寄ってきた。
「今、こいつと抱き合ってたろ?」
大野さんの唇がむうぅととんがって、眉が寄った。
「ごめ…あの…大野さんだと思って…」
大野さんはばっと涼介の方を向いた。
「なんで俺とこいつ間違えんの?」
…だって…
和也って呼ばれてつい…
「ふふ…和也様は寝ぼけていらっしゃったんでしょう」
涼介がニコニコ笑って俺をかばうように言うと、大野さんはますますしかめっ面になった。
「さあさあ、早くお支度しないと間に合いませんよ」
ニコニコしたままの涼介は、俺と大野さんを遮るように間に割って入ると、手に持っていた俺の服を寝台に置いた。
「さ、僕一旦お部屋を出ますから大野さんも出てください」
「やだ!ニノの着替えんの見てる」
頰を膨らませた大野さんが、駄々っ子みたいに椅子に座ったけれど、涼介はさらりと言った。
「ダメです。大野さんがいると和也様の着替えがなかなか終わりませんから」
言われるなり、先日の朝のことを思い出して顔が熱くなった。大野さんも同じなのか、真っ赤になった。
「あれは…その…ニノが可愛くて…」
「可愛くて盛り上がってしまったと」
涼介は呆れたように笑うと、大野さんを促してドアへ歩いて行った。
「さ、早くお支度してくださいね、和也様」
ニコッと笑う涼介と対照的に、大野さんはふくれっ面だった。
どうしよう…
せっかく久々に会えたのに…
「カズ…ただいま」
大野さんの声がしたような気がした。
今、城にはいないはずなのに…
夢…?
俺…寝たんだっけ?
西国から持ってきた酒の瓶をあけたような記憶だけあった。
「カズ…」
ふわあっと笑う大野さんの姿は、白い背景に溶け込んで消えてゆく。
やだ…
ここんとこずっと、会えなくて…
すごい寂しかったのに…
また行っちゃうの?
「…和也様…」
まどろみの中、また、名前を呼ばれる感覚がした。
大野さん…?
…戻ってきたの?
「…和也様…」
やだ…
ふたりのときは、『様』なんかつけて呼ぶなって…いつも言ってんのに…
「様…やだ…」
ふわふわしたまま、かすれた声で絞り出すように呟いた。
「…和也…カズ…」
「ん…大野さん…」
名前を呼ばれると同時に肩を揺らされる。俺は自分の肩を掴む腕を抱き寄せた。ぎゅっと抱きしめる。
「あの…和也様…」
「戻ってきたの…?」
あれ…なんか…抱き心地…違う…
「ニノ…おまっ…」
あれ?
大野さんの声が少し離れたところから聞こえた。
「ん…」
眠い目をこすりながら目を開けると…俺が抱きしめていたのは
「涼介っ…」
「おはようございます」
ニコニコと満面の笑みを浮かべる小姓の涼介だった。
「ニノ…おまっ…何浮気してんだよ」
焦ったような、非難するような大野さんの声が聞こえて、そちらを見ると、きちんと軍の制服を着た大野さんが寝室のドアを開けて、唇を尖らせてこちらを見ていた。
「あ…ちが…間違えただけ…」
慌てて起きあがる。
涼介は目を細めて、ふふっと笑うと寝台をおりた。
「今日の朝礼は月イチの全軍招集だから早いんですよ」
…そうだった。
昨日まで3日間、大野さんが王室付きの植物研究所の野外調査に駆り出されて、会えなくて…
昨夜は寂しくなって、つい、西国から持ってきた酒を飲み過ぎてしまった。
大野さんはつかつかと寝台に近寄ってきた。
「今、こいつと抱き合ってたろ?」
大野さんの唇がむうぅととんがって、眉が寄った。
「ごめ…あの…大野さんだと思って…」
大野さんはばっと涼介の方を向いた。
「なんで俺とこいつ間違えんの?」
…だって…
和也って呼ばれてつい…
「ふふ…和也様は寝ぼけていらっしゃったんでしょう」
涼介がニコニコ笑って俺をかばうように言うと、大野さんはますますしかめっ面になった。
「さあさあ、早くお支度しないと間に合いませんよ」
ニコニコしたままの涼介は、俺と大野さんを遮るように間に割って入ると、手に持っていた俺の服を寝台に置いた。
「さ、僕一旦お部屋を出ますから大野さんも出てください」
「やだ!ニノの着替えんの見てる」
頰を膨らませた大野さんが、駄々っ子みたいに椅子に座ったけれど、涼介はさらりと言った。
「ダメです。大野さんがいると和也様の着替えがなかなか終わりませんから」
言われるなり、先日の朝のことを思い出して顔が熱くなった。大野さんも同じなのか、真っ赤になった。
「あれは…その…ニノが可愛くて…」
「可愛くて盛り上がってしまったと」
涼介は呆れたように笑うと、大野さんを促してドアへ歩いて行った。
「さ、早くお支度してくださいね、和也様」
ニコッと笑う涼介と対照的に、大野さんはふくれっ面だった。
どうしよう…
せっかく久々に会えたのに…
怒っちゃったかな…