苦手な方はご注意くださいませ
Side O
昨日背を向けて寝たはずなのに、朝目覚めると、俺の腕にニノが絡みつくようになって眠っていた。
額を俺の腕にくっつけて眠るあどけない顔は、今は中身が子供だということを差し引いても、やはり、同じ三十代には見えなかった。
思わず髪に手を触れるとニノはぴくっと動いた。
「おーのさん…おはよ…」
にこ、と目を細めて微笑まれて、朝からどきんと胸がはねる。
「起きる?」
そう聞きながら、ニノは起き上がった。もうちょっとうだうだするのかな、と思っていたから少しさびしい。
「今日もね、仕事なの」
「んだな」
「昨日…撮影、あんまりうまくいかなかったから、今日はがんばる」
ニノはきっぱり言うと自分からベッドを降りた。
昨日俺にはあんなに…甘えてたのにな…
「えらいな、ニノは」
「だって…俺のためにあんなにたくさん人いるんだもん。頑張んなきゃ」
そう言って微笑んで、パジャマを着替え始めるニノは、今度は子供には見えなかった。
俺も起き上がって着替えた後、仕事に行くために一緒に家を出た。
ニノとは別の現場で、夕方まで仕事をした。まだもう一仕事入っている。そのロケ地はかなり遠いらしく、撮影した後今日帰れるかどうか微妙なラインだった。
「一応、撮影が押した場合に備えて、ホテルは押さえてます」
泊まりか…
「ん…ニノはもう終わったんだっけ?」
マネージャーにニノの予定を確認してもらう。
「終わって、二宮さんのマネージャーが大野さん家に送ったみたいですよ」
「そか…どうしよ」
他のメンバーの家でもいいんだけど…
おいらん家にいてほしいな…
明日休みだし…ニノも…
もうニノの仕事は調整できないものしか残っていないらしく、大人に戻るのが待たれていて、明日は何も入っていないらしかった。
でも…
「さびしかった」と口にして、抱きついてきたニノの顔が頭をよぎる。
真夜中まで、ひとりにすんのはな…
それに…
真夜中に疲れて帰って、昨日と同じ展開になったら、我慢できる自信もなかった。
翔くんとこで預かってもらうかぁ…
俺はスマホを取り出して、ニノにメッセージを送った。
『今日遅くなりそうだから、翔くんとこ泊まって?後で、翔くんに確認して、オッケーならマネージャーに頼んで迎えに行ってもらうから』
送迎車に乗り込んで、翔くんにメッセージを入れようとしたとき着信があって、スマホ画面を確認した俺は驚いた。
ニノからだったからだ。