Sakura 32-1 | 妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

嵐のニノちゃん、大野さんをイケナイ目で愛でる妄想小説ブログです。

残念ながら、ちょっと腐な感じです。

あくまでも妄想なので、生温かく見守ってくださいませ。


BL妄想です
苦手な方はお気をつけくださいませ














「二人とも体はどう?」


二人が、こっそりくちづけしていたのを雅紀に叱られながら、やっと膳を食べ終えた頃、開け放たれた障子の影から、翔と潤が顔を出した。


「翔様…潤さんも…」


和は翔を見てまた瞳を潤ませた。


「ふたりとも先生に診てもらったよ。大野さんは完治まで時間はかかるけど問題ない。和はまだ痺れが残ってるって」


雅紀が答えると、翔は和と智の前に腰をおろした。


「和」


翔が和の頰に手を触れると、和はびくっと体を震わせた。


「大野さんから、和が毒を仕込んでいると聞いて…お前が倒れているのを見たときはもう終わりだと思った…」


和の瞳に涙が滲む。


「俺がどれだけ…肝を冷やしたかわかる?」


和を見つめる翔の瞳は優しかった。


「ご…めんなさ…」


くしゃりと和の顔は歪み、次の瞬間、和は翔の腕の中に抱き寄せられていた。


「もう、毒を服むなんて、しないよな?」


「翔様…」


和は翔の腕の中で、一瞬、その広い胸に頰をすり寄せて目を閉じた。和の小さな頭を翔は子供にするみたいにそっと撫でてやった。


「約束できる?」


翔が尋ねると、和は顔を上げて、涙を張った瞳でまっすぐに翔を見上げ、こくりと頷いた。


「よし」


翔は和を抱き寄せていた力を緩め、智の方に向き直った。


「大野さん、ありがとう。肩の負傷は、しばらくかかるだろうけど治るまでゆっくりして…今後のことは…」


翔は言葉を切った。智が眉を寄せ思い詰めた表情で、


「翔様、俺…」


と切り出したからである。しかし、智もなんと言えばいいかわからずその先は出てこなかった。和も、はらはらした表情で智を見つめている。


「わかってる。あの日から…やっと仇を討つことができたよね。今後のことは、体を休めながら、ゆっくり考えて」


翔は、七右衛門の屋敷で二人が話すのを聞きながら、自分は優秀な部下を二人失うことになるかもしれない、と予感していた。そして、自分ができないからこそ、二人にとってそれが最良の選択だと、わかっていた。櫻井家に生まれた以上、翔にとって忍びでいることは、人間であることと同義であるくらい覆せないことなのである。


「翔様、俺も…その…」


智同様に思い詰めた表情の和も、言いにくそうに切り出すので、翔はくすりと笑った。


「うん、和も…わかってる。でも、ゆっくり考えてほしい…そうだな…」


翔は考え込んだ。


「俺の故郷が上州なのは知ってるよね。草津に親戚が営む温泉宿がある。そこで湯治がてら、身の振り方を考えてきなさい」


「へ?」


止められたり、叱責されるかと思っていた智は間の抜けた声を出した。


「いいんですか…」


「痺れにも効く湯だと聞いている。和の体にとっても、うってつけだろう…文を書くから、二人で…行ってきなさい」


翔は『二人で』を強く発音した。


「そして二人で帰ってきて…聞かせてくれ。どのような答えであっても尊重したいと思ってるから」


智は神妙な顔つきで、


「は…ありがとうございます」


と呟くと目礼し、和もそれに倣った。


「それって…ふたりは…忍びをやめちゃうかもってこと?」


「相葉さん」


傍で見守っていた雅紀が声をあげ、潤がたしなめるように名前を呼んだ。