Sakura 39 | 妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

嵐のニノちゃん、大野さんをイケナイ目で愛でる妄想小説ブログです。

残念ながら、ちょっと腐な感じです。

あくまでも妄想なので、生温かく見守ってくださいませ。


BL妄想です
苦手な方はお気をつけくださいませ















(あっちぃ…)


蒸した空気に、智は目を覚ました。気を失うようにして二人、布団へ倒れ込んだまま眠ってしまったのだ。


部屋が縁側に続いていたことを思い出して、智は和を起こさないようにそっと縁側へ続く襖を開けた。縁側の木の扉も開けてしまうと、部屋にはひんやりとした風が流れ込んでくる。離れの部屋からは、部屋を囲む塀の向こうに、山々と白み始めた空が見えた。


(夜明け前、か…)


智は、乱れた浴衣を体に巻きつけただけで、仰向けに寝入っている和に布団をかけてやった。和はくうくうと寝息を立て、平和な顔で眠り続けている。


(俺は絵師になる)


智は和の顔をじっと見た。額に乱れた前髪がかかり、呼吸とともに上下していた。


(和と…生きてく…)


そう考えただけで、智の心には明るい光が差し、体には力がみなぎってくるようだった。


(あ…)


風に吹かれて、どこからともなく白い花びらが部屋に舞い込んできた。


(桜…か…)


江戸の桜はもう散ってしまったが、江戸よりも北にある上州ではまだ咲いている木があるのだろう。部屋に舞い込んできた花びらは、寝ている和の額に、頰に、はらはらと落ちた。


(そうだ…あの絵に)


花びらを散らせようと、智は和を見ながら思った。あの絵とは、智が和と初めて体を重ねた後に描いた和の絵である。どこかを見つめる和の絵。その和に、桜の花を散らせるのである。


(そしたら…何度だって)


自分はその絵を見るたびに思い出すことができるだろう、と智は思い目を閉じた。


和と巡り会い、
共に戦い、
共に生きて行くと決めた


この麗しい季節のことを。


そして、その絵は、
たとえ自分が絵師として成功をおさめ、
誰かから請われたとしても、


決して、




決して、手放したりしない。





智がそう決め、目を開けて和の方を見ると、ちょうど吹き込んだ風で和の頰に乗っていた花びらが舞うところだった。

花びらは、風に舞い、部屋を飛び出した。

智がしばらく目で追っていると、花びらはやがて、白み始めた空の向こうへ引き寄せられるように、離れを囲む塀をひらひらと、軽やかに飛び越えていったのである。














…fin.












ここまでお読みくださいまして
ありがとうございました!

あとがきはまた
別途書かせてくださいませ(*´ω`*)


よろしければ一言残してくださると喜びます(^-^)/