前書いたお話の続きです。
そもそもシーズンとか言うほど長くない(^▽^;)
シーズン1(笑)はこちら↓
ではー☆
Side N
これかぁ…大野さんが「着てて待ってて」って言ってたの…
つい先程、宅急便の爽やかなお兄さんが「お届け物ですっ」と届けてくれた包みを開けて、俺は茫然とした。包みの中身は淡いピンクの、透け感のあるエプロン。肩紐やスカートの裾にフリルのあしらわれた王道のデザインだ。
肩紐部分をつまんで上に持ち上げる。さらさらと広がっていくスカートのフリルが可憐に揺れた。
こ、これを…俺が…
恥ずかしすぎるんですけど…
俺は今朝の大野さんの言葉を思い出して、ごくりと生唾を飲み込んだ。
今日、誕生日の俺の旦那さんーー大野さんはあいにく休日出社だったのだ。朝出かける時、にこにこしながら俺に言った。
「今日、カズにお届けものが来るんだけど…服でね、それ『だけ』を着て待ってて欲しいの♪あ…寒くないように暖房はつけてね」
それ「だけ」ってことは…
すなわちこの場合エプロンだけってことで…
もしかしなくても 裸 エ プロンですかーー⁈
俺は、その言葉の後にダメ押しみたいに言われた言葉も同時に思い出して、くらりとなりそうになるのを堪えた。
「今言った格好してないと、帰ってこないからね」
うう…
やっぱりこれが、
新婚さんってやつ…
事の発端は、先々週の金曜日、恥ずかしいことをいっぱいされて、一緒に気持ちよくなってベ ッドでまどろんでいた時のことに遡る。
「ね…大野さん…もうすぐ誕生日だね」
「あー…そうだな…11月か…」
大野さんは本当にそのときまで忘れていたようで、思い出すようにゆっくり呟いた。
「あの…何か欲しいものある?俺、会社行ってた時の給料、ちょっとだけなら貯めてあるから…」
本当はちゃんと手堅くがっつり貯めていた俺だけど、そういう真実は伏せておいた方がいいに決まっているので過少に申告する。
「あぁ…それならさ、俺欲しいもの…ってか、して欲しいことあんの」
んふふ、と不敵な笑みを浮かべて大野さんは俺を抱き寄せた。
この顔は…何か企んでるな…
「カズは俺の誕生日まで何も買ったりしなくていいし、何もしなくていいから…誕生日に俺のお願い聞いて?」
「う、うん…ぁ…」
大野さんの手が再び俺の 体 を ま さぐり 始める。俺は一抹の不安を抱えたまま、その手に息を 乱 していったのだった…
そして今日がその誕生日。俺は時計を見た。今日、大野さんはスマホを忘れていったから、正確な帰宅時間を伝えてもらうことができないのだけど、予定ではあと1時間くらいで帰ってくると聞いている。しかし、休日出勤の日は仕事が終わったらすぐ帰ってくることも多い。大野さんが帰って着た時に、コレを着るのが間に合っていなかったら…
『着ていなかったら帰ってこない』と言い残していったけれど、俺の姿見てる時点で帰って来てるからね…
そんな風に考えて、笑いがこみ上げてくる。でも、誕生日だし、大野さんを喜ばせてあげたいな、と思った。
よし、俺も男だ、着よう。
俺はエプロンをそっとそばに置くと、着ていたロンTに手をかけた。