プレゼントの包装を駅のホームでやってたの。

本を袋に入れてたんだけど
隣のおばあちゃんが、チラ見ってよりガン見。

『可愛いわねー』

本も袋も可愛いという。
『えへへ』照れ笑いを挟んで、会釈。

そして、袋のひもを結ぶ時に
『ソコはウンヌンカンヌン』と結び指導が始まった。

これだけ他人が増えて、
できるだけ関わり合いを持たない人が増えてるのに、
そっと差し伸べるようなやさしさを出す、おばあちゃんだ。

『おばあちゃん、これで良いんだよ』

せっかくの指導をあんま参考にしなかったけど。
フランクな感じで、良い出会いだった。

でも、自然に振る舞えるばかりじゃない。

鎌倉のカフェでは、
席を探してフラフラした僕に
おじいさんが『どうぞ』って相席を薦めてくれた。

一瞬、面倒だなって思ってしまう自分が大嫌いだ。

『他人を減らせ』と言いつつ、
自分もバッチリその『他人無視』社会に馴染んでるじゃないか。

おじいさんの薦めを受け取り
一緒にちょいちょいコーヒーを飲んだよ。

高校生の頃は
京急の電車の中で、隣の人に話しかけても
すんなり話してくれたもんだった。

ライブのポスター写真を選んでて
4枚の中から1枚を選びきれず、隣のお姉さんに聞いたんだよ。
すんごい真剣に考えててくれたもんね。

時代は変わって、
『昔は良かったじゃないけども』
失ったフィーリングを懐かしんでも
今を生きる僕は、まったく時代に飲まれてる。

コンビニで長話をレジで繰り広げる
おじさん、おばさんたちに対してもさ

昭和の商店にいるジジイのような
店主になりきろうじゃないか。

たまにはね。