お元気ですか?
今日は朝からウルウル。
ついにオバマ大統領は、私の夢を叶えてくれました。
過去にヒロシマを訪問した米政治家では、当時下院議長だったナンシー・ペロシが最高位でした。
下院議長は、副大統領に次ぐ大統領継承権を持つ要職です。
ペロシ議長が訪広した時も、私にとっては感慨深いものがありましたが、時は奇しくも2008年の大統領選の真っ只中。
すでにオバマが民主党候補に決まっていた時期です。
私は、もしも本当にオバマ大統領が実現するなら、ぜひヒロシマを訪れてほしいと願っていました。
現職の米大統領がヒロシマを訪問するのは、オバマ以外にいないような気がしていたのです。
なぜこれまで現職の米大統領がヒロシマを訪問しなかったかというと、それはもう様々な思い入れがあるわけで…。
第1に、日本が大戦中に侵略したアジア諸国への影響、というものがあります。中国やら韓国の神経を逆なですることはない、と安全牌を取ってきたわけです。
第2に、原爆投下を許可したトルーマン大統領は、「原爆投下したことによって戦争の終結を早め、それによって被害者の拡大を防いだ」と投下を正当化しました。以来、学校でもそう教えてきました。
長男が高校の時、この件で歴史の教師と揉めたことがありました。長男をヒロシマに連れて行ったのは、ちょうどその前年でした。
そういう状況の中で、謝罪するのどうのという意見が出てくると、アメリカサイドでは「ちょっと待て。戦争を仕掛けたのはそっち」という声が出るのは当然で…。
政治家としては、何もそういう繊細な問題に、わざわざ首を突っ込みたくないわけです。
でもオバマなら、政治的な要素よりも、世界平和に向けて重要なことを選んでくれるのでは、と期待していたのです。
アメリカ人の友人でも、平和記念資料館に行ったことのある人は、戦争に対する見方が変わったという人がほとんど。
ある友人は、
「父は行きたがらなかったのだけど、実際に展示を見て以来、人が変わった」
とも。
アメリカは現在も、最強の軍力を誇る核大国で、米大統領は世界で最もパワフルな人物。だからこそ、ヒロシマを訪れる意味は大きいと思っていました。
謝罪するとかしないとかのレベルではありません。
現職の米大統領が、世界で唯一の戦争による被爆地ヒロシマを訪れるのは、核の脅威を再認識して、核撲滅を目指すために避けては通れない道のような気がしていました。
誰が悪いとか、誰が正しいの問題ではなくて、戦争は醜くて残酷だということを忘れないために、核投下の恐怖を風化させないために、世界最大の核大国であるアメリカの大統領は、ヒロシマを目で見て、被爆者の話を耳で聞いて欲しかった。
オバマ大統領の訪広が、こういう言い方をすると大袈裟に聞こえますが、ひいては世界平和への第一歩に繋がることを願わずにはいられません。
大統領も演説の中で語っていましたが、世界平和なんていうものは、生きている間に実現するとは思えません。でもこれがその第一歩になれば、という大統領の願いが込められていたような気がします。
日本に住んでいると、戦争といえば第二次大戦を指すかもしれません。でもアメリカで「戦争」というと、「どの戦争?」と問わなければなりません。
第二次大戦後も、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、そして今世紀に入ってでもすでにイラクとアフガニスタンという2つの戦争に直面してきました。
オバマ政権下でも、シリアやイランなどは一触即発の状態でした。
アメリカの歴史を振り返ると、いかに「強い大統領」が求められているかがわかります。
カーター大統領時代にイランのアメリカ大使館が占拠され、職員多数が人質に取られるという事件がありました。
人質が解放されるまでの444日を、アメリカ国民は驚きと屈辱で、息を呑んで見守りました。
カーター大統領は、結果的にこの時の不手際が尾を引いて、2期目の選挙をレーガンに敗れました。
レーガン大統領は当然、強いアメリカを全面に押し出し、以来「強い大統領」が望まれてきました。
シリアやイラン危機の時、オバマ大統領は、まず話し合いで解決しようとしました。
それに対し、一部の国民は、
「なんて弱々しいんだ。オバマは弱すぎる。だからプーチンにもしてやられるんだ。もっと強いリーダーがアメリカには必要だ」
と声を荒げました。
アメリカ人が全員そうというわけではありませんが、何かあるとすぐに軍事力を駆使することが最良の解決策だと考える人が多いのも事実です。
なぜ話し合いで解決することが弱いことになるのか、私には不思議でなりません。それが「外交」というものですよね。
結果的にオバマ大統領は、いずれも戦争を回避しました。
なのにその成果は賞賛されないという、見ていて気の毒になるような状況でした。
「戦争をしない勇気」は、評価されにくいお国柄なんですね。
でもオバマのことだから、
「そんなことは重要じゃない。戦争を回避することが重要だったんだ」
と言うような気がします。
オバマ大統領のスピーチに大泣きしましたが、被爆者とハグする光景は、胸に迫るものがありました。
私はヒロシマの平和資料館でも泣きながら展示を見たし、パールハーバーのアリゾナ記念館でも胸に込み上げてくるものがありました。
ホロコースト博物館でも大泣きしました。
国境のどっち側にいるかは関係ありません。
どっちにいても、戦争は残酷で醜いのです。
どっちも被害者であり、加害者なのです。
だから戦争は、あらゆる手段を駆使してストップしなければならないのです。
世界中の子供たちが、世界中にある戦争記念館を訪れることができたら、と願います。
そうすると、戦争には勝敗のないことに、気づくのではないでしょうか。
戦勝国も敗戦国も、戦争がある限り被害者がいて、被害者がいる限り、実はどっちも負けしかないのです。
戦争に勝ちはない。負けしかない。
世界中の子供たちが、醜い戦争の実態を知ると、いつの日か平和な世界が来るかもしれません。
ジョン・レノンの「イマジン」が耳の奥で流れています。
「平和にチャンスを与えよう」と謳ったのもレノンでした。
All we are saying is give peace a chance.
では、お元気で!
Have a nice day!