今日は父の誕生日。
生きていれば、69歳になるはずだった。


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9/3(木)17時頃
母から電話がかかってきた。
お父さんが危ないから早く帰ってきてって。

泣きそうなお母さんの声って
いつぶりだったんだろう。

23時頃、広島着。

お父さん落ち着いたし
今、急に私が病院行ったら驚くかもだから
今日は来なくていいと連絡がきた。

父は、死期が迫ってることを知らないんだな
ってそれで把握した。

まぁ、急すぎた展開で
その日まで誰も知らなかったんだけど。

一番びっくりしてたのは
お母さんだったのかも知れない。


9/4(金)
お父さんの病室へ。

たしかに初めて見る、管だらけの父。

でも、本当に峠だったの?って思うくらい
普通に元気。
(元気ってなんだ)

何気ない会話をする。
できるだけいつも通りの日常会話。

マイペースにクロスワードパズルとかもしてた。

この調子なら、
日曜には東京帰れるなって思ってた。


9/5(土)
昨日と変わらず。
でも、昨日よりはやたら背中を痛がってた。

明日東京戻るつもりだから
後悔ないように話してこう
って思いつつも…

元々あまりしゃべらない父だし
相変わらずそんなには話さなかった。

状況をよく分かってない1歳の甥っ子が
みんなの癒しの中心だった。

でも、昨日と変わらず安定はしてたから
お昼ごはん食べて帰った。

23時半、病院から電話が。
また容態が悪化してきたと。

輸血をしてみて変化がなかったら
また電話しますとのこと。

一応、すぐ出れる準備して寝た。


9/6(日)
7時頃、病院から電話があったので向かった。

苦しそう。
看護師さんの人数も多い。

大丈夫?って聞いても
うん、と首をうなずくことしかしない父が
自らの意思で弱々しく発した言葉は
「あそこの棚にカード入ってる」
という業務連絡(笑)

カードは、病院の冷蔵庫を使うためのカードで
そんなに重要なものでもない。

そんなことを伝えるくらいには
大丈夫なんだなって
そんな状況でも思ってしまった。

お母さんと私で
父をさするくらいしかできなかった。

でも、ある看護師さんが
「岡崎さん頑張って!」って言ったから
そのときやっとそうなんだと思えた。

ただ、どうしても頑張ってとは
言えなかった。

だって、それじゃまるでお父さんが死ぬみたい。

その言葉で逆に
自分の死を覚悟しちゃうかも知れないじゃん。
…とか思って。

妹はまだ病院に着いてなかったから
もうすぐ妹着くよ!
とかそういうことしか言えなかった。

看護師さんたくさんいるけど
具体的に何か処置しようとしないから
まだ大丈夫なんだって
そんな状況でもそう思ってしまってた。

そう信じたかっただけかも知れないけど。


ある看護師さんがあることをしたら
ますます苦しそうになった。

それから十分経ったのか経たないのか
そのまま息をしなくなった。


眠るように息を引きとるんではなく
全身で息をしたがってるのにできない
苦しそうな顔で死んでいった。


思えば
私は死の瞬間を見たのは生まれて初めてだ。

あの父の最後の顔は一生忘れられないし
あの病院での1時間半も一生忘れられない。

…忘れないためにもここに書いた。


本当は、医療ミスだったんじゃないか?
って思うこともあったんだけど
それ書いても父が戻ってくるわけでもないし。
※一つだけ誤解ないよう言っておくと
延命治療はしないという話になってたらしい。後で知った。

あのとき、あの場に居合わせた
父と私の共通認識でいいかと思ってる。
(母はそのとき主治医と別の部屋にいた)



あれから3週間。
あっという間だな。


東京で過ごしてると
父が生きているときと何ら変わりない日々だ。

ただ、泣きはしないものの
父のことを考えない日はないかも知れない。

うーん、どうだろか?
そうでもないのかな。美化してるかな。

でも、生きてるときよりは
確実に思う時間が増えた。

皮肉なもんだ。


父が癌になってから
そんなに連絡取り合ってないことが
気にはなってた。

もし死んだら、連絡取り合わなかったことを
後悔するのかな?って思ってた。

でも、元々連絡しても
やり取りを続けようとする父ではなかったから
急に頻繁に連絡するのも
父の死を勝手にこちらが覚悟してるみたいで
それが伝わるのも嫌で
今までよりほんの少しする程度だった。


だけど、後悔したのは
そこじゃなかった。

お父さんが苦しそうにしてた
約2時間。


お父さんに死を覚悟させたくないからとか
医者が処置しないってことは大丈夫なんだろうとか
人の思いや行動を予測して我慢するんじゃなく

なりふり構わず大声で
頑張って!って言えばよかった。
まだいかないで!って叫べばよかった。

そしたら、その声と熱意が届いて
せめて妹が間に合ったかも知れないのに。

我に帰って取り戻したかも知れないのに。
だった。

こんなときでさえ
こんなにも私は自分の想いを表現するのが
下手くそだ。

嫌んなるね、まったく。



ちなみに。

こーゆー記事を書いてはいるけど
私はいつも通り元気です。

少しは気落ちして痩せればいいのにw



さて。
私はこれからどう生きようかね。

ときどき相談させてね、お父さん。
お誕生日おめでとう🎂