12/25 銭湯とイブ

 
昨日は謎のクリスマスイブを
中学から仲の良い友だちと過ごすことができて幸せだった
 
 
気の許せる仲間たち
 
みんな恋人のように
大切にし合っている
 
 
 
昔のぼくには考えられないことだ
 
クリスマスマジックってやつかな
 
 
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【クレイジークリスマス】
何かクレイジーでオシャレなことをしよう
と誰かが言って
 
"スーツ姿で電飾を巻きつけて過ごすクリスマス"
 
という企画が始まった
 
 
 
 
うん
よく分からない
 
 
 
 
よく分からない先に
本気になれる何かが
待っているんだろう
と自分に言い聞かせた
 
 
 
そしてまず
 
 
就活生さながらのスーツ姿の5人は
渋谷のウィンディーズに入り
コンセントのあるスペースを
陣取った
 
 
何やら変なものを取り出すぼくらに
周りの客は若干引き気味だった
 
 
 
コンセントの光をお借りして
イルミネーションを光らせたぼくらに
 
 
店員さんが一言
「お食事以外のご利用はご遠慮ください」
 
 
 
 
 
 
ぼくはとりあえず
 
LEDの光を食べた
 
 
 
 
【美味しい光】
 
よく分からないけれども
普通の電球よりも
LEDのブルーライトは美味しかった
 
 
視覚と味覚が共鳴して
クリアで爽やかな味がした
 
 
それに比べて
暖色系のランプは
甘いキャンディのようだった
 
 
 
 
「エネルギーだもんな、光も」
と友だちが言っていた
 
 
 
 
 
うん
よく分からない
 
 
 
 
よく分からないから
感覚が鋭くなって
美味しいと感じたのかも
 
 
いや まじで
 
 
 
 
 
【じわる】
 
だんだんと電飾も
ウィンディーズに溶け込んでいき
周りの客も気にしなくなる
 
 
さすがにチカチカするかなと
 
コンセントに繋ぐことに
若干迷いのあったぼくを横に置いて
 
 
友だちが
当然かのように電飾を輝かせる
 
 
 
 
なるほど
喉元過ぎれば熱さ忘れるとはよく言ったものだ
 
人は最初の刺激には敏感で
あとは慣れるような身体の作りが備わっているんだな
 
 
 
 
そんなことをしているうちに
 
体に電飾を巻き付け始めた5人
 
 
 
ついにはコンセントに繋げて
 
恒例の自撮り
 
 
 
 
 
 
また
 
カメラを回して
 
それぞれの役を決めて即興コント
 
 
その様子はきっと仲間の1人が
クレイジーで素敵な動画にしてくれるだろうから
お楽しみってやつかな
 
 
 
 
 
 
目の前のカウンターテーブルには4人
女性2人組×2がいたんだけど
 
 
そのうちの
ぼくらを間近でみていた2人は
「じわるw」とだけ言って
また2人の会話に戻ってくれた
 
 
 
もう1組の方はもう唖然としていたらしい
 
そして元通り無口なままスマホをいじっていた
 
 
ぼくの友達は
逆にそのことに唖然としたようだった
 
 
 
 
 
【銭湯】
 
その夜
 
ぼくらはスーパー銭湯に寄ったのだけど
 
 
 
貸切状態の露天風呂で
湯気と会話をしていたぼくの処へ
 
3人の若者が
「言葉は諸刃の剣だからさ」
と話しながら
 
 
現れた
 
 
 
 
漫画のセリフにありそうなフレーズが次から次へと出てきていて
 
ぼくはついつい耳をそばだて
3人の会話を聞いてしまっていた
 
 
 
 
「ずっといられる (くらい気持ちいい)なぁここ」
「そりゃねえだろ」
「いや〜涼しみたいんだよな(露天だから?)」
 
といった一連の会話から
 
どうやら高校生くらいからの付き合いなのかな
 
とか思っていたら
 
 
1人が1人を叩いて
叩かれた方がお湯を顔にかけ返して
 
ケンカが始まりそうになった
 
 
 
 
 
戦争はこう言うところから生まれるんかな
 
とか思うぼく
 
 
 
 
「そろそろ体洗わね?」
「1人で行けねえの?」
「最終的には個だよな」
「いや、なんかあるだろ、一緒に行きたい感じ」
「仲間がいねえとだめなのかよ」
「わかったよ行くよ」
「ほんとダメだよなぁおまえは」
 
 
 
 
そのような会話をする3人の過去は
よく知らないけど
 
 
言葉が剣になって
3人を刺した音が聞こえた
 
 
 
 
【反省】
夜は歳が2つ上の友だちの家で
 
シャンパンをあけ
チキンを食らった
 
友だちのお母さんたちが作ってくださった料理を囲み
 
思い出話や近況
生きる喜びについてなど
 
話が弾みつつ
 
 
クリスマスソングにみんなで浸った
 
 
 
ぼくらはこれからどうなっていくのだろう
 
 
きっと良くも悪くも楽しい生活が待っているんだろう
 
 
 
 
クリスマスがきっかけで知った喜びはたくさん
 
分かち合うこと
分かり合おうとすること
リラックスして話すこと
本音を鳴らすこと
自分と他人の間で楽しむこと
物語を創造すること
身近な友だちにこそ改めて感謝すること
 
 
 
 
ふと
 
与える喜びをまだまだ知らないなと気づく
 
 
 
 
傷つくことを恐れて
思い切ったプレゼントやサプライズは
自分1人ではやろうと思わなかったなぁ
 
 
 
 
ぼくはちょっぴり反省した
 
 
もっと早くから
クレイジーを目指せばよかったクローバー