12/16


何度でも見たくなる絵と、心地よく響く言葉……

愛おしい絵本には、この2つの要素がそろっています。


クリスマスイブ。仕事熱心な郵便屋さんを淡々と描く絵本です。


そこかしこにあふれる

愛と誠実と、クリスマスのよろこびと🎄



☆『ゆうびんやのくまさん』(フィービとセルビ・ウォージントン作、絵/間崎ルリ子訳/福音館書店) 


眠る前、親子で読むのにぴったりな絵本ですよ。

ある時、勤務先の1年生が、
「ゆうびんやのくまさんが、たったひとりで すんでいました……って書いてあるけど、壁にある結婚式の写真は、じゃあ誰なんですか?」と疑問を口にしました。

た、た、たしかに!

以来、このくまさんの人生に、以前より一層思いを馳せるようになりました。



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12/17

ETV特集で、ドイツの児童文学作家ケストナーのことをやっている。
(番組タイトルはあんまりよくない)

『動物会議』(岩波書店)が取り上げられている。


〈1.国境をなくす、
2.軍隊・武器をすべてなくす(もはや戦争は存在しない)、
3.人殺しのための科学は研究しない〉
...…


ケストナーをはじめ、多くの「子どもたちをよろこばせるための」物語作家、戦争を体験した内外の児童文学作家らが、作品の中で警笛を鳴らしている。
フィクションという形で、わたしたちに伝えようとしている。


じっさいにあったかどうかということは、どうでもいいのです。その話がほんとだということが、かんじんなのです。ある話が、じっさいにも、その話のとおりおこるかもしれないなら、その話はほんとなのです。
――『点子ちゃんとアントン』(エーリヒ・ケストナー 作/高橋健二 訳)より


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12/18

ぼうやにとって〈ほんとうのうさぎ〉だった、ビロードのぬいぐるみ。

ある日、ゴミに出され涙するうさぎに訪れた魔法とは……?

あらたな生を生きる意味、
消えることのない愛を描く名作絵本。


◇『ビロードのうさぎ』(マージェリィ・W・ビアンコ 原作/酒井駒子 絵、抄訳/ブロンズ新社) 

原作となった『The Velveteen Rabbit』は、イギリスで1922年に出版された作品です。

100年前に書かれた物語が、今日も世界中で愛されているという事実。
「本物になりたい」「真に生きたい」という共通の願い、愛への渇望を思わずにいられません。

酒井駒子が描く本作は、
視線(その高さ)や手の表現が、登場人物の心の距離や思いを細やかに伝えます。



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12/19

たとえば12年間小学校の司書を務め、だいたい1800人くらいのいろんな児童を前に年間300回の読み聞かせ やブックトークをやっていたら、「よさげ」が「この絵本(への子供の入り込み方)はすごい!」という確信に変わる瞬間が度々訪れるもの。

そういった絵本にみられる要素をみんな書き出してまとめて、講座でお話ししています。

サンプル数ってだいじ。
場数はうらぎらない。
どれくらい現場で子どもたちを見てきたか、どれくらいいろんな子どもに出会ってきたか。
生の声を聞いてきたか。

現役の司書や幼稚園教諭や保育士さんには、積み上げてきたデータと実感があるはず。
今現在わたしはその現場にいないので、そこは弱みなんです。

ということを、昨晩のM1のことを思い出しながらあらためて思う今日。
ステージ数はうらぎらない。
(なんかM1のことばかりすみません)

にしても。
年間300回を12年間やってきたのだとしたら読み聞かせ回数、ざっと3600回!
わが子に読んだ回数も足したら、5000回超えるんじゃないかしら……(*゚0゚*)スッゴッイ!✨


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12/20

今年の「しゃべるお仕事」おさめ。
今朝ラヴィットで見たワクワクさんに釣られ、だいぶ噛んでしまった。
帰り道、神田川の夕景がきれい。




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12/20

美しい絵本と出会い、自らも100年のこる作品を作りたいと思うようになった……きくちちきさんの絵本から感じられるのは、圧倒的な純度。

本来の自分を取り戻すための場所。
「回復の絵本」とでも呼びたくなるような。



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12/22

日本や欧米の団体による支援で、教育に希望の光が見えた時期もあったのに……

〈アフガニスタンを統治するイスラム主義勢力タリバンの暫定政権は20日、女性が大学に通うことを停止するとの通知を出した。中高生年代の女子生徒の通学禁止に加えて女性への抑圧が進むことに〉



絵本・紙芝居作家のやべみつのりさんが、かつてアフガニスタン等でワークショップを行った際のお話。
よろしければご覧ください。



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12/24

𝑴𝒆𝒓𝒓𝒚 𝑪𝒉𝒓𝒊𝒔𝒕𝒎𝒂𝒔


ポップアップ絵本
🎄『クリスマスのまえのよる』(クレメント・C・ムーア 詩/ニルート・ブタピパット 絵/きたむらまさお 訳/大日本絵画)


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12/25

𝑴𝒆𝒓𝒓𝒚 𝑪𝒉𝒓𝒊𝒔𝒕𝒎𝒂𝒔

それを与えられるのは男性だけではないと思います。同時に、母性を与えられるのは女性にかぎらないと思います。そう思ったから、あたしはサンタに応募したんです
……

🎄『サンタのおばさん』(東野圭吾/杉田比呂美/2001年 文藝春秋)


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12/26

1973年、バイクで世界一周した女性を描く絵本 。

怖くないの……?


人間はよいものであってほしい。
そして、人間はよき人びとだった〉――


私も見てみたい。
アンヌの見たものを

◇『世界はこんなに美しい』(エイミー・ノヴェスキー文/ジュリー・モースタッド絵/横山和江訳/工学図書)


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12/26

もうずっと言っていることですが、育った環境による格差を埋めるべく努めるのが(子どもたちが毎日通える)学校図書館の意義であり重要な役割なのではないでしょうか。
学校図書館はどの子も等しく多分野の「知」、自他の「人生(物語)」と出会える場所。
格差をなくしたい。



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12/27

このお話に描かれた松の木を、きっと私は見たことがある。

柊有花の描く故郷の風。海。
未明を読む幸せ


雪は、舞ってきて枝にかかりました。そして、明けてもくれても、はい色の雲は、頭の上をゆきました
……

「山の上の木と雲の話」より
◾︎『小川未明童話集』(小川未明/柊有花/世界文化社)


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一年が終わりますね


東京の空は

青くて

ずるい……

(といまだに思ってしまう雪国育ちの私)


絵本コーディネーター東條知美