2/12
出口かずみ個展「どうぶつネオン」へ。
可愛くて可笑しくてちんまりとしたこの感じ……これがずっと好きなんですよ、ずっと。と心でさけぶ。
本は持っているので、絵はがき&一筆箋をニヤニヤしながらチョイス。
出口かずみさんの絵、いついかなる作品でも力むことなく圧倒的。酔拳。こちらもぜひ♪
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2/14
読むべきポイントの多い記事。
〈2017年にイギリスで出版された9,000冊以上の児童書のうち、黒人やアジア系、少数民族が主人公の本はわずか1%〉……
翻訳絵本が減りつつある現在の国内絵本事情を思う。
子どもの読みもの。体験としての読書。そこにあるべき多様性の確保を思う。
(文/清水玲奈氏)
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2/15
【社会課題と絵本のこと】
保育士や幼稚園教諭に向けた研修で「SDGsに触れてください」とのご依頼がわりとあります。
が、「このセクションは大人の皆様への絵本紹介。なぜなら園児の発達はこの前段階。一般的に、世界と自分の関係を具体的にイメージできるのはまだ少し先のことになります。学校で、学ぶ機会が増えます。問題意識?急がせないで~」とお話ししています。
「園児に平和の大切さを伝えたい。〈戦争〉がテーマの絵本でおすすめの作品は?」といった質問もわりと頻繁にいただきますが、これについても(大人の方から)急ぎあたえる必要はないと思います。
生死について切実に考えたり、世界のそこかしこにある危機を知り、自ら疑問に思う、それを身近な大人に問いかける……そんな"時"がいずれ訪れます。
その時になったら、やさしい「絵本」をえらんで一緒に読んであげる。そのくらいでよいとお伝えします。
幼児期の「絵本」には、いろいろな登場人物が出てきて遊んだり工夫したり乗り越えたりする、安心と幸福のイメージを優先していただく方がよいように思います。
きらめく自然のふしぎを。
夢みる体験を。
外界との出会い、はじまりの段に
ぜひ✨
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2/18
「イラストレーター絵本作家による100人の友tomo」へ。
壁一面に、さまざまな《友》への想い。
ひろかわさえこ「やぶの友」、降矢なな「雪見酒の友」、つじにぬき「I AM THINKING ABOUT FRIIENDSHIP」、tuperatupera「酒の友はイカす友」、平澤一平「修学旅行」……よかったな。
よかったと指さした作品が「お酒の描かれた作品ばかりじゃないですか!(笑)」とギャラリー西須さんから指摘され、己の無意識に震える。
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同日、表参道に行く際にはかならず寄るビリケンギャラリー は、サブカルと絵本のある面白い老舗。
「ワニ絵本3人原画展」は2/19、19時まで。
ねじめ正一による3つの「ワニ」の物語。
コマツシンヤ、淺井裕介、飯野和好(敬称略)の三者はどうイメージしたのか……?
面白かった!!
東京カルチャーの最前線にいる御仁がかわるがわる出入り。今日はほんの5分前まで宇野亜喜良さんがいらしたそうで惜しい!と思ったり、この服ではとても会えない!と思ったり。
三原ミミ子さんの可愛らしい声のお喋りで耳も福福な日。
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2/18
〈ねむってる、ねむってる、こどもたちも すきなところで すやすや〉
ほっとした気分に満たされる、12センチ四方のちいさな絵本。
◇『ねむたいひとたち』
(M.B.ゴフスタイン作/谷川俊太郎訳/あすなろ書房)
*原書『SLEEPY PEOPLE』1966年
お疲れさんやしょんぼりさんに、そっと差し出したい一冊。
(テレビに出たあの夜、村上信五さんにプレゼントしたのはこの絵本)
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2/20
ネットの中にいると、氾濫する言葉に疲れてしまったり神経過敏になってしまうことがあります。そんな時は……
山の上、ポツンと建つ一軒家。
林檎をむく老女を思い浮かべます。
とても静か。
美しい一冊
(リロ・フロム/楠田枝里子/ほるぷ出版)~ドイツのわらべうた~
(追記)
『ABCのやまむこう』(1981年 ほるぷ出版)は現在古書のみ入手可。
流通しているものなら……
ミレナ・ルケショバー『おんなのことあめ』(ほるぷ出版)がお好きな方にもおすすめです。
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2/22
【ねこの日】こぼれ
ボンシイクは大喰いで山の獣はもう全部食べちゃったから、一日考えて森の中にホテルをつくった。
《サービスとおりょうりのいい山ねこホテル》と立て札。
上等の油をフライパンに入れてコンロにかけて、素敵な匂いであなたを誘うよ。
◇絵童話『山ねこホテル』
(柴野民三/茂田井武/ビリケン出版)
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◆『ねこの森には帰れない』
(谷山浩子 著 1984年 新潮社)
この本に出会ったのは発売から数年後、中学か高校の頃だったと思う。
谷山浩子の詩とエッセイに、上野紀子、吾妻ひでお、近藤ようこ、内田善美、小沢真理、ますむらひろし、大島弓子、谷内こうた etc……
私の原点。
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2/25
森に落ちていた古新聞で、ねこが、ウサギが、ぶたが……
素敵なものを
つくっちゃった!
コラージュ素材となった紙面のそこここに、長さんの願い、その欠片が散りばめられた絵本のような気がして。
考えよう!
作ろう!
☆『みんなでつくっちゃった』
(長新太/大日本図書)
コラージュに用いられた紙面、断片のみだが、活字好きの性でつい読んでしまう。
南ベトナムの反政府デモを報じたソウルの新聞社が当局から取り調べを受けたと報じる記事、プロ野球選手の来季の推定年俸、「青年 婦人 指導層に多数進出」と見出しの記事、そして、新聞週間に子どもたちへ「考える努力」と見出しのついた記事……。
キャベツ畑の中ですまし顔のぶたは、テレビ欄で腹巻きをつくっちゃった。
「3時のあなた」、「3時です」高島忠夫、「クイズ・タイムショック」田宮二郎、「スター千夜一夜」山口百恵、「座頭市物語」勝新太郎 大地喜和子、「だいこんの花」竹脇無我 森繁久彌 ……
つい読んでしまう。
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2/26
英出版社… チャーリーとチョコレート工場 に登場の「太った男の子」を「巨大な男の子」とする等、表記に配慮の新版。これに批判が殺到。原文まま版も発行することに…のニュース。
版元は「読者には2つのバージョンから選ぶ自由がある」と発信。インスタのコメ欄は荒れ気味。イギリスの読者の反応を興味深く読む。
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2/27
仕事で悩んだ時など、気がつくと手に取っている絵本があります。
くまさんの仕事は、どんな時も誠実丁寧。
庭木を整えます。
おいしい野菜を売ります。
ただそれだけ。
静かな情熱を胸に。
(抱いているような気がする)
(フィービとジョーン・ウォージントン作、絵/まさきるりこ訳/福音館書店)
この「くまさん」シリーズは他にパン屋さん、郵便屋さん等全部で6冊出ています。
なにしろ全部よいのです。
福音館書店ページに全部書かれているので貼ります。
働きものだけどあくせくしない。
実直にして柔軟。
可愛らしい姿とは裏腹に、背中から漂うこの渋み、円熟味よ……
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2/28
今月は思うことが多くて(いつも何かしら思ってはいるけれど)、Twitterでの言葉数も自然多くなりむした。なりむした、て。
反応を多くいただいたつぶやきを貼っておきます。
2023年2月、呟かずにいられなかった思いを忘れない。
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人や社会全体に対する優しさ、配慮……そういったものの価値を私たち、いま一度見直そう。
いかにも賢そうだけどひどく残酷な言説やものの考え方、こてんぱんに相手をやっつける小気味よさなんかよりも、優しさや思慮深さのほうが大切だよって
いちいち伝えていきたい。
優しくあること、できる限り心を配ることの方が、何かをバサッと断じるよりうんと難しいのだけれど、あきらめないでいたい。
これを書かずにいられなかった理由は、最近、不安でいっぱいの人や弱っている人を陰で冷笑し切り捨てる発言をする一般の若者(複数)を実際に見たから。
若さとは残酷、だけで済まされない……「は?これが賢さであり効率でしょ」という自信や憧れがそこに見えたから。
これが風潮なら、ただ事じゃない。
□ □ □
みんながだまっていたら、すごく悪くてへんなことも、いつかあたりまえになってしまうのかもしれない。
もうすぐ春ですね☘️
絵本コーディネーター東條知美