5/17


「こうあってほしい世界」を想い、動くことからはじまる――


この美しい物語は、(あのときの)(これからの)私の力、救いとなってくれるような気がします。



【2023 日本絵本賞受賞作品】

◇『ねことことり』

(たてのひろし/なかの真実/世界文化社)




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現実から目を逸らさすことなく、
それでも「別の世界だってあるんだよと
一人に
独りに
呼びかける絵本――


【2023 日本絵本賞受賞作品】
◇『橋の上で』
(湯本香樹実/酒井駒子/河出書房新社)




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5/18 【国際博物館の日】

各地の美術館博物館で入館無料となる所も多いようです。
博物……絵本 でもぜひ。


バシャーン!

大きな水飛沫

空には満天の星

食べて遊んで旅をする……
ザトウクジラの生を描く名作を。


◇『ザトウクジラ』
(ヨハンナ・ジョンストン作/レナード・ワイスガード絵/こみやゆう訳/好学社)

コルデコット賞画家レナード・ワイスガード(1926-2000)が手掛けた『ザトウクジラ』は、1965年アメリカ発の絵本。

生息地、生態、地球の約1/4もの距離を旅する理由……

自然科学を説きながら、ここには読む者の心を惹きつけてやまない壮大なドラマがあります。


〈これが、ザトウクジラの生き方なのです〉 


平澤一平さんのツイートで、いつも「今日は何の日?」を知るわたし。ありがとうございます。
午前中に仕事を片づけ、ダッシュで国立科学博物館へ。

たくさんの生命。気が遠くなるほど長い歴史。
広い宇宙で、イマココを担当する私。



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5/18

Timeoutさんが本の長屋 (高円寺)を取り上げてくれています。

☆.。.:*・゚

〈集まった「箱店主」は、編集者や絵本コーディネーター、イラストレーター、本好きのサラリーマンなど多様だ。〉




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5/19 【G7開催】


G7各国首脳が広島の原爆資料館を訪れる日に――



打って打って打ち続け、いつしかすべてを破壊するようになった男が立ち止まり、やり直す

イラン発の物語。



何のために?


強さとは?


私たちの胸に問いかけます。



◇『ボクサー』

(ハサン・ムーサヴィー作/愛甲恵子訳/トップスタジオHR)



 



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5/19

鈴木邦弘個展『ずっとここにいた 〜ReConstruction FUKUSHIMA』(銀座ゆう画廊  ※最終日 5/20㈯12〜16時)へ。



新作について、「次の個展までにすべての原画を描き上げたいが、現地で見聞きした様々を思い出すと苦しくなりなかなか進まない」と鈴木さん。

福島の被災地を歩き、記録する人。

雨の中、ここで出会った大学生、日本画家、社会学者……
それぞれの方法でアプローチを行い、表現や、社会について考える人々。
ほんの一瞬、おなじ時間をともに過ごす。
「場」や「もの(絵)」がたしかにそこにあることの意義を思う。



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5/20

本の長屋 イベント「読むこと書くこと」角田光代×三砂慶明へ。

「読む、は文字を読むことではない」という入口と、
「百年続く文学には〈希望〉がある」という出口。

行間を含む様々な要素から掬い上げる〈希望〉――

読書とは、読む私が、ほかでもない私自身の生に希望を探す旅なのかもしれない。と思ったり、
読むことは覚悟を伴うことでもあり、ただたのしいことでもあるよなと思ったり。

イベント会場に展示した自宅所蔵の角田光代さん翻訳絵本にサインをいただき、『タラント』(中央公論新社)に息子宛サインをいただく。
(ありがとうございました!)

「読む」を(自分の頭の中だけでなく)考え実践したくて長屋に参加した。
これからも読み、耳を傾けていきたい。
(写真右から)三砂慶明さん、コクテイル書房狩野さん、角田光代さん




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5/21

GWあたりからわたし動きすぎ。疲れた。とふいに思った。それで(本の長屋イベントの前に、高円寺の線路の向こう側にある)えほんやるすばんばんするかいしゃに寄った。
荒木さんがいる。

山口法子さんの描く賢治の世界を(ちょっとだけ残っていたのを)見せてもらった。

厳かで切実で、しんと静か。

購入した画集『本は彼方から』
左右に描かれた絵、それだけを読む。




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5/23

一転して、冷たい雨の朝。
体も心もちょっとしんどいですよね。

〈おかえり。あめのなか さむかったでしょう〉――


家で
仕事場で
互いがホッとできる存在になれますように。


大人にも
子どもにも

今日みたいなしんどい日にこそ


◇『あめのひのくまちゃん』
(高橋和枝 作/アリス館)



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5/24

夕方の商店街が好きです。

仕事帰りにちょっと一杯ひっかける大人、たこ焼きを囲む子ども、威勢のよい魚屋のかけ声――。

絵本『まんぷくよこちょう』(なかざわくみこ/文溪堂)に描かれるのは、懐かしくてちょっと不思議な横丁。

すべてに体温を感じる
店が物が人が、ぎっしりと描きこまれています。

(あちこちに出没する狸も探してみてね♪)




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5/28

◇『みどりのがけのふるいいえ』
(なかの真実 作/世界文化社)

昔から不思議なことが起こると囁かれる地。
崖の上、古い一軒家に暮らす猫は、ある日きらりと光る「石のようなもの」をみつけます。
不思議な石は日ごとに大きくなっていって……?


豊かな自然を背景に、ファンタジーの世界を美しく細密に描き出す絵本。


こういった本気の表現が、美が、子どもたちにあたえられることの意味をいつも思います。
息子は7歳頃、エロール・ル・カインの絵にいたく感動し、読んでやった絵本を猛然と模写しはじめました。それだけ強く心を動かされたということなのでしょう。
同じようになかの真実さんの絵が今、どこかの子どもや大人の心を釘づけにする様子が浮かんできます。


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5/30

◇『絵本 クマのプーさん』
(A.A.ミルン/E.H.シェパード/石井桃子/岩波書店)

1926年、44歳のミルンが紡いだ、ちょっと間抜けでとびきり魅力的なキャラクターたちのお話。
47歳のシェパードは、百年愛されるさし絵でこたえた。

私も時折プー横丁へ出かける。
ここではとにかくゆったり過ごすのだ。



〈ながいあいだ、三人はだまって、下をながれてゆく川をながめていました。すると、川もまた、だまってながれていきました。川は、このあたたかい夏の午後、たいへんしずかな、のんびりした気分になっていたのです。
「トラーはわるいやつじゃないんだよ、ほんとは。」〉……
(同書より抜粋)


トンチンカンな会話の可笑しみ、「たりなさ」だらけの登場人物たち。
ゆったりとしたスピードの(というか何ひとつ進まないことの方が多い)物語。

誰も置きざりにしない。

棒をひろい、歩きながら歌を作り、友と橋の上から川を眺める。


ニ倍速では味わえない幸せがある。



絵本コーディネーター東條知美