6/2

 

翻訳家の星野由美さんを本の長屋にご案内。

こんな豪雨の中を?と思われるかもしれません。私もそう思いました!

昨日の内にリスケを匂わすメッセを送るも、南米暮らしの経験あり「あまり気にしない」星野さんには伝わらなかったのです!(おおらかで素晴らしい)

初めて出会った日も豪雨でした。

もうそういう運命なのでしょう。

 

6月1日、本格オープンした本の長屋(高円寺)

こちらで〔えほん+∞〕の屋号で函主をやっております。絵本の他、様々なジャンルの本をお売りします。ぜひ覗いてみてください😊✨

 
 
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6/2
 
運命
みたいに たたきつけ
葉のいろが ながれていって
風のいろが うずまいて 〉
〈だーん だーん
だーん だーん
……
 
降りつづく雨、鳴り止まぬ雷鳴は、すべてのものの輪郭を失わせ、
それから
 
だんだん
 
鎮まっていきます。
 
 
◇『空の絵本』
(長田弘 作/荒井良二 絵/講談社)
 
 
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6/2
 

 

天野慶さんとやってみたい企画

流れ星「100円ショップの絵本全部買って読んでみた」

 

 

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6/3

 

虫たちは妖精になって踊り、水底の魚は空を登り、眠りについた赤ちゃんも静かに目を覚まし、こっそり遊んでいたりして……

 

この空で

 

戦地の空で 

 

このよが やみに しずまぬように。

わたしが やみに のまれぬように ――

 

 

月の夜に

 

ほら

 

 

◇『ふしぎな月』

(富安陽子 文/吉田尚令 絵/理論社)

 

 

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6/4

 

西加奈子の『くもをさがす』は作家の闘病記、だけじゃなかった。

周りの人々への想い、自身の身体への感謝を綴りながら時事にも触れ、差別や排除といった「括ることすら残酷な事象」の原因はほとんど私たちの心から来ている、といった内容が綴られていた。

 

〈私は、私だ。私は女性で、そして最高だ。〉

 

 

(雑誌やテレビで見かけて)なんてパワフル、なんて魅力にあふれた作家さんだろうと、眩しさを感じていた西加奈子さん。

本書では弱さもさらけ出す彼女だが、常に多くの友に囲まれ、出会った人々に愛されている。

だから、もしかしたら今、孤独に苦しんでいたり寂しかったりする人には、ちょっと酷な本……かもしれないなあ。

 

 

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6/5
 
『フリーダ・カーロの日記 ―新たなまなざし―』(冨山房インターナショナル)を読む夜。
 
18歳の時、大事故に遭い体中を損傷したフリーダ。
20歳上の壁画運動家ディエゴへの愛と執着。
内側にも外側にも血の匂いを纏った、フリーダの気配でむせ返りそうな絵日記は、まるで詩画集だ。
 
星野由美さんによる訳書。
素晴らしい仕事。
 
ディエゴ(あらゆる存在として変幻する最愛の対象)を含む、人生や神様や、目に見えない何者かに捧げるために彼女が振り絞るように色や形を刻んだ……やっぱり(「日記」であるのと同時に)「詩画集」と呼んでもいいんじゃないかと、そう思いました。
決してさらっと読めない本。
いろいろな思いがあふれてくる本。
 
 
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6/6
 
◇『かようびのよる』
(デヴィッド・ウィーズナー作/当麻ゆか訳/徳間書店)
 
蓮の葉に乗った蛙が空を埋め尽くします。
街へ繰り出したかれらは烏を脅かし、うたた寝婆さんを囲んでTVを楽しみます。
翌朝、街に残された無数の葉っぱを前に、刑事は首を傾げます。
 
 
魔法があらわれる夜に――。
 
 
 
『かようびのよる』(原題『TUESDAY』)は1991年アメリカ発のサイレント絵本。
ミステリーな事件が発生した時系を示す部分のみが、端的に記されます。
 
ウィーズナーの絵本は「絵を読む」歓びにあふれている!
 
若き日にルネッサンスを、次にシュールレアリスムに傾倒していった表現者。
 
 
 
『なわとびょ〜ん』(シゲリカツヒコ 作/KADOKAWA)に出てくるカエル少年、浮かぶ者、構図、さいごのカエル……これらを見るといつも、「ウィーズナー作品へのオマージュではないかしら」と思う私。
こちらの絵本も最高です✨
 
 
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6/7
 
1月、ニュージーランド(元)首相ジャシンダ・アーダーン“電撃辞任”のニュースを観た私の気持ちを代弁してくれている記事をシェア。
 
〈多くの女性は自分に余力がないことを“欠点”とみなし、それによって自分は悪い親である、あるいは、悪い人間になっているとすら考えている〉
 

 

 

 

 
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6/9
 
読む人へ
ぜひ。
 
〈東京・高円寺に、築100年の長屋を改装して「本の長屋」がオープンした。本とともにお酒やイベントを楽しめ、読書家たちの夢の隠れ家となっている。〉―日刊ゲンダイデジタルより
 
「本の長屋」
10時から17時営業(火曜定休)
🍀えほん+∞(東條の函屋号)

 

 

 

 
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6/9
 
「私の本棚 My BookShelf」展のひるねこBOOKS(谷中)へ。
 
参加作家のおひとり、まつむらまいこさんが在廊されていました。
まつむらさんの絵をみていると、心の奥に透きとおった泉がわいてくるようで……
とくべつな力を感じます。
繊細な表現に惹かれ私家版の絵本を購入。
 
◇まつむらまいこ私家版『物語のタロット』
 
◇まつむらまいこ私家版『わたしのたからばこ』
 
たいせつな記憶をいつでも取り出せるように、けれども決して壊れない所に隠しておきたかったのかもしれない。
私の(きっとあなたの)過ごした日々もここにある。
だから、読むと胸がいっぱいになってしまうのだ。
(第2刷(右)はモノクロが更にしっとり)
 
 
実力派の作家が勢ぞろいの本展。
「私の本棚」をテーマに描かれた作品には書物への愛があふれています。
当然かれらの手掛ける絵本や画集は、そろって素晴らしい!
(何を買うべきか、それが問題)
想いの結晶が散りばめられた空間でした。
 
 
 
 
 
まつむらまいこさん、ありがとうございました。お話いろいろ楽しかったです!
 
 
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6/13
 
個や社会の課題を絵本でみてみよう、とか絵本をきっかけに考えてみようといった活動が増え、ますます「だからってどんな絵本でもいいってわけじゃないんだよ」と思うことも増え、心の奥にそっと語りかける表現や、卓越した物語性がまずたつ……そんな作品を前に出したい気持ちがますます高まっている。
 
 
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6/14
 
雨でふくれっ面のあーちゃんは、かえるの家のパーティーに誘われます。
みんなで出かけよう!
 
♫ ぽっつん とととは あめの おと♫
 
かえるにとって雨は、ごちそうと音楽にあふれた幸せの雨。
紫陽花の妖精も踊ります。
 
 
☆『ぽっつんとととはあめのおと』
(戸田和代/岡田千晶/PHP研究所)
 
ぬいぐるみも飼い猫も喋り出すファンタジー。
パーティーの途中、雨が上がり光がぱっと差し込む場面で〈現実戻り〉が行われます。
光と影を描く画家・岡田千晶さんの腕が生きる転換。
 
色鉛筆で描き出される美しい世界。
怒ったり、すねたり、笑ったり……主人公のくるくる変わる表情が読者を惹きつけます。
 
 
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6/15
 
初出1969年。
経済成長期「電車通勤の会社員といえばお父さん」という時代の絵本 。
缶入りドロップ、駅には懐かしい券売機や改札が描かれます。
 
主題は〈子どもの冒険〉。
電車に乗った動物たちが助け船を出す、不思議でドキドキする物語🐾
 
 
☆『かさもっておむかえ』
(征矢清/長新太/福音館書店)
 
〈あめふり ざんざんぶり 
かさもって おむかえ 
びしょぬれぼうず なけ なけ 
あめふり ざんざんぶり 
どろっぷ なめて おむかえ〉
 
 
子どもは歌がある絵本が大好き♫
音程や節回しは、なんでもいいのです。
 
(講座等でよく「どう読めば…?」といった質問を受けるのですが、てきとうに拍子をつけてみて。気楽に😉✨)
 
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紫陽花

 

雨の季節のおたのしみ。

いろいろな種類。

 

本土寺(千葉県松戸市)では、紫陽花と菖蒲の共演を見ることができます。
 
 
白山神社(東京都文京区)
 
 
飛鳥山公園(東京都北区)
 
 
井の頭公園(東京都武蔵野市)
 
 
 
絵本コーディネーター東條知美