8/11 【山の日】


大人が野良仕事をするあいだ、私は山の子どもだった。

野を駆け崖を登った。手足の傷にどくだみを貼っつけた。


木陰で祖母は鎌を振り下ろし、沢で冷やした西瓜をぱかっと割った。ぬるくて甘い匂い。


山になんでも教わって

山の子どもはおおきくなる。

 


☆『みずくみに』

(飯野和好 作/小峰書店) 



(お盆に山の墓参り。まず草を刈る。向こうに見える赤い屋根が爺ちゃんの家


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8/11

「火をつかうりょうり」はアレで「火をつかわないりょうり」はソレだったか。
ちょっと誰かもっと早く教えてよ〜
と言いたくなる本。
〈足すと生まれるえいご〉でクイズ大会するもよし。
めくる度にハッとする写真も魅力!


📚『目でみるえいごのずかん』
(おかべたかし文/やまでたかし写真/東京書籍)
おかべたかし著のこのシリーズはどれも、自由研究のヒントをくれる。やる気にさせる力があると思う。


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8/12

海岸で拾った石を丁寧に鑑定してくれる「フォッサマグナミュージアム」 は私のイチオシ博物館。
たとえ翡翠がみつからなくとも、石には億年の歴史とロマンがずっしり!
糸魚川市は故郷の隣り、子どもの頃に暮らした街。



展示されていた(田中順也氏による)恐竜の絵も素晴らしかった。
非常に細やかかつダイナミック。


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8/15

昨夜のNHKドラマ「アナウンサーたちの戦争」、よかった。

メディアには力がある。
言葉には力がある。
良くも悪くも力がある。


☆『みんな忘れてしまうから…手渡したい絵本 〜8月15日終戦の日に。』(2020年の記)



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8/16 【目に涼しい絵本棚】

棚という棚に「氷」や「雪」、もしくは「星」「水」を飾って手に取る今夏。


ページをめくれば そこは 
涼やかな世界



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8/19

聴こえてくるのは波の音だけ


◇『のらいぬ』
(谷内こうた絵/蔵冨千鶴子文/'73 至光社)

20代の谷内は叔父六郎に勧められ至光社に絵を持ち込む。
当時の社長武市八十雄は谷内にビネッテ・シュレーダーの『お友だちのほしかったルピネスさん』を見せたという。

谷内こうたと〈感じる絵本〉 との邂逅――


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8/21 【香川の旅】

壺井栄 著『二十四の瞳』とはじめて出会ったのは小学生の頃。

小説(昭29 映画化)の舞台となった壺井栄の出身地・小豆島は、とても美しい島でした。


角川文庫版『二十四の瞳』は島の本屋「ブックスことぶき」さんで購入。


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8/23 【香川の旅】

香川県高松市「アトリエロッタ」さんへ。
大人にもっと絵本のよさを知ってもらいたいと語る店主の辻󠄀さん。うん、うん✨
中央公園に隣接した居心地のよい店内には、手にとって開きたくなるような作品がたくさん。
「絵本」に会える旅はますます楽しい。





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8/25

メイベルと仲間(ケーブルカー)は1873年の頃からずっと、街を愛し人を愛し働き続けています。
ところが議会でケーブルカーの廃止案が浮上。ゆくえは住民投票に委ねられ……?


◇『坂の街のケーブルカーのメイベル』
(バージニア・リー・バートン/秋野翔一郎/童話館出版)

わたしたち市民のひとりひとりが、この街の主役ですよ。どうして、わたしたちで きめられないの?

署名活動が起こり、市役所に請願書が持ち込まれます。

どちらでもいいとか、どちらかわからない、という人はいませんでした
――

人々が選ぶのは、スピードやコスパ?
それともたいせつな歴史?街の独自性?

読者に問いかけるバートンの絵本。


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8/26

光と影の描写、人物の顔が抜群。
"身近な者の死"というむずかしいテーマ…でも誰しもが不可避なテーマを、「時」を軸に美しく描き出す作品。

いつか会える。
きっと会える。

大切なひとを想いながら、「これまで」と「この先」を想いながら読む。


◇『死神です』
(有田奈央 文/アンマサコ 絵/光村教育図書)


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8/31 【スーパーブルームーン】

おだやかな、月のいい晩のことであります。――

ある夜、おばあさんは、めがね売りの男からべっ甲ぶちのめがねを買います。
さらに夜がふけた時分に現れたのは少女。少女は指を怪我しています。
手当てをしてやろうと、おばあさんが眼鏡をかけて少女を見ると……?

◇『月夜とめがね』
(小川未明/高橋和枝/あすなろ書房)


静かな満月の夜。
田舎の町はずれでは何が起きても不思議ではありません。
月の光を浴びて、木も花も虫も、(もしかしたら)この世の者ではないものたちまで……
誰もが動き出さないではいられない、そんな夜。

過去と現在・現実と幻想が交差するこの夜を、画家・高橋和枝が見事に描き出しています。


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8/30 【杉田比呂美さんの個展】


杉田比呂美 さんの絵をみていると、
たとえどこにいたとしても、風の吹き抜けるひらけた場所に来たような、同時に懐かしくて切ないような気持ちになる。
一瞬で「あのとき」へと連れて行かれる。

深呼吸の心地よさ。

そんな空間で、久しぶりに再会した司書仲間と
だいすきな杉田さんに会えて嬉しい嬉しい日。

かつて杉田さんがお話ししてくれた
「やめないで続けていれば、いつかきっと どこかにたどりつける」の言葉を胸に、これからも一歩一歩がんばります。


🌟杉田比呂美個展「わたしたちの」は、スペースユイ (東京・外苑前)で9/6まで








9/3㈰はお休みです



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夏の思い出


よくたべてよく遊んだ夏
痛いくらいに暑い夏







🎐絵本コーディネーター東條知美