9月の絵本棚





1872年に太陰暦が廃止されるまで、かつて日本では、月の満ち欠けの周期に合わせて日にちを数えていました。
月の見えない新月を1日とし、15日目の十五夜はほぼ満月、その次が十六夜……


見上げればいつもそこにある月。
古代より、満ちたり欠けたり隠れたりする月は人々にとってどれほど神秘的な存在だったことでしょう。 


青白く、こうこうと、ぼんやりと浮かぶ……私たちの想像力をかきたてる月。
古今東西の文学作品で、月は美しく、包み込むように、不思議な光を放ちつづけています。
中でも「満月の夜」は、魔法のような出来事が起こる背景として数々の絵本に描かれてきました。 

生きとし生けるものの心をざわめかせる月――。


“こどもたちは おどりました。
ひとばんじゅう おどりました。
だって こんやは まんげつです。
とんだり はねたり あしぶみしたり
ぱかぱか ぽよよん らたたたた。”
―『まんげつダンス!』(福音館書店)より
……


今年の十五夜は 9月29日。
「絵本でお月見」も乙なもの。
ぜひ、あなたのお気に入りの月を探してみてくださいね。


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(左上から)
『月夜とめがね』(小川未明 作/高橋和枝 絵/あすなろ書房)、『リスとお月さま』(セバスティアン・メッシェンモーザー 作/松永美穂 訳/コンセル)、『おつきさんどうしたの』(エドナ・ミッチェル・プレストン 文/バーバラ・クーニー 絵/岸田衿子 訳/岩波書店)、『ちいさな手のひら事典 月』(ブリジット・ビュラール=コルドー 著/佐伯和人 監修/いぶきけい 訳/グラフィック社)、『月の花』(アイナール・トゥルコウスキィ 著/鈴木仁子  訳/河出書房新社)

『死神です』(有田奈央 文/アンマサコ 絵/光村教育図書)、『A QUE SABE A LUA?』※スペイン語版『お月さまってどんなあじ?』(Michael Grejniec/kalandraka Editora)、『ながいよるのおつきさま』(シンシア・ライラント 作/マーク・シーゲル 絵/渡辺葉 訳/講談社)、『つきのばんにん』(ゾシエンカ 作/あべ弘士 訳/小学館)、『ムーン・ジャンパー』(ジャニス・メイ・ユードリー 文/モーリス・センダック 絵/谷川俊太郎 訳/偕成社)

『つきみのまつり』(羽尻利門 作/世界文化社)、『きょうはそらにまるいつき』(荒井良二 著/偕成社)、『月おとこ』(トミー・ウンゲラー 作/たむらりゅういち、あそうくみ 訳/評論社)、『まんげつダンス!』(パット・ハッチンス 作、絵/なかがわちひろ 訳/福音館書店)、『山いっぱいのきんか』(君島久子 文/太田大八 絵/童話館出版)


🌕 絵本コーディネーター東條知美