9/2


十五夜を描く最新作は阿南市在住作家・羽尻利門による「観月祭」。


なんて美しい風景。


大衆の一人一人、木の一本一本をみつめ包み込む作家の眼差し。

この眼が物語に命を吹き込んでいます。

胸を打たれました。


楽しい遊びも各所に(そぉっと)仕掛けられていますよ♪



☆『つきみのまつり』

(羽尻利門/世界文化社)






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9/3
【クジラの日】
〜1冊目〜

大きな水飛沫

空には満天の星

食べて遊んで旅をする――

自然科学を説きながら読む者を惹きつけてやまないドラマティックな絵本。

これが、ザトウクジラの生き方なのです


◇『ザトウクジラ』
(ヨハンナ・ジョンストン作/レナード・ワイスガード絵/こみやゆう訳/好学社)



【クジラの日】
〜2冊目〜

おばあさんからくじらの話を聞き、その神秘性に焦がれるリリー。
一方おじさんは「食料」であるかれらを夢みるリリーを叱ります。

美しい幻夢のようなシーンと共に、読者に委ねる絵本。


◇『くじらの歌ごえ』
(ダイアン・シェルダン作/ゲイリー・ブライズ絵/角野栄子訳/BL出版)



【クジラの日】
〜3冊目〜

水槽に暮らすくじらのウェンズデー。
彼女に見えるのはガラス越しの景色だけ。

ある日ビルの間に小さくみえた海。
忘れられないそのブルー...…

踏み出す勇気を描く、おとなのための絵本です。


◇『ガラスのなかのくじら』
(トロイ・ハウエル&リチャード・ジョーンズ作/椎名かおる訳/あすなろ書房)



【クジラの日】
〜4冊目〜

☆『つきよのくじら』(戸田和代 作/沢田としき 絵/鈴木出版)

これも大好きな一冊。

子クジラが、島のように大きく天高く潮を吹き上げるおとうさんクジラ(シャチに襲われた日から行方知れず)を探す旅に出ます。

子どもも大人も、心揺さぶられる物語。

クジラはおおきいなあ




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9/10

東洋思想を学んだ作者による「禅の心」にもとづいた話が、パンダから3兄弟に向けて語られる絵本。
(とはいえお説教くさいものではないので安心あれ)

盗人にとり残されし窓の月(良寛)

新潟生まれの私としては、良寛さんの逸話をオマージュしたお話が語られているのも嬉しい。


◇『パンダのシズカくん』
(ジョン・J・ミュース 作、絵/三木卓 訳/フレーベル館)



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9/11 【平和を祈る日に】

イラクの子どもたちの描いた絵に、谷川俊太郎が詩を添えています。

誰が誰の敵なのですか


2003年3月からはじまったイラク戦争。
子どもの目が心が見た「戦争」、家族への愛。
言葉にできない感情を、絵は雄弁に語ります。


わたしたちのかなしみを あなどらないでください


人の命は大事だとくり返さなければならない
命はくり返せないとくり返さねばならない


傷つけられ奪われたイラクの子どもたち。
かれらの絵を前にした詩人・谷川俊太郎の言葉は、氏のほかのどの言葉よりもまっすぐに感じられました。


◇『おにいちゃん、死んじゃった :イラクの子どもたちとせんそう』
(谷川俊太郎 詩/イラクの子どもたち 絵/日本国際ボランティアセンター 協力/2004年 教育画劇)



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9/13

◇『魔笛』
(ミヒャエル・ゾーヴァ画/那須田淳文/講談社)


パミーナ姫を救うため、王子とパパゲーノ(嘘つき鳥男)は旅に出る。

太陽の神殿には、「理性」「叡智」「自然」の3つのドア。

《試練を乗り越え、真実の心をみつめることができたなら》――

難解なオペラだけど、これ……

今夏のジブリ映画『君たちはどう生きるか』(宮崎駿監督)は、このモーツァルトのオペラ『魔笛』を下地にしているのではないかな。


ドイツの風刺画家ミヒャエル・ゾーヴァのファンは多い。(かくいう私も一枚のポストカードからゾーヴァの大ファンになった)
日常をチクリと刺す。小気味よい皮肉とユーモア、対象への愛―。

ゾーヴァがオペラ「魔笛」('98)の舞台美術と衣装草案を手掛けた際に描き下ろした原画を使い、物語化した絵本。



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9/14 【コスモスの日】

こちらの絵本のテーマは「お月見」ですが、表紙に描かれるのは一面のコスモス畑です。

花の上を飛び回る“かぜっこ”がキーマンとなり、十五夜の演出に一役買うのです。

子どもにとってはドキドキの冒険・疑似体験。
おとなには懐かしさで胸がいっぱいになる秋の絵本。


☆『おつきみ』
(あまんきみこ作/黒井健絵/ひさかたチャイルド)
お団子、ススキ、おそなえの果物。準備は万端。でも、お月さまが隠れちゃったら……?
女の子と猫が動きます!


十五夜は、秋の収穫を喜び感謝する日。由来を親子で話すもよし、もし本当に悪天候だったら……せめて絵本でお月見しましょ🎑

読みきかせにもぴったりですよ。



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9/15 【敬老の日】

人生いろいろ。おばあちゃんもいろいろ。

ここにはパワフルな主人公の他、20数名のおばあちゃんの姿が描かれています。

みんな素敵!

歳を取るのはたいへん。
でもそれはしっかり生きた証拠。

孫との会話が胸にしみ入ります。


☆『おばあちゃんがおばあちゃんになった日』
(長野ヒデ子/童心社)


長野ヒデ子 さんにお話を伺った際のブログを貼ります。もう十年近くも前のことになります。

いつも元気はつらつオーラで周りを照らす長野さん。
かっこいい✨

この時「私、おばあちゃんがおばあちゃんになった日の絵本を作りたいのよ」と仰っていました。




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残暑が長すぎる


今日この頃ですが、みなさまお変わりありませんか?

わたしは、変わったところもあれば

変わらないところもあり(当たり前のことですね……)



相変わらず愚直に、何があろうと楽しむぞという心意気で生きております。


山で子鹿に出会いました。かわいかった。


秋。
読書の秋ですね。
バリバリ読んで、バリバリおすすめしていきますよー😊📚


絵本コーディネーター東條知美