4/16


〈過去の事件や事故に対して、「いつまで、そのことにこだわるのか?」という人もいる。でも今になって「やっと語れるようになった」人もいる。春が来るたびに、私たちはそうやって記憶を追加していく。〉 


https://www.newsweekjapan.jp/ito/2024/04/10_1.php


文調になんとなく既視感……と思ったら

筆者の伊東順子さんは、『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ著・斎藤真理子訳)の解説を書かれている方。


かなしみは見えない。

発せられないままの言葉があちこちにある。



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4/17 【ジェンダー読書会vol.4】


課題本は🌟『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ著/斎藤真理子訳/2018年 筑摩書房)


69年生〜93年生のメンバーが「文芸とジャーナリズムの両方に足をつけた」本作をどう読んだ?耳を傾け合うひととき。


小説に映る自身の過去・現在・未来。

笑うことで受け流し、傷はそのままにしてきた。

痛みと、それでもあきらめない希望を物語に託す――。

『82年生まれ、キム・ジヨン』は、変わらない世界の「わたしたち」の分かち合いの書。


(ここに男性の名前はジヨンの夫のものしか出てこない。強烈なミラーリング)


「笑って流すことでしか、わたしたち、生き残れなかった」
「今の私たちには選択肢がある」
「アクションにブレーキをかけるものは何?」
「海外で見た国際女性デーはど迫力」
「今も変わらぬ進学、就職、結婚…男性上位」
「地方女子にかかる負荷、サバイバル、無視できない」
「権利はなぜ平等にならない?」
「自由or保護…二択を迫る議論、なんなんだ!」etc…

読みあい、思いを言葉にすることで
痛みをわかちあう。
わかりあうことを試みる。
その中からわずかでも、光を見出せたなら。




 


読書は、自分をめぐる旅。



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4/18 【おうちの本】

幼い頃、私はおうちの絵を描くのが大好きでした。 
ちっちゃい不器用な手で、うんと想像しながら夢を表そうとしたあの頃 。

『ぼくのおうち わたしのおうち』(たけうちちひろ/世界文化社)には、個性あふれる切り絵のおうちがたくさん登場します✨🏠

 安心のおうち 
ワクワクするおうち 
 みんなが帰る 
 おうち

幼少の頃、古くて狭いアパート住まいだったわたしは、「夢のおうち」を何枚も何枚も描いておりました。あの頃のうっとり夢心地な気持ちが蘇るような、切り絵の世界✨




◇『エミリー』

(マイケル・ビダード文/バーバラ・クーニー絵/掛川恭子訳/ほるぷ出版)


これも「家」の絵本。


無機質な気配を漂わせる豪邸の二階から少女を眺めるエミリー・ディキンソン(実在したアメリカの詩人,1830-1886)。


最後の25年は生家から一歩も出なかったという彼女にとって、家は要塞。いや、繭のほうが近いかな。


エミリー・ディキンソンは教会には行かず(厳格なプロテスタントの家に育ったが)、その理由を「花の間にも神さまはいるから」と話したそうです。


日本では金子みすゞ(1903-1929)が童謡「蜂と神様」にうたっています。


〈さうして、さうして、神さまは、小ちやな蜂のなかに。〉





「家」を描く絵本や小説を抜き出していたら、こんな本が出てきました。 


 ■『新版 家の神』

(鶴見俊輔 文/安達浩 写真/1999年 淡交社) 


人生をよいものと見るか悪いものと見るか。 

思想の枠組みをかえるためにも、自分の中にどのようにもとの家の思想が生きているかをおぼえることが大切だ、等。





☆『おうちのともだち』(柳原良平 作絵/2006年 こぐま社)


こちらは作者75歳の刊。


赤ちゃんの身の回りが描かれる絵本。いわゆるファーストブック。


氏のルーツとなる「おうち」とは、きっと違うあれやこれ。

せっけんくんは四角い形。

夜になればみんな眠る。


柳原良平の作品は、ちいさな子ども向けでありながら、どこかしっとりと落ち着いた佇まい。

和の色味と、穏やかな言葉づかいの所以か。


クッタクタの子育て期、わたしにとっては癒やしの書。

子もわたしも大好きで、繰り返し読みました。



「おうち」をテーマにいろいろ読み返した日。




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4/22 【「文字」と出会うひとへ💐】


新一年生、慣れたかな?

お子さまの文字との出会いが、どうか心弾む体験でありますように(*^-^*)♬  


☆『あっちゃんあがつく たべものあいうえお』(さいとうしのぶ/リーブル) 


☆『たべもの あいうえおのえほん』(苅田澄子/いわさきまゆこ/金の星社)


☆『ぶたたぬききつねねこ』(馬場のぼる/こぐま社)




こちらは技巧を凝らした美しい絵本。

何度でも開きたくなるし何度でも美しいって言いたい...!

(表紙から萌える)


📚『あいうえおの本』

(安野光雅/福音館書店)





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4/23 【子ども読書の日】


4月23日は「子ども読書の日 」です。 

国が2000年を「子ども読書年」と定め、翌2001年に「子どもの読書活動の推進に関する法律」が公布・施行されました。
自治体の事業として、今や全国で行われている「ブックスタート」(赤ちゃんに絵本の「体験」と「絵本」をセットで贈る事業)も2001年に始まりました🍀



読むことでよく生きることができる。

 個人的には学校図書館、保育園、幼稚園、こども園など、
子どもたちが毎日通う場所で楽しくあたりまえに平等に「読むこと」「知ること」ができる環境……

そこに大いに期待し、従事する皆さまを応援しております!
😊🍀📚




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4/23 【FMラジオ生出演!】


FM上越、FMみょうこう 同時生放送『ひるどきラジオぴっとイン!』にお招きいただき、絵本コーディネーターとしての活動、函店主として参加する「本の長屋」の話等させていただきました。 


放送後、声のプロ・佐藤委子アナウンサーと。


テーマ「絵本」に寄せられたお便りも含め、最後まで楽しかったです♪
「東條がコーディネーターなら私はナチュラル」
「エホン、といえば龍角散」
…リスナーの皆さまから届けられる大喜利ふうコメントの数々には、控え室でひとり爆笑しておりました🤣✨

私からのリクエスト曲は吉幾三。闘病中の父の好きな歌をかけていただきました。ありがとうございます(泣いて喜んだそうです)

佐藤アナ、皆さま、お世話になりました!



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4/24

青果売場で3歳くらいの子どもが「ママ〜、メロンとメロンをまぜるとスイカになるの?」と聞いていて(…ちょっとなりそうだね)と思いました。



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4/25 【鬼が給食を!?ドキドキのエンターテイメント絵本】

ある日、風に飛ばされた給食献立表。
それをみつけた鬼たちが、シチューの日に下りてきた。
「わけてあげるから隠れていて」
親切にしたはずが…
「このままじゃ、給食をぜんぶたべられちゃう」⁉

鬼祓いには呪文が必要。
昔話の隠し味もピリリときかせた、ドキドキのエンターテイメント👹✨


☆『きゅうしょくたべにきました』
(シゲリカツヒコ作/KADOKAWA)

表見返しには、それまで鬼の世界で不評だった料理が並んでいます。(料理番、食べ残しの多さに頭抱えちゃってます。フードロスだ)本編が終わって裏見返しでどう変わってくるのか?ご注目あれ😉



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4/27 【御礼】

🕊トークイベント『絵本とジャーナリズム:報道記者・加古紗都子と少女兵士ピチャ』


ご来場の皆様、ゲスト加古紗都子さん、ありがとうございました!
「絵本」と「ジャーナリズム」、まだ出来ることはありそうです。
伝えたい思い、言葉を大切に、これからも皆さまに問いかけてまいります。
心より感謝を込めて。


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4/29 【不忍ブックストリート一箱古本市】


不忍ブックストリート一箱古本市 
根津〜谷中あたりを巡回しました👣✨

本を真ん中に、出店者様や他のお客様とついお喋り。
広島からいらしたアトリエたまごさん、秋田の1pontanさん、レインボーブックスさん、絵本作家ぬまのうまきさん、にこべるさん、ビーナイス(出版社)さん…
全国の本好きが憧れる、歴史ある古本市です。

会場のラインナップも素敵でした。
忠綱寺、HOTEL GRAPHY NEZU、根津教会、往来堂書店、森鷗外記念館、ひるねこBOOKS
落ち着ける空間。ひらけた雰囲気。
(スタンプは、コンプリートしたつもりが2箇所もれ)

歩き回って本と出会い、本好き同志が心通わす市。楽しかったです😊✨



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4/29 【西藤燦さんの個展】


東京・谷中のひるねこBOOKSさんでは、西藤燦さん「あしあとてんてん展」🎨

緻密な表現。
完成までの時間や手数、途方もない集中力を感じさせます。

ただ、それだけじゃなくて

作品から対象への愛が零れ出る
この感じ。温かな光。

わたしは彼女の絵の前で、いつも静かな感動に包まれるのです。

西藤さんは「情熱とかインスピレーションというタイプではない」とおっしゃっていましたが、
自らの、端々に至る繊細なイメージに取り組む情熱…ひたむきさ…たしかに伝わってまいります。
西藤燦さんの絵、好きだなあ



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4/30 

Xのラインにデュシャンの話題をみつけて。

デュシャンといえば瀧口修造。そして、なかえよしをさん&上野紀子さん。
私は両氏による黒い絵本、シュールレアリスム作品のファンなのです。

ロングセラー『ねずみくんのチョッキ』と、この『扉の国のチコ』の同時原画展示イベントが、絵本コーディネーターを名乗って企画した最初の催事でした。

そもそも上野紀子さんの絵と「出会った」のも、谷山浩子『夢半球』がきっかけでした。
好きなアーティストのレコードジャケットにグッと心掴まれたのです。


そして『ねこの森には帰れない』(谷山浩子/'84 新潮社)

谷山浩子の詩とエッセイに、上野紀子、吾妻ひでお、近藤ようこ、内田善美、小沢真理、ますむらひろし、大島弓子、谷内こうた..…私の原点です。
(優しかった上野先生。懐かしくてちょっと泣きながら)





願いがうまれ、循環する長屋


4/27のイベントでは、長屋の皆さまにもたいへんお世話になりました。頼りない私を助けていただき、心からお礼を申し上げます。

終了後、イベントに起こしいただいたお客さまより温かなお声掛けもいただきました。
社会課題をテーマにしたイベントということもあって、個人的なお話や、願いや、矜持を語られる方もおいででした。

すべてのひとが、それぞれの物語を迷いもがきながら生きています。
うまくいきますように。
祈りながら、時折思い返します。

本屋は本を売る場所ではありますが、
本を、書かれた言葉を持ち帰るだけでないように思えます。

新たな言葉や思い、アクションが生まれる場としての「本屋」をあらためて思う一日でもありました。


私は寺社仏閣巡りが好きなのですが、催事を終えた後、それとちょっとだけ似た感覚を覚えることがあります。

お客さまが、ゲストが、そっと置いていかれる言葉は、絵馬にしたためた祈りのようで。

ここは、誰かの願いが静かに漂うところ。
たくさんの願いが生まれ、あつまるところ。出ていくところ。

時間の流れは緩やかで、誰のものも取りこぼさない――
これからの「本の長屋」がそんな場所であったら嬉しい。
(とはいえ私はただの函店主のひとりに過ぎないので勝手に思っているだけなのです。仲間の顔を思い浮かべると、そんなに独りよがりな話でもないように思えるのですが)


言葉(願い)が生まれ
言葉(願い)を留め
社会に循環させる
長屋……

そんなイメージが、いま、わたしの中に生まれています。


絵本コーディネーター東條知美