「美味しいお好み焼き屋があるんですよ~」と、タクシーの運転手から、近所のお店を教えてもらいました。TVでも紹介されたほどの人気店のようです。
ものは試しと、私と妻は勧められたお好み焼き屋に足を運んでみました。店内には、1メートル四方ほどの鉄板が1枚、そして鉄板を囲むように椅子が5脚置いてあるだけ。 そんな小さなお店を、おばちゃんが一人で切り盛りしていました。

 

私たちが、お好み焼きを食べていると、先客のおじいさんが帰り際に話しかけてきました。 「ここのお店で、こうやって話をしている時間がすごく楽しい。今テレビでやっているオリンピックよりも楽しい」と。いかにこのお店が好きかを5分以上に渡って聞かせてくれました。なぜ、このお店がこんなにもお客さんに愛されているのか、理由はすぐに分かりました。

 

それは、おばちゃんの人柄です。
おばちゃんは、店内のお客が私と妻だけになってからも、TVに出た時の話や、お店での出来事など、たくさんの話を聞かせてくれました。おかげで、楽しい時間を過ごすことができました。お好み焼きだけではなく、おばちゃんの和やかな会話が、お客さんに喜ばれているのです。

 

「あのお店には、好きな人がいる」。それだけで、お店に足を運ぶ理由になります。
「オリンピックを見ているよりも楽しい」と、思ってもらえるお店は、5人座ればいっぱいになってしまうような小さな空間と、 笑顔と会話を絶やさないおばちゃんがいるだけで作れるのです。特別な仕掛けも、大掛かりな設備もいりません。

 

愛されるお店作りの要は、実はもっとも身近なところにあるのです。

 

 

 

■コピーライティング・ノウハウ■