小売店に商品を販売してもらう場合、二通りの卸し方があります。
①、「メーカー ⇒ 小売店」
②、「メーカー ⇒ 卸業社 ⇒ 小売店」
近年、OEM商品が低コストで作れるようになり、①が増えてきました。
どちらがいいのかは、ビジネスモデルによって異なります。
①、「メーカー ⇒ 小売店」
商品の原価率が高くて卸業者に卸せない、直接販売したいバックエンド商品があるなどの場合は①を採用します。
私の事例を紹介します。
私は店販用のヘアケア液を美容室に卸していました。商品の定価は5,000円、卸値は2,000円でした。美容室の粗利率は60%です。
後述する「メーカー ⇒ 卸業社 ⇒ 小売店」の場合、美容師の粗利率は30~40%が一般的です。それと比べて、60%の粗利益がいかに高いかが判ります。美容室も商売ですから、当然、粗利率の高い商品を取り扱ってくれます。
私がこれだけ粗利率を高くできたのは、卸業者を通していなかったからです。もし私が卸業者を通していたら、60%の粗利率を与えることはできず、競合商品に埋もれてしまっていたことでしょう。
また、バックエンド商品があったのも前者を選んだ理由です。私が扱っていたバックエンド商品は、講習会を開かなければ売れない高額商品でした。そのため、卸業者に卸しただけでは売れません。
こうしたビジネスモデルを考慮した結果、前者を選びました。
②、「メーカー ⇒ 卸業社 ⇒ 小売店」
原価率が低く、商品点数も数多くある場合は、②を採用します。
ただし、流通は、古くから業界にいる企業の既得権益になりやすい傾向があり、後発企業はそうそう割って入れません。商品に確固たる特徴や強いなどがなければ、卸業者も進んで販売などはしないはずです。当然、競合他社と同じ粗利率を提供するのは最低限の条件です。
このように、「メーカー ⇒ 卸業社 ⇒ 小売店」の場合、小売店だけではなく、卸業者も口説き落とさなくてはいけません。
卸業社、小売店が商品を気に入れば、メーカーが扱っている関連商品や類似商品が売れるようになります。そのため、商品点数はある程度有しているほうが有利です。
卸業社を探す際、頭をひねって欲しいことがあります。
それは、「自分が携わっている業界と関係ない流通に流せないか?」と。
海外に面白い事例があります。
あるアーティストは、CDをCDショップに卸さずに、写真集の付録にCDを付け、書店に卸しました。CDのままであれば、書店に置くことはできません。しかし、写真集という書籍の体裁を取ったため、書店にCDを置くことに成功したのです。
このように、既存の流通に商品を流すのではなく、全く関係ない流通先に商品を流せるようになれば、同業社と競合せずに商品を卸すことができるようになります。
ぜひ一考してみてはいかがでしょうか。
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