「私どもの養成講座を受ければ、仕事を発注します」
「私どもの養成講座を受ければ、高単価の仕事が得られるようになります」

あなたは、そんな謳い文句に騙されてはいませんか?

大抵この手のLP(ランディングページ)には、「1ヶ月で◯◯万円を売り上げました」といった養成講座を受けた人たちの成功談がズラリと並んでいるものです。そして、「自分も一員になりたい」と願い、プレセミナーに申し込み、ついには数十万円もする養成講座に手を出してしまう。なんと恐ろしい。

そんなことにならないためにも、本記事を読んでください。もし、すでに高いお金を支払っているのなら、本記事の最後を読んでください。お金が戻ってくる可能性があります。

 

 

私の潜入調査

 

最近私は、とある会社のセールスコピーライター養成講座のプレセミナー(説明会)を受けてきました。

そこの会社の趣旨は、「自分らサービスをリリースする速度に、コピーライターが追いついていません。だから、コピーライターを養成することにしました。養成講座を受けた人には、弊社から仕事をお願いしようと思います。月100万円稼げます」といったものです。

プレセミナーを2時間受けた感想は、ひどい。あまりにもひどい。そう思った理由は3つあります。

1つ目の理由は、プレセミナー中、価格の話を一切しなかったからです。価格は、個別面談に行かないと教えてくれないそうです。はっきり言って、不信感しかありません。大抵は、プレセミナー中に価格を伝えるものです。ですが、これにはなかったです。

価格が分からなければ検討もできません。検討もできない状態で個別相談に申し込めとは、いささか不誠実ではないでしょうか。おそらく、誘惑に負けて申し込んだ人間を上手くクロージングして高額商品を売っていくのでしょう。


2つ目の理由は、振られる仕事の報酬が安かったからです。セールスレター1本書いて3万円ちょっとって。成果に応じて報酬は上がると言っていましたが、仮に2倍の6万円になったとしても安過ぎます。コピーライターを舐めているのでしょうか。この調子では、謳い文句の月100万円には到底届きません。こんな簡単な計算ができない人が、カモられるのでしょうね。

ついでに説明すると、養成講座のLPに華やかに語られる体験者の声、「月◯◯万円を超えました」といったものは、まとめ払いから得た数字でしかありません。ただ単に、数ヶ月分のサービスをまとめて売って、まとまったお金が単発で入ってきているだけです。サービス期間で割れば、何分の1になります。それをさも毎月入っているかのように誤解させ、「稼げるようになりたければ養成講座を受けてください」とするのが彼らの常套手段なのです。


3つ目の理由は、事前に費用がかかることを一切説明していなかったからです。プレセミナーの後に高額商品を用意しているんだろうなとは予想はしていました。とはいえ、本来は、プレセミナーの前に(最悪でもプレセミナー中に)、養成講座の趣旨を伝える時に費用の話をするのが筋というものです。その会社は、幾度となくメルマガや動画を送ってきましたが、養成講座にお金がかかるとは一言も言いませんでした。やっていることが悪徳業者と同じです。

不景気になるとマルチ商法やネズミ講が流行ると言われています。それは、お金に困っている人が増え、稼ぐ系の商売にまんまと騙される人が続出するからです。養成講座ビジネスもその一つです。

 

 

特定商取引法違反の恐れがある

 

私が不信感を抱いた3つ目の理由に関係しますが、仕事を発注(依頼)、斡旋すると謳い、必要費用を説明しないのは、特定商取引法に抵触する恐れがあります。

【業務提供誘引販売取引(法第51条)】では、「物品の販売または役務の提供(そのあっせんを含む)の事業であって業務提供利益が得られると相手方を誘引しその者と特定負担を伴う取引をするもの」とあります。

たとえば、「仕事をお願いするために仕事に必要な機器を購入してください」といったものがそれです。この場合、勧誘に先立って必要になる費用を告げなくてはいけません。

【業務提供誘引販売取引の広告の表示(法第53条)】では、業務提供誘引販売業を行う者が業務提供誘引販売取引について広告する場合、「取引に伴う特定負担に関する事項」「業務の提供条件」を表示するよう義務付けています。高額な養成講座の費用を伝えないのは、これに抵触する可能性があります。以下、太字にしている箇所が法に触れる恐れのある部分です。消費者庁から引用

 

業務提供誘引販売取引に対する規制
【行政規制】
1.氏名等の明示(法第51条の2)
業務提供誘引販売業者は、業務提供誘引販売取引を行うときには、勧誘に先立って、消費者に対して、以下の事項を告げなければなりません。

 

  1. 業務提供誘引販売業を行う者の氏名(名称)
  2. 特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をする目的である旨
  3. の勧誘に関する商品または役務の種類

 

 

 

3.広告の表示(法第53条)
特定商取引法は、業務提供誘引販売業を行う者が業務提供誘引販売取引について広告する場合には、次の事項を表示することを義務づけています。

商品(役務)の種類

  1. 取引に伴う特定負担に関する事項
  2. 業務の提供条件
  3. 業務提供誘引販売業を行う者の氏名(名称)、住所、電話番号
  4. 業務提供誘引販売業を行う者が法人であって、電子情報処理組織を使用する方法によって広告をする場合には、当該業務提供誘引販売業を行う者の代表者または業務提供誘引販売業に関する業務の責任者の氏名
  5. 商品名
  6. 電子メールによる商業広告を送る場合には、業務提供誘引販売業を行う者の電子メールアドレス
 
 
6.書面の交付(法第55条)
業務提供誘引販売業を行う者は、業務提供誘引販売取引について契約する場合には、それぞれ以下の書面を消費者に渡さなければならないことになっています。

A. 契約の締結前には、当該業務提供誘引販売業の概要を記載した書面(概要書面)を渡さなくてはなりません。
「概要書面」には、以下の事項を記載することが定められています。
  1. 業務提供誘引販売業を行う者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人にあっては代表者の氏名
  2. 商品の種類、性能、品質に関する重要な事項(権利、役務の種類およびこれらの内容に関する重要な事項)
  3. 商品名
  4. 商品(提供される役務)を利用する業務の提供(あっせん)についての条件に関する重要な事項
  5. 特定負担の内容
  6. 契約の解除の条件そのほかの契約に関する重要な事項
  7. 割賦販売法に基づく抗弁権の接続に関する事項

 



私が不誠実と感じるのは当たり前で、悪徳業者がはびこらないための法律に触れているかもしれないのです。ちなみに、私が今回関わった会社は、法に抵触している自覚があるのか、セールスコピーライター養成講座に関わるWebサイトのページをすべて消しています。聞くとこによると、養成講座の内容を口外しないよう誓約書を書かせるところもあるそうです。事実なら、法に触れている自覚があるのかもしれません。

今回は、セールスコピーライター養成講座に潜入してきましたが、おそらく、様々な業界で同様の養成講座があるのでしょう。もし、自分が受けた養成講座が法に抵触すると思えば、迷わず消費者庁などに相談してほしいです。支払ったお金を取り戻せるかもしれません。

養成講座は、「スキルを教える」までに留めたものがいいでしょう。「仕事がもらえる」などと甘い誘惑をしてくる業者には、最大限警戒したほうがいいです。

 

 

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