今回は、人間関係がもたらす売上への影響についてお話しします。
以前私は、あるワイン会社の営業マンからワインを購入していました。彼は営業成績がよく、全国の営業マンの中から表彰されることもあったほどです。しかし3年後、その彼は会社を辞めることになったのです。年々上がるノルマが達成できなくなったのが理由です。

私は「会社はあなたが辞めた後どうするつもりなの?」と聞くと、「新人を雇うようです」と答えたので、「でも、新人だったら、すぐにあなたの売上に追いつけないよね」と返しました。すると彼はこう答えました。「はい。でも年々上がるノルマを達成できなかった人間を切って、新人を入れる決まりなんです」。 私にはもう意味が分かりません。

結局、彼が辞めてからは、私はその会社からワインを買わなくなりました。彼は私にワインのことを一から教えてくれました。何かあるごとに顔を出してくれる彼が好きでした。 私は彼からワインが買いたかったのです。

社員を切るということは、その社員が築いてきたお客様との人間関係をも切るということです。それは、直接的な売上減を意味します。人間関係は数値化できないため、目に見えるデータとして残りません。しかし、この数値化できない人間関係こそが、売上に大きな影響を与えているのです。

売上という数値は、人間関係や信用といった数値化できないものによって支えられています。それを理解できなければ、企業の発展はありえません。本当に大切なものは、目には見えないのです。