1935年、「ティオ・ペペ」で御馴染の「ゴンサレス・バヤス社」は
創立100周年をを記念して、

"Old Sherry" (英語)を出版しました。

$シェリー・ミュージアム館長の嗜好文化研究の部屋-Sherry1935

その後の1948年には同社の「マヌエル・M・ゴンサレス・ゴードン氏」が
大幅加筆し、手漉きの紙に印刷された特別版

"Sherry-Xerez-Scheris"(スペイン語)というシェリー本を出版しました。

その特別版の発行部数は、な、な、なんと100部!

$Venenciador中瀬の嗜好文化研究-Sherry1948

この年の限定出版の理由は調べていないので解りませんが、
当時のスペインは1937年のあの悲劇的な「ゲルニカの爆撃」で、
これまで常に最大の市場だった英国が不買運動を始め、
間もなく勃発した第二次世界大戦(スペインは参加拒否)、

そして1939年のフランコによる独裁政権開始で、
1940年代はシェリー業界が急速に冷えていた時代でした。
1941年の輸出量は前年の1/4にまで激減。

そしてまた1945年にはかつてシェリーとして売られていた
モンティージャMontillaが独自のD.O.を取得。
シェリー産業に対する冷たい風が街を吹き荒れました。

が、それまで大きな宣伝をしてこなかったシェリー産業も
1948年頃からの英国の需要回復に願いをかけ、
収穫祭を実施するなど、この勢いを我が物にする為、
今までにないくらい手と頭を動かし始めたのです・・・


その後、この本は1972年に英国で一般用に
"Sherry"(英語)で出版されました。

$Venenciador中瀬の嗜好文化研究-Sherry1972

さらに1990年に英国で
"Sherry. The Noble Wine"の名で再版がなされ、

$Venenciador中瀬の嗜好文化研究-Sherry1990

日本ではやっと1992年に農学博士の「大塚謙一」氏の監訳で
「シェリー:高貴なワイン」が出版されました。

$Venenciador中瀬の嗜好文化研究-Sherry1992

英語版はネット上で手に入りますが、
日本語版は絶版につき、古書としてごくたまに
高額で出ているのを見るだけとなりました…