最適な運動強度
痩せるかどうかはエネルギー次第。1Kmジョギングするよりも、100mダッシュを10本する方が消費カロリーがはるかに多くなるので痩せやすいという人がいます。
ここでは、体脂肪を減らすのにもっとも適当な強度について、考えてみます。


筋肉は普段は脂肪を燃やしています。
そして、力やスピードが必要なときに
は、筋肉内のグリコーゲンを燃やしてパワーを出します。
つまり、筋肉は運動強度が低いときは脂肪の燃焼が多く、運動強度が増すにしたがって、グリコーゲンの消費が多くなります。
脂肪の燃焼と運動強度の関係は、ダグラスバッグをつけてエアロバイクを漕ぐとわかります。





下図は、自転車に発電機をつけて、消費カロリーと脂肪の燃焼量を測定したグラフです。
発電機の発電電力と運動消費カロリーは同じです。
そして、消費カロリーと心拍数はほぼ直線的に比例します。


下図では、脂肪の燃焼量は心拍数120までほぼ直線的に比例しています。

ところが、心拍数が120を超えると、脂肪の燃焼が急速に低下しています。

運動強度が増すと、筋肉がグリコーゲンを燃やしてパワーをだすからです。





最適値は最大パワーの65%
脂肪の燃焼に最適な運動強度は、多くの研究機関の研究によってすでにわかっています。
脂肪燃焼に最適な運動強度は最大パワーの65%です。




痩せるかどうかはカロリー次第か?
痩せるかどうかは消費カロリー次第だから、脂肪が燃えようがグリコーゲンが燃えようが、24時間の消費カロリーが同じだったら、結果は同じになると主張する人がいます。


下図の実験は、低強度の運動で400Kcal消費した場合と、高強度の運動で400Kcalを消費した場合の24時間の脂肪の消費量を調べたものです。
低強度で400Kcaの運動とは、だいたい2時間30分のウォーキングに相当する運動です。
高強度で400Kcaの運動とは、40分程度の筋トレまたはランニングに相当します。


運動中のグリコーゲン消費量
低強度の運動ではグリコーゲンの消費が少なく、脂肪の消費が大きくなります。
高強度の運動ではグリコーゲンの消費が大きくなり、脂肪の消費が少なくなります。



24時間の脂肪の消費量
実験の結果は、一日の消費量が同じであれば、低強度の運動をした日の方が一日の脂肪の消費量が多くなります。
筋トレのような高強度の運動をした日は脂肪の消費量が少なくなります。




筋肉のグリコーゲン
筋グリコーゲンは炭素と酸素が1・1で結びついた物質で、燃焼速度が速いので、宇宙ロケットのような爆発的なパワーを出すことができます。
筋グリコーゲンは、本来は敵に遭遇したときに一目散に逃げるための緊急用のエネルギーです。

そのため、運動で筋グリコーゲンを消費したあとは、身体は最優先がグリコーゲンの回復を図ります。
筋トレや水泳をすると、猛烈にお腹がすくのは、脳のためのブドウ糖を筋肉が横取りするからです。
ですから、脂肪を減らすには、なるべく消費カロリーが少なく、脂肪の燃焼が多い運動の方が良いのです。
その最適値が最大パワーの65%強度の運動です。

消費カロリーが大きいほど良いというものではないのです。

消費カロリーが少なくて、脂肪がよく燃える運動の方が良いのです。

その方がお腹がすかなくて、脂肪が燃えるので得なのです。



体脂肪率 = 体脂肪量÷体重

筋トレ派の人たちは、筋肉を大きくすることによって分母の体重を大きくすれば、体脂肪率が下がると考えているのですが、ダイエットでは、有酸素運動の方がより効率的に体脂肪率を下げることができるのです。

上の式をよく眺めてみるとわかります。
体脂肪率を下げるためには、消費カロリーが少ない運動の方が良いのです。

消費は大きくなくても、脂肪がよく燃える運動の方でさえあれば良いのです。
消費カロリーが大きいほど痩せられると考えるのは間違いです。


1Kmを30分で走るよりも、1Kmを1時間かけて歩く方が脂肪がよく燃えます。

同じ距離であれば、ウォーキングの方が時間が長くかかるので、1.6倍ほど脂肪の消費が多くなるのです。