糖質制限食(2)


今年の3月に、日本糖尿病学会の理事長が、極端な糖質制限食は勧められないと新聞に発表しました。
この理事長の発言に対して、ドクター江部がそれは学会の総意ではないと噛みつきました。
3日後に、日本糖尿病学会が「極端な糖質制限食は勧められない」と正式に発表しました。


今では、多くのサイトが日本糖尿病学会の見解を引用しています。
しかし、どのサイトも糖質制限食のどこがいけないのか、何がいけないのかを書いていません。


日本糖尿病学会は、摂取カロリーの50~60%の糖質を摂り、脂肪を制限する食事を推奨しています。

そして、糖質制限食は長期的なエビデンスが不足しているとして否定しています。

極端な糖質制限食も良くありませんが、糖質の必要量を摂取カロリーの50~60%とする日本糖尿病学会も間違っていると私は思います。
糖尿病患者が摂取カロリーの50~60%も糖を摂ったら、糖尿病は治りません。
その点では、ドクター江部の方が実際の医療に即していると思います。


糖尿病患者は糖の代謝が悪く、体内で処理できる糖の量が限られています。
ですから、1日に摂取する糖を、身体に必要とされる最小限度にしなければなりません。

それは腎臓病患者が蛋白質を制限しなければならないのと同じ理屈です。


摂取カロリーの何%のような基準では、仮に、1日の摂取カロリーが1600Kcalの人なら、糖質が240gにもなり、摂取カロリーが2000Kcalの人なら、300gにもなってしまいます。
そんなに糖を摂っていては、糖尿病が治るわけがありません。

私が糖尿病だった頃は、丁度その半分くらいにしていました。


糖質の必要量を考えてみましょう。

入院中の点滴患者は、24時間で96gのブドウ糖を点滴
注射で受けます。
看護師が数時間おきにまわってきて血糖値を測りますが、血糖値はいつ測っても110mg/dl以上あります。
つまり、ベッドで安静にしている患者は、1日に96gの糖があれば、110mgの血糖値を保つことができます。




人は血糖値が100mg以下になると空腹を感じますから、点滴患者は何も食べていなくても空腹でないことがわかります。
安静にしている人は、1日に96gの糖があれば良いのです。


・1日あたり96gのブドウ糖は、1時間あたりでは4gです。
・教科書には、大脳が消費するブドウ糖は1時間あたり6gと書かれています。これを1日の量に換算すると144gになります。
・アメリカでは、糖の必要量を150gとしています。
・日本の食事基準では、1日のエネルギー必要量が基礎代謝の約1.3~1.5倍とされていますが、この労作倍率を糖に当てはめると1日に124~144gになります。


これらのことから、日常生活に必要な糖質の最小量は130~150g程度とするのが妥当だろうと思います。

糖尿病患者はこの程度まで糖質摂取量を抑える方が良いのです。


日本糖尿病学会は、糖質制限食の勧められない理由を長期的なエビデンスが不足しているからなどとのんきなことを言っています。

そんなことでは、今のところエビデンスはないが、糖質制限食はやめた方が良さそうだ程度のニュアンスにしか伝わってきません。


糖尿病学会なのですから、1日に必要な最小限度の糖質を割り出して、それ以下にすると、どのような理由で、どのような弊害があるかを示さなければならないと思います。

学会なのですから、それくらいのことはすべきだと思うのです。

それができないのなら、糖質制限食の否定もできないと思います。


つづく...