およそひと月ほど前、日本映画について辛口の批評を書いた。
「日本映画は、国内である意味、国内にそこそこ需要があって、
映画を作っている会社は、みな、そこそこ利益が出ているので、
世界を目指そうという気概が無い。
この十年だけを見ても、世界標準に達している映画は相当あるが、
アメリカでもフランスでも上演されている件数は殆どない。
世界に主戦場を求めるのではなく、ジャニーズ系の俳優を起用して
国内の観客動員数を増やしたと喜んでいるように思う。
この図式は、邦画という産業が、そういう形でこの五十年間、生存した魔法の方程式ともいえる。
しかし、人口形態が少子高齢化に進んでいく今の世の中、
ジャニーズでいつまで食っていくことができるだろうか?」
実は、一昨日に終わったのだが、ニューヨークのジャパンソサイエティが、
一か月にわたって、JAPAN CUTSという日本映画のイベントを行っていた。
全部で30の作品を毎日上映。
ほとんど、2017年ー2018年の映画を上映していたようだ。
その中には、「blank13」という、斎藤工が初めて監督を務めた作品をはじめ、
大手4社の制作でないものがほとんど。ちなみに、blank13は割と良い映画だったが、
日本映画の最高レベルではないと思う。
さらに、2008年の「歩いても歩いても」という名作もあった。
普通の日本のシネコンでは上映されていない映画が多かったようだが、
魅力ある作品が多いように感じる。
Japan CUTSについては、こちらをご覧ください。
こういう努力を、ニューヨークだけではなく、
上海、北京、バンコック、ムンバイ、モスクワ、パリ、ベルリン、イスタンブール、リオ、トロント
と、世界各地で開催してほしい。
もちろん、各地で毎年一回。
さらに、他の日本の古典芸能や和の文化と組み合わせてのイベントを開催することによって、
日本は文化を輸出する魅力ある国になっていくと思うのだが。
予算はかかるだろうが、すぐに陳腐化する武器を買うよりはるかに日本の安全保障に寄与していく、
と、考えるのは私だけだろうか?