6月23日、香川県議会自由民主党議員会を代表して、当面する県政の諸課題について、知事、教育長、警察本部長を質しました!

 

1 財政運営について

 

【質問】

「骨太の方針2017」において、国は、経済社会の生産性の向上・成長を重視しながら、財政再建を目指す姿勢を鮮明にしているが、財政健全化目標を達成するためには、多くの課題がある。

一方、本県の財政運営に目を移すと、平成28年度一般会計決算見込みにおいて、県債残高が過去最高の8,547億円に達しており、そのうち、臨時財政対策債が3,692億円まで増大しているとともに、財源対策用基金の残高は373億円と平成27年度より約22億円減少しているところであり、国同様、財政の健全化が懸念されるところである。

知事は、人口減少下の地域活性化に戦略的に取り組むとともに、将来への不安を解消するための施策についても、積極的に推進しているところであるが、人口減少・活力向上対策、雇用対策、防災・減災対策、医療・福祉対策など、本県が取り組むべき課題は山積しており、財政状況に厳しさが増している中、これらの諸課題に対応していくことは、決して容易なことではないと考える。

また、将来を見据えると、「2025年問題」として、団塊の世代がすべて後期高齢者となることで社会保障関係経費の大幅な増加が見込まれ、社会保障制度を中長期的に持続可能なものとすることが困難になることも懸念されている中、本県としても、対応が求められるところである。

そこで、こうした財政の問題点に対応しつつ、計画的な財政運営にどのように取り組むのか、知事に伺う。

 

【知事の答弁】

私は、知事就任以来、戦略的な産業振興などによる県経済の活性化と雇用の拡大、交通ネットワークの充実などを通じた交流の活発化、子育て支援の充実や防災・減災対策の推進など、県民の安全・安心の確保、香川の将来を担う子どもたちのための教育環境の整備などの諸課題に、積極的に取り組んでまいりました。この間、平成22年度には「財政運営計画」を、27年度には「財政運営指針」をそれぞれ策定し、歳入確保策や歳出抑制策を講じた結果、目標どおり臨時財政対策債を除く県債残高を減少させるなど、計画的な財政運営に努めてきたところであります。しかしながら、臨時財政対策債を含む県債残高については引き続き増加しており、また、一般財源総額の減少などにより、財源対策用基金の残高が一昨年度から減少し始めていることから、財政規律の一層の確保や、様々な行政課題に持続的に対応するための財源確保が必要であると考えております。また、御指摘のとおり、毎年度累増する社会保障関係経費の財源確保は、国のみならず、地方においても重要な課題であり、中長期的な視点に立って財政運営を進めていく必要があるものと考えております。

こうしたことから、今月13日に行いました政府予算等に関する政策提案・要望において、消費税率引上げ再延期に伴う社会保障財源の確保、地方交付税をはじめとした一般財源総額の確保・充実、臨時財政対策債の廃止など、地方財政の充実・強化を最重要項目の一つとして、国に対し求めたところであり、今後とも、あらゆる機会を通じて、強く働きかけてまいります。

また、将来の財政見通しを適時把握しつつ、毎年度、「財政運営指針」の見直しを行い、歳入確保のための対策をはじめ、事務事業の見直しや行政経費の節減等を図っていくことなどにより、県債残高の抑制や財源対策用基金の残高確保に努め、次世代への責任の視点に立って、将来に過度の財政負担を残さない、計画的かつ持続可能な財政運営を進めてまいります。

 

 

2 ふるさと納税制度について

 

【質問】

本来、ふるさと納税制度は、地域の活性化、地方創生に結び付くことを目指して創設されたものだが、制度導入の効果が十分発揮されていないのではないかということが懸念されるため、本来の趣旨に立ち返った制度とするよう国に働き掛けることも必要ではないかと考える。

本県は、平成20年に「ガンバレさぬき応援寄付制度」を創設しており、香川県に想いを寄せている方々から本来の「ふるさと納税」をしてもらい、県勢の発展に活用したいものである。

そこで、本県に対するふるさと納税の昨年度の寄付の実績と寄付金の活用実績、また、これまでのふるさと納税制度に対する取組みと今後の対応について、知事に伺う。

 

【知事の答弁】

ふるさと納税制度は、ふるさとや地方団体の様々な取組みを応援する気持ちを形にする仕組みとして、平成20年度に創設されたもので、本県では、昨年度、1,759件、2,854万円の寄付をいただいたところであります。これらの寄付金については、寄付に際して御指定いただいた使途に応じて、今年度、児童生徒の学力向上に関する教育分野での事業や、県産木材に関する環境分野での事業、さらには、県産オリーブのブランドを確立するための農林水産業分野における事業など、新・せとうち田園都市創造計画に沿った様々な事業に活用することとしております。

県では、これまで、県外向け広報誌や各地での県人会、同窓会でのPR、高松空港を利用して帰省された方への周知等のほか、平成26年度から、5千円以上寄付いただいた方に返礼品を用意し、27年度以降は、5千円から1万円、1万円から3万円、3万円以上の3段階の寄付金額に応じた返礼品としております。さらに、今年度は、これまでのさぬきうどんやオリーブオイル、さぬき讃フルーツに、オリーブ豚やミニチュア盆栽などを新たに加えることで、返礼品を58種類から84種類に増やし、魅力ある県産品のPRも図っているところであります。 この返礼品については、国から、調達価格の割合を寄付額の3割以内とするなど、ふるさと納税制度の趣旨に沿った、責任と良識のある対応を求められており、本県では、国からの要請に沿った内容となっておりますが、引き続き、全国知事会などを通じて、ふるさと納税の本来の趣旨を踏まえた制度と節度ある運用について、働きかけてまいります。

 また、これまで以上に、今後、県外で開催する香川県物産展などにおける周知に努めるほか、県にゆかりのある方が集う首都圏等での各種イベントや同窓会など、様々な機会を捉えて、寄付の協力をお願いするとともに、納税者がさらに寄付しやすい環境の整備について検討してまいります。

 

 

 3 水道事業の広域化について

 

【質問】

水道事業の広域化は、業務の共同化等によりコストの削減を図り、水道料金の値上げを抑制でき、また、水源の一元的な管理等により安全で良質な水道水を安定的に供給していくことは、県民の安全安心な生活を守るため、極めて重要であると考える。

一方、各事業体が独立して実施してきた事業を統合することは、歴史的にも大きな変革を伴うものであり、とりわけ、各水道事業者間の内部留保資金、水道料金、施設整備水準等の格差是正をはじめ、事業者ごとに異なっている入札契約制度や、維持修繕業務等の運用などを統一することは、大変な困難を伴うものと思われる。

そこで、平成30年4月の事業開始に向けて、今年の11月頃には企業団を設立する予定とされており、限られた時間の中で鋭意作業を進められていると思うが、そうした格差の是正や制度の統一に、どのように取り組んでいくつもりなのか、知事に聞く。

 

【知事の答弁】

水道事業の広域化は、人口減少に伴う給水収益の減少や老朽施設の大量更新、耐震化の推進水への対応など、水道事業を取り巻く多くの課題を解決し、将来にわたり安定的に水道水を供給していくため、極めて有効な方策であると考えております。このため、本県では、県内一水道の実現に向け、一昨年4月に、私と関係市町長とで構成する「香川県広域水道事業体設立準備協議会」を立ち上げ、これまで2年余りにわたり、広域水道事業体の設立や広域化後の水道事業の運営方針等について、検討・調整を進めてきております。

本年3月下旬に開催した第6回の設立準備協議会では、企業団の組織体制や業務運営、施設整備など、広域化に関する主要事項について、基本的な方針をとりまとめたところであり、現在、このとりまとめ内容に財政収支の試算結果などを加えた「香川県水道広域化基本計画案」の策定を進めているところであります。

議員御指摘のとおり、水道事業の統合に向け、格差の是正や制度・運用の統一は、大きな課題であることから、計画案では、広域化による混乱を避けるため、段階的に実施していきたいと考えており、入札契約制度や維持修繕業務などについては、平成32年度に統一することとしております。

  また、水道料金については、10年間の経過措置期間を設け、その間、旧事業体ごとの区分経理期間満了時に遵守すべき財政収支の目標値を設定し、計画的な施設整備・更新を行うことにより、施設整備水準や財政格差の是正を図ったうえで統一することとしております。

企業団の設立は、本年11月を予定しており、県議会、関係市町議会の9月定例会では、企業団設置に係る議案の御審議をお願いしたいと考えておりますことから、今後、関係市町とより一層の連携と調整を図りながら、全力で取り組んでまいります。