10 麦作の振興について

 

 

香川では、昔から瀬戸内の温暖少雨という気象条件を活かし、水田の裏作の基幹作物として麦作が行われ、良質の小麦を使って香りがよく適度の粘りと弾力があり、しかも口当たりの良いうどんが作られ、それが郷土食として定着し、「うどん文化」が育まれてきたと考えられる。

しかし、盛んであった麦作も、昭和40年代後半には、県内の小麦の生産量が大幅に減少したため、讃岐うどんに使用される小麦が、日本の製麺用に開発されたオーストラリア産の小麦になった。

その後、平成に入り、消費者や製麺業界の方々から県産小麦の開発を求める熱い要望を受けて、平成12年に「さぬきの夢2000」が誕生し、平成25年の生産から「さぬきの夢2009」に切り替え、官民一体となったPR効果により、今や全国ブランドとなった「讃岐うどん」の活性化につなげることができている。

一方、「ダイシモチ」を含むはだか麦の生産量は、全国2位であり、品質も極めて優れているため、味噌業界などからも高く評価されている。さらに、食物繊維を多く含むことなどから、最近の健康志向の高まりを背景に、人気が上昇しており、はだか麦の増産の要望も高まっている。

このように本県にとって麦は、香川の伝統文化を支える貴重な存在であるとともに、水田の有効利用や農業所得を向上させ、経営の安定化を図る重要な作物であると考える。

そこで、麦作の振興について、今後どのように取り組むのか知事に伺う。

 

【知事の答弁】

本県農業において、麦は、さぬきうどんをはじめとする本県の食文化を支えるとともに、水田の有効利用や農業所得の向上による、経営の安定化を図る観点から、重要な作物であると認識しております。特に、うどん用小麦の「さぬきの夢2009」につきましては、民間流通麦の入札において、国産麦としては、国内最高価格で取引きされるなど、高い評価を受けているほか、本県のはだか麦の生産量は全国2位で、そのシェアは約2割を占める重要な品目となっております。

県では、実需者から生産拡大の要望の高い「さぬきの夢2009」や、はだか麦の作付面積の拡大と単収の向上をより一層進め、本県水田の裏作の基幹作物として、引き続き、生産振興に積極的に取り組んでいくことが重要であると考えております。

このため、「さぬきの夢2009」については、新規又は作付拡大する生産者に対して、作付面積に応じた助成を実施するとともに、大規模な麦作経営に取り組む認定農業者や集落営農組織に対して、生産拡大のために必要な播種機や大型コンバインなどの導入を支援しているところです。

また、単収の向上に向けては、今年度から新たに、土壌の排水対策の実施を支援するとともに、適期の播種作業の実施など、基本技術の徹底を指導することにより、一層の高品質化と安定生産に取り組んでまいります。

さらに、麦づくり推進研修大会に地元の製粉業者や精麦業者を招いて、直接、農業者に生産拡大を働きかけてもらうとともに、麦作のメリットや産地交付金など各種支援制度の周知にも努めてまいります。

今後とも、実需者ニーズに即した麦の生産拡大を進めることにより、水田の有効活用や農業経営の安定につながるよう積極的に取り組んでまいります。

 

 

11 担い手への農地の集積・集約化とほ場整備について

 

 

農業就業人口の減少や高齢化により、担い手の不足が顕在化し、農業生産性の低下のみならず、耕作放棄地が増加し、農地やため池等の農業用施設の保全管理が困難となってきている。

今後、本県の農業を持続的に発展させるためには、新規就農者の確保に加え、担い手の経営規模の拡大による効率的な農業経営が重要であり、そのためには、農地を担い手へ集積・集約化していくことが求められている。

農地の集積・集約化の取組みについて、県では、積極的な広報活動のほか地域の農地集積計画の作成支援を行っており、また、県農地機構では、地域の実情に即した集積活動が可能な体制の整備・強化に取り組むなど、きめ細かな取組みにより、その成果を上げている。

しかし、ほ場整備の進んでいない地域では、経営規模の拡大や水利の統合が行われず、農作業に多大な労力を要することから、農地の集積・集約化が進んでいない状況にあり、耕作放棄地の増加や多面的な機能の低下など、生活環境への悪影響も懸念される。

ほ場整備により、作業の効率化が図られ、土地生産性や農業生産性も高められ、また、生産性の高まった農地を担い手へ集積・集約化することで、耕作放棄地の発生の防止や再生、農地の保全につなげ、農地の有効活用、ひいては、食料自給率の向上にもつなげられると考える。

そこで、本県農業における担い手への農地の集積・集約化とほ場整備について、今後どのように進めていくのか、知事の考えを伺う。

 

【知事の答弁】

本県農業を持続的に発展させていくためには、担い手の経営規模の拡大に向けて農地の集積・集約化を促進することが重要であると考えております。このため本県では、これまで、農地中間管理事業を活用した担い手への農地集積を加速化するため、全国に先駆けて配置した農地集積専門員によるマッチング活動をはじめ、地域の合意形成活動や農地の受け手に対する助成、貸付期間の短縮など、県独自のきめ細かな取組みを実施してきたところであります。その結果、農地中間管理事業を活用した農地の貸付面積は、順調に増加しており、28年度に新たに担い手へ集積された面積は235ヘクタールと、前年度に比べて約2割増加し、事業開始後最大となり、年間の集積目標面積に占める割合も全国第10位と、過去最高の順位となったところであります。今後、より一層の農地の集積・集約化を図るためには、担い手への面的な集積・集約化を地域ぐるみで進める必要があることから、集落営農や日本型直接支払、基盤整備などと一体的に取り組むこととし、昨年度末には、地域の実情に応じて、これらの取組みを重点的に進める地区を定め、実施計画に基づき、推進しているところであります。

また、ほ場整備については、これまでも、各種事業制度を活用し、経済的かつ効率的な整備を推進してきたところでありますが、今年度からは、国の制度の対象とならない小規模なほ場整備について、整備後の農地の集積・集約率に応じて農家負担を軽減する「農地集積促進事業」を県独自で創設し、地域のニーズに即した整備を推進するとともに、農地の集積・集約化の一層の促進を図ることとしております。

 私といたしましては、引き続き県農地機構と連携しながら、農地中間管理事業を進めるとともに、農業生産部門と基盤整備部門の連携を一層強化し、担い手への農地の集積・集約化と各種事業を一体的に推進し、本県農業の持続的な発展を図ってまいりたいと考えております。