❹ 国民健康保険の保険料水準の統一化について

 

(質 問)

国民健康保険は、被保険者の年齢構成が高く、医療費水準が高いことや、所得水準が低いことなど、構造的な課題が指摘されております。このような国民健康保険の構造的課題に対応し、持続可能な制度を構築するために、平成30年度から国民健康保険が都道府県単位化され、都道府県は財政運営の責任主体として、市町村ごとに国民健康保険事業費納付金を決定し、市町村は、都道府県が決定した納付金額をもとに、保険料の算定方式や保険料率を決定することとなりました。

国民健康保険の運営が都道府県単位になり、安定的な財政運営が確保されるとともに、国民健康保険の被保険者が都道府県単位で支え合うことになりましたが、これまで、市町村単位の運営であったことから、被保険者の年齢構成、医療費水準など地域の実情によって県内市町の保険料水準は異なっております。

国においては、経済財政諮問会議で、民間議員から、国民健康保険の都道府県単位化を契機として、国民健康保険の保険料水準の統一など受益と負担の見える化を求める意見が出され、最終的に「骨太の方針2019」において、国民健康保険の都道府県内保険料水準の統一など受益と負担の見える化に取り組む都道府県の先進・優良事例について全国展開を図ることが盛り込まれたところであります。

一方、他の道府県においては、大阪府が、激変緩和の期間を設定したうえで、平成30年度から保険料水準の統一を実施し、北海道や奈良県などにおいても、市町村を交えて保険料水準の統一に向けた検討を行っております。

このような中、本県の状況を考えてみますと、県土面積が狭くコンパクトであり、医療機関も点在しており、他県に比べて県内の医療環境の差異は小さく、県内のどこに住んでいても同じ保険料水準とすることが可能な環境と思われます。

また、75歳以上の高齢者を対象に平成20年4月に創設された後期高齢者医療制度では、県内全ての市町が加入する「香川県後期高齢者医療広域連合」が市町と連携しながら、制度を運営し、保険料率については県内で統一しております。さらに、水道事業では、地域格差を解消すべく、知事が先頭に立って実現をされました。それ以上に地域格差がある国民健康保険制度であるからこそ、知事は水道事業以上にリーダーシップを発揮し、国民健康保険でも、県内どこで住んでも同じ保険料水準であることを目指すべきではないでしょうか。

そこで、国民健康保険の保険料水準の統一化に関して、県は、待ちの姿勢ではなく、国民健康保険の財政運営の責任主体として、県内のどこに住んでいても同じ所得・同じ世帯構成であれば、同じ保険料水準となることを目指して、県内の保険料水準の統一に向けた検討を、例えば、各市町も入るワーキンググループを作るなどして、市町とともに始めるべきと考えますが、知事の御所見をお伺いします。

 

(知事答弁)

次は、国民健康保険の保険料水準の統一化についてであります。

国民健康保険の保険料水準の統一につきましては、国が示したガイドラインにおいて、「都道府県内市町村の意見を十分踏まえつつ、将来的には、都道府県での保険料水準の統一を目指し、
都道府県内の各地域で提供される医療サービスの均質化や医療費適正化の取り組み等を進めることが求められる」とされております。

このガイドラインに基づき、本県では、平成29年12月に策定した「香川県国民健康保険運営方針」において、「県内の保険料水準の統一については、当面、時期を限定せず、将来的に年齢調整後の医療費水準等の市町間格差が縮小した時点で、検討する」ことといたしました。

その後、本年6月に閣議決定された、いわゆる「骨太の方針2019」においては、「国保の都道府県内保険料水準の統一や収納率の向上など受益と負担の見える化に取り組む都道府県の先進・優良事例について全国展開を図る」とされたところであります。

こうした中で、本県の現状では、各市町の1人当たり医療費で最大1.34倍、収納率で最大8ポイントの差があるほか、市町が実施する保健事業などにも差があることから、直ちに保険料水準を統一することは、医療費水準の高い市町の納付金を、医療費水準の低い市町が負担することとなり、市町や県民の皆様にとって公平な負担とならないと考えられ、医療費水準等の市町間格差が縮小した時点で、保険料水準の統一について検討したいと考えております。

こうした考え方のもと、まずは、医療費水準等の格差が縮小するよう、国保データベースを活用した医療費分析による効果的な保健事業の展開や、研修会の実施等を通じた助言を行うなど、市町が行う取組みについて、積極的に支援しているところであります。

また、国民健康保険の運営についても、県内各市町との間で、年に6回程度開催する「市町国保広域化等連携会議」や、全市町を対象とする個別ヒアリングにおいて、意見交換を行っております。

私といたしましては、保険料水準の統一について、今後、こうした場を活用し、他県における先進・優良事例についての情報共有を図るとともに、御提言のワーキンググループ設置の必要性についても、御意見を伺うなど、検討の進め方や時期等について、各市町と幅広く意見交換を行ってまいります。

 

 

 

❺ 地方創生のための企業高度人材の確保について

 

(質 問)

東京一極集中、地方の疲弊などが言われ始め、国や都道府県が様々な対策、事業を行ってきておりますが、東京圏では昨年、約14万人の転入超過となるなど、東京一極集中の流れはほとんど変わっていない状況です。この東京へ流入する人材を輩出しているのは地方であり、合計特殊出生率を考えてみても地方の力の減退は、その地方のみならず、日本全体の崩壊につながると考えております。そのため、国も県も、本腰を入れて地方における活力の向上に対応していかなければいけません。

地域の活力の向上、地域活性化のためには、様々な取組みが必要ですが、特に、その地域に住む人の生活の糧となる給与を出す企業が元気になることは大きなポイントであり、そのためには、地域企業で能力ある社員を確保し、企業活動を活性化していかなければなりません。

本県には、高度な技術や特徴的な商品を持つ企業が数多くあります。本県企業の強みを活かし、その一層の発展・活性化を図る上で、マネジメント層や、企業活動を引っ張っていける層の人材が特に必要と考えられますが、こうした高度人材の確保に苦慮しているという企業も多く、なかには、そうした社員の獲得をもうあきらめかけているという企業もあるように聞いています。県としても、こうした企業マネジメント層などの高度人材確保に対する支援を十分に行わなければならないと思います。

高度人材の確保支援策としては、まず、かがわ産業支援財団に置かれる「プロフェッショナル人材戦略拠点」での活動があると聞いておりますが、県内中小企業への人材の紹介状況等はどのようになっているか、また、今後こうした高度人材の確保にどのように対応していくのかお伺いします。

また、国では、本年6月に閣議決定された成長戦略フォローアップの外国人材の活躍推進のなかで、高度外国人材の受入促進を掲げ、重点的に取組みを進めていくこととしています。具体的には、国際的な人材確保競争が激化する中、高度外国人材にとって我が国の就労環境等がより魅力的となり、かつ、長期に活躍できるよう、外国人留学生等の国内就職促進のための取組みなどを展開していくものです。こうした国の動きは、人口減少・少子高齢化の状況や東京一極集中の状況を踏まえたものであり、本県においても、県内企業の人材確保のために、県内大学等における留学生を県内企業への就職につなげるなどの、高度外国人材の確保も欠かせないと考えます。

そこで、県内の外国人労働者のうち高度外国人材の現状や、県で4月に開設した外国人労働人材関係相談窓口における、高度人材に関する相談状況について伺うとともに、県内大学等の留学生の県内企業への就職や、高度外国人材の雇用を希望する企業をどのように支援していくのかお伺いします。

 

(知事答弁)

次は、地方創生のための企業高度人材の確保についてであります。

県では、平成27年12月に「プロフェッショナル人材戦略拠点」を設置し、民間企業等での職務経験を持つ専門スタッフが、県内の中小企業等を訪問し、経営相談を行いながら、各企業の課題解決に必要な高度人材のマッチングを支援しております。

具体的には、大手企業の管理部門経験者で経営者として引き継げる人材のほか、元工場長や営業所長など生産性向上や営業力強化に貢献できるマネジメント人材、新規プロジェクトの立上げや海外事業展開等の経験を持ち即戦力として企業活動を牽引できる人材など、先月末までに186名の方が県内企業に就業しております。

また、このうち約6割に当たる115名が県外からのUJIターンであり、都市圏からの人材還流にも貢献しているものと考えております。

今後とも、商工団体や金融機関等と連携を深めながら、県内中小企業等において、多様なニーズに沿った、より多くの高度人材の確保が図られよう努めてまいります。

次に、高度外国人材については、厚生労働省によると、企業等の経営者や管理者、機械工学等の技術者や通訳など、専門的・技術的分野の在留資格により本県で就労される方が、昨年10月末現在で637人と、平成25年の 300人から大幅に増加しています。

また、本年4月に開設した「外国人労働人材関係相談窓口」において、先月末までに受け付けた相談77件のうち7件が、高度外国人材の求人方法や、雇用手続き等に関するものとなっております。

こうしたことから、今月17日に開催した外国人材活用講演会において、外国人留学生の採用も含めた活用事例の紹介を行ったほか、来月には、留学生と採用を希望する県内企業との交流会や、合同企業説明会を開催することとしており、今月24日には、参加企業等を対象に、ジェトロの協力を得て、事前セミナーも実施することとしております。

さらに、関係機関との「外国人材の受入れ・共生に係る連携会議」において、留学生の県内就職の状況や課題等について意見交換を行っているところであります。

私といたしましては、こうした場での御意見等も踏まえ、関係機関と連携しながら、留学生と県内企業との交流促進や、高度外国人材の活用事例の効果的な発信に努めることなどにより、引き続き、留学生の県内就職と県内企業における高度外国人材の雇用を積極的に支援してまいります。

 

 

 

❻ 外国人観光客の誘客について

 

(質 問)

9月28日からは、瀬戸内国際芸術祭の秋会期が開幕します。また、直近ではラグビーワールドカップが始まり、来年度は東京オリンピック・パラリンピック、その後は大阪万博など、日本国内へのアジアのみならず欧米豪など、多くの国からの外国人観光客の増加が見込まれる祭典が目白押しとなっています。また今年7月には、日本最大の前方後円墳である仁徳天皇陵古墳を含む古墳群の世界文化遺産への登録が決まるとともに、2023年には空海生誕1250年を迎えるなど、日本という国が世界から注目を集める状況となっており、これを機に香川県へ足を向けてもらうことができれば、観光客の宿泊や観光消費を取り込む絶好の機会となると考えます。

今年は、瀬戸内国際芸術祭の開催年で、春会期に来場した38万人のうち、21%が、外国から訪れた方々だったということです。瀬戸内国際芸術祭からの流れを一過性のものとせず、誘客促進に継続して取り組むとともに、本県での滞在時間を伸ばし、観光消費を増やすため宿泊を伴う観光客を増加させるなど、地域の活性化に繋げていくことが重要です。

一方、日韓情勢の悪化も報道されております。外交関係の問題に対しては、県としてはなかなか対策が打ちにくいことは理解していますが、世界各国から訪れてもらえる地域にしていくことで、外交情勢に左右されにくい観光エリアとなり、安定的な誘客につながるのではないでしょうか。県民の関心も高いため、まず、現在の韓国旅行客の状況はどうなっているのかをお伺いします。

また、外国人観光客の誘客における地域間競争が激化する中、選ばれる地域となるためには、高松空港の国際定期路線の就航先でのプロモーションや誘客活動に加え、首都圏・関西圏などでのプロモーションを実施し、いわゆるゴールデンルートからの積極的な誘客が必要でまずは本県旅行に満足してもらい、リピーターになってもらうとともに、帰国後に本県観光地の魅力などを広めていただくことが重要となるでしょう。

そのためには、個人旅行が主流となり、旅行目的が多様化・細分化しているニーズを把握するとともに、県内の観光スポットの魅力向上や、瀬戸内海やアートといった本県ならではの観光資源を活用し、観光消費を拡大させる夜型観光の充実はもとより、外国から訪れた方に言葉の壁や情報収拾の不自由さを感じさせないような受入環境の充実や、有事のリスクマネジメント体制として、昨年のような自然災害が発生した際の初動対応の周知や、迅速な情報提供への対応は欠かせないと考えます。

そこで、東京オリンピック・パラリンピックなどの各種祭典や古墳の世界遺産登録などの機会を捉えた、香川県への外国人観光客の誘客に関して、どのように臨んでいくのか、また、その中でも利便性や満足度を高めるための基本となる、言葉の壁を感じず、不自由さを感じさせない・安心感を高める受入れ環境の整備に今後、どう取り組んでいくのか、お伺いします。

 

(知事答弁)

次は、外国人観光客の誘客についてであります。

まず、韓国旅行客の状況については、日韓情勢の悪化に伴う需要低迷等により、先月から、予約キャンセルの発生や新規予約の鈍化などが出始めており、ソウル線の先月の利用率は66.5パーセントと、7月と比べ、8.4ポイント低下したところであります。

次に、外国人観光客の誘致については、高松空港の定期路線就航先である東アジアに加え、欧米豪からの誘客を推進することが重要であり、現地旅行博やSNSを活用した情報発信に加え、現地PR会社等を活用したプロモーションやインターネット上の動画投稿サイトでの広告配信などに取り組んでおり、引き続き、効果的な情報発信や、新たな旅行商品に、本県の観光資源や広域観光周遊ルートが組み込まれるための商品造成支援に努めてまいりたいと考えております。

また、外国人観光客の目線に立った集客力の高い夜型観光の充実については、本日の夜から県庁21階の展望室で上演するプロジェクションマッピングや、11月下旬からの栗林公園のライトアップに加え、民間事業者等が取り組む夜のイベントへの支援などを通じて、 積極的に取り組み、誘客につなげてまいります。

一方、外国人観光客の受入環境整備については、多言語対応の充実・強化のため、「香川県多言語コールセンター」を運営しており、来月から、これまでの通訳・翻訳サービスの提供に加え、本県を訪れる外国人観光客の宿泊・飲食施設等の予約代行を行うなど、外国人観光客の利便性の一層の向上に努めてまいりたいと考えております。

また、自然災害等発生時の対応については、外国人観光客の目線による「防災マニュアル」や「県内観光事業者向けの災害時等対応マニュアル」を、今月、新たに作成し、観光案内所や宿泊施設などで配布・活用しているところであり、今後は、県内観光施設や公共交通機関等と連絡調整会議を設け、外国人観光客へのスムーズな情報提供のための連絡体制の構築に取り組んでまいります。

私といたしましては、ラグビーワールドカップなどの国際的な行事を、より多くの外国人観光客に訪れていただく絶好のチャンスと捉え、本県が周遊・滞在地域として選ばれ、継続的に誘客が図られるよう、効果的な誘客活動や情報発信に取り組むとともに、外国人観光客の利便性と満足度の向上につながる受入環境の向上に努めてまいります。