❼ 県産野菜及びはだか麦の振興について

 

(質 問)

本県の野菜は、瀬戸内の温暖な気候を生かして、露地野菜のブロッコリー、レタスや施設野菜のいちご、アスパラガスなど、様々な野菜が生産されています。これらの野菜は、県民の豊かな食生活を支えるとともに、本県の野菜産地は、東京や大阪など大消費地への供給地として発展してきました。その結果、本県における平成29年度の野菜産出額は257億円で、農業産出額全体の3割以上を占めるとともに、毎年150人程度の新規就農者のうち野菜を主とする農業者が7割を占めるなど、本県農業を牽引する基幹作物となっています。

しかしながら、野菜をめぐる情勢は、市場価格の低迷や労働力不足、ハウス資材の高騰など、年々厳しさが増しており、生産者は所得確保に大変苦労されていると聞いています。また、近年、大型台風の襲来や夏の猛暑、秋の長雨、暖冬などの異常気象により、ブロッコリーやレタスを中心に、計画的な生産を行うことが難しくなっています。

こうした中、本県野菜産地を次世代につないでいくためには、AI技術の活用など、情勢の変化に的確に対応していくことが重要と考えますが、県では、今後、県産野菜の生産振興にどのように取り組むのか、知事の考えをお伺いします。

また、私の地元である善通寺市が主産地のはだか麦については、古くから水稲との二毛作で栽培される基幹作物として栽培されており、生産量は全国第2位を誇り、麦味噌などの原料として、その品質が高く評価されております。

近年、健康志向等を背景にはだか麦の需要は増加しており、特に生活習慣病の抑制に効果があると言われる大麦βグルカンを多く含む、もち性はだか麦、いわゆるもち麦は、白米と混ぜて食べるとぷちぷちとした食感があり、食物繊維も豊富で、健康食品として全国的に人気となっています。

善通寺市では、このもち麦の「ダイシモチ」を市の特産品として売り出しており、この8月には、主力商品の「讃岐もち麦ダイシモチ」について、食後の血糖値の上昇抑制や腸内環境を整える効果が認められ、消費者庁から機能性表示食品として登録されるなど、今後、善通寺市産「ダイシモチ」の知名度向上も期待されるところです。

このように、もち麦を含むはだか麦は水田を有効活用し、農家の所得向上にもつながる、さらには健康にも良い非常に優れた作物と考えており、より一層の生産拡大が求められています。

そこで、はだか麦の振興にどのように取り組むのか、知事にお伺いします。

 

 

(知事答弁)

次は、県産野菜及びはだか麦の振興についてであります。

まず、本県の基幹作物である野菜については、野菜産地の持続的発展に向け、近年の気象変動や実需者ニーズ等に対応した産地づくりを進めるなど、野菜経営の安定を図ることが重要であると考えております。このため、ブロッコリー、レタス等の秋冬野菜については、降雨の影響を極力避け、計画的な定植を行うため、ほ場の外周に排水路を設置する「額縁明渠方式」の普及を図るなど、排水対策のより一層の推進に努めるとともに、品目によって異なる、うね幅などの栽培様式を統一化することにより、ほ場の準備作業を短期間で行うことのできる生産技術の確立に取り組んでまいります。

また、市場に、より正確な出荷時期や出荷量などの産地情報を提供することが有利販売につながるため、今年度から、ブロッコリーについて、AIを活用した、気象や生育状況などのデータ分析による出荷予測情報システムの開発に取り組んでいるところであり、より安定した市場取引の拡大に向け、早期実用化に努めてまいります。

さらに、施設野菜については、パイプハウスの資材や施工費等の高騰が、経営安定のネックになっていることから、自力施工のための技術研修会を開催するなど、初期投資の軽減にも取り組んでまいります。

一方、はだか麦については、小麦と同様に水稲との二毛作で栽培される重要な作物であり、御指摘のとおり、近年、健康食ブーム等により、はだか麦の持つ機能性が注目されており、需要が増加しております。

こうした需要に応じた生産拡大を図るため、規模拡大に必要な機械の導入支援のほか、

はだか麦は、小麦以上に排水対策の徹底が重要であることから、農業改良普及センターによるきめ細かな栽培技術指導を通じ、一層の安定生産に取り組んでまいります。

さらに、はだか麦は、収穫時期が小麦より早く、収穫作業が競合しないことから、大規模な麦作経営に取り組む認定農業者や集落営農組織に対しては、はだか麦と小麦を組み合わせた作付面積の拡大も推進してまいります。

私といたしましては、今後とも、産地の持続的発展が図られるよう、野菜やはだか麦の生産振興に積極的に取り組んでまいります。

 

 

❽ 公共土木施設の維持管理について

 

(質 問)

県民生活、県内経済活動に必要不可欠な橋やトンネルといった社会資本の整備・保全は、効果的・効率的に進めていかなければならないものであります。

しかし、高度経済成長期以降に建設された公共土木施設の老朽化が進み、維持管理等に要する経費が増大することが見込まれる中、財務省の推計では、橋やトンネルといった公共土木施設の不具合を予防する保全作業を怠った場合、2048年度の納税者1人当たりの維持管理費の負担が最大で2018年度の3.3倍に膨らむとの新聞報道がありました。

これは、今後30年間で施設の老朽化と人口減少が進むためで、仮に予防保全に取り組んでも負担は1.7倍になるとされてはいますが、不具合の発生前に対策を講じることにより施設を長持ちさせる「長寿命化」の取組みをしっかり行い、少しでも維持管理費の負担を抑えることが肝要です。

そのためには、それぞれの施設の老朽化の状況に応じた計画的なメンテナンスを行い、公共土木施設の長寿命化を図り、長期的なコスト縮減を図っていく必要があると考えます。

定期的に点検を実施し、施設の状態を把握するとともに、道路橋やダム施設、港湾施設などの個別施設の長寿命化計画を順次策定の上、計画的な補修工事に取り組み、こうした取組みに対応できる技術職員の育成も進めていると聞いていますが、公共土木施設の長寿命化対策について、これまでの取り組み状況と今後どのように取り組んでいくのか、知事のご所見をお聞かせください。

一方で、道路や河川、海岸などの公共土木施設については、地域住民から、常に安全、かつ快適に利用できることも求められており、私自身も地元の方から、道路や河川の草刈についての要望をよくお聞きしているところであります。

県は、施設管理者として、除草や施設の清掃などの日常的な維持管理を行っていますが、このような草を刈ったりごみを拾ったりする施設の環境美化については、地域住民によるボランティア活動としての取り組みも行われており、県は、活動団体に対して、用具支給などの支援を行っていると聞いています。

制度が始まって、久しいと思いますが、近年における活動団体の参加状況はどうなっているでしょうか、活動団体の中には、参加住民の高齢化が進むなど、活動が困難になってきた団体などもあるのではないでしょうか?

公共土木施設は県民の財産でもあることから、このような活動を広く周知し、より多くの方々に参加していただき、県民の一人一人が道路や河川、海岸などをきれいに長く大切にしていこうという意識を持つことが重要であると考えます。

そのためには、こうした道路や河川などの環境美化へのボランティア活動をさらに盛り上げていく必要があると考えますが、この点について、今後どのように取り組んでいくのか、知事のご所見をお聞かせください。

 

 

(知事答弁)

 最後は、公共土木施設の維持管理についてであります。

まず、公共土木施設の長寿命化対策については、各施設の長寿命化計画を策定し、それに基づく補修工事などを計画的に実施しているところであります。

このうち、道路橋では、対策が必要となる184橋のうち、これまで57橋で補修工事等を実施しており、今年度、新たに県道善通寺府中線の五条橋など27橋で工事に着手する予定としています。

水門など河川管理施設では、対策が必要となる22施設のうち、これまで8施設で補修工事等を実施しており、今年度、新たに大橋川水門など3施設で工事に着手しています。

港湾施設では、対策が必要となる61施設のうち、これまで33施設で補修工事等を実施しており、今年度、新たに三本松港など2施設で工事に着手する予定としています。

このほか、ダムや下水処理場においても、機器や設備の更新工事を計画的に行い、長寿命化対策に取り組んでいます。

また、海岸保全施設については、計画策定を終えた海岸から、補修工事に着手し、来年度までには残りの計画策定を終えることとしており、これにより公共土木施設すべての計画策定が完了することとなります。

さらに、維持管理に携わる技術職員の育成にも努めており、平成22年度から昨年度までに、公共土木施設保全技術者養成事業として、国の研修機関に延べ144人の職員を派遣し、専門的な知識等を習得させており、今年度は13人を派遣する予定であります。

私といたしましては、厳しい財政状況ではありますが、公共土木施設の補修工事などに要する予算の確保に努め、引き続き職員の育成も含め、計画的かつ効率的な長寿命化対策に取り組み、

県民の皆様の安全・安心の確保に努めてまいりたいと考えております。

次に、道路や河川などの環境美化へのボランティア活動については、県民の皆様とともに適切な維持管理が行えるよう官民による協働事業に取り組んでいるところであります。

先月末現在、県管理道路を対象とした「香川さわやかロード」では、138団体、約9千人、県管理河川を対象とした「リフレッシュ『香の川』パートナーシップ事業」では、99団体、約1万1千人、県管理海岸を対象とした「『さぬき瀬戸』パートナーシップ事業」では、39団体、

約5千4百人のボランティアの方々が活動しております。

県では、これまでにも、県広報誌やホームページなどを通じて、広く県民の皆様に参加を呼びかけるとともに、活動団体に対する用具の支給など、ボランティア活動の支援にも努めてきておりますが、議員御指摘の課題もあることから、引き続き、ボランティアの方々の御意見も伺いながら、少しでも多くの県民の皆様に御参加いただける環境づくりに取り組んでまいりたいと考えております。

 

 

❾ 小中学校の教育指導体制の充実について

 

(質 問)

7月に今年度の全国学力・学習状況調査の結果が公表されました。本県の状況は、小学校では国語、算数ともに全国平均を上回り、中学校においては国語、数学が全国平均と同程度であるものの、英語は平均をやや下回るという結果でした。この学力・学習状況調査への対応も大切ですが、今後、未来を担う子どもたちに必要な能力は何かということを踏まえた上で、その基礎となる力を身に付けさせることが重要になってくると思われます。

いよいよ来年度から小学校から順次、新しい学習指導要領が全面実施されます。指導要領の中では、子どもたちが予測困難な社会を生き抜いていくためには、自ら考え、判断し、表現できるという、「生きる力」を育むことが重要視されており、情報化やグローバル化が急速に進む中で、情報活用能力やプログラミング的思考の育成、理数教育や外国語教育の充実など、学校では多岐にわたって指導の充実を図っていかなければなりません。

また、子どもたちを取り巻く環境が急速に変化する中で、いじめや不登校など生徒指導上の諸課題についても適切に対応する必要があります。

一方で、本年6月に発表されたOECDの調査によれば、日本の中学校教員の週当たりの勤務時間は56時間で参加国の中で最も長く、教職員が心身両面の健康を維持しながら、学習指導や生徒指導に意欲的に取り組むことが子どもたちの教育に良い効果をもたらすことを考えますと、学校における働き方改革を早急に、かつ着実に進めていく必要もあります。

子どもたちの学力や生徒指導の問題と、教職員の働き方改革は密接に関係する問題であり、こうした複雑かつ多様化する教育課題を解決していくためには、学校運営の基盤となる指導体制をどうしていくかが重要な要素であると考えられます。

国では、このような現状と課題を踏まえ、本年4月、中教審に対して義務教育9年間を見通した児童生徒の発達の段階に応じた学級担任制と教科担任制の在り方などについて諮問したところであります。

本県では、これまで小中学校において、香川型指導体制により、子どもたちの確かな学力の育成、豊かな人間性、健やかな体を育む教育に取り組んできたところですが、時代の変化に伴い、顕在化する様々な課題にも的確に対応できる指導体制に改めていく必要があると考えます。

そこで、これまでの香川型指導体制の成果と課題についてどのように認識しているのか。また、それらも踏まえ、今後、小中学校の教育指導体制をどのように見直し、充実させていこうとしているのか、教育長にお伺いします。

以上で、香川県議会自由民主党議員会を代表しての質問を終わります。

 

(教育長答弁)

自由民主党議員会代表 辻󠄀村議員の小中学校の教育指導体制の充実についての御質問にお答えいたします。

 香川型指導体制は、基礎的・基本的な学習内容の定着等を目的に、少人数指導を基盤として平成13年度に導入し、平成23年度からは少人数指導に少人数学級、学力向上基盤形成を加えた3つの柱からなる本県独自の指導体制として実施してきたところであります。

これまで、教員が一人ひとりの児童生徒にしっかり関わることで、生徒指導面や学習面において一定の効果が見られ、特に、学習の理解度に応じたきめ細かな指導を行うことで、授業が「よく分かる」と答える児童生徒の割合が年々増加するなど、成果を上げてきました。

一方、時代の変化に伴い、いじめや不登校などの生徒指導上の課題や、特別な支援が必要な児童生徒数の増加、外国人児童生徒への対応など、学校が直面する諸課題が複雑化・多様化するなか、新学習指導要領における英語教育やプログラミング教育の導入などにも対応する必要があり、加えて教職員の働き方改革の視点も踏まえ、現在の指導体制をどのように再構築していくかが大きな課題であると認識しております。

 来年度から全面実施される新学習指導要領では、主体的・対話的で深い学びが求められていることから、学級経営の安定性を目的にしてきた少人数学級について、児童生徒の学びの質を高めるという視点で、その充実を図る必要があります。

また、小学校における教科担任制の拡大や専門スタッフの拡充によるチーム学校の推進などにより、教員の負担軽減を図りつつ、学校が直面する様々な諸課題に対し、総合的に解決できるような、新しい指導体制を確立することが重要だと考えています。

本年6月には、国に対し、教職員定数の抜本的な見直しを図るとともに、学校の指導運営体制を強化するうえで必要な財源を措置するよう、要望したところですが、県教育委員会といたしましては、本県の教育水準の一層の向上を図るため、引き続き国の動向を注視しながら、効果的な指導体制の実現に向け、総合的に検討を進めてまいります。