★ 空き家対策について(県議会2月議会総務委員会)

 

(辻村修:質問)

市内を歩いて、非常に気になるのは、空き家の増加である。既に空き家になっている所は既に手遅れであるが、おばあさんが1人居るが施設に入っていて今は居ないという所や、大きな屋敷に独居老人の方が1人だけという所もかなりある。このように、もう近い将来、空き家になるのではないかという空き家予備軍が非常に急増している気がする。

昨年度の環境建設委員会において、空き家対策について土木部に質問をしたが、全庁挙げての人口減少対策、移住促進に取り組む中、施策の総合調整を担う政策部がどのように空き家対策について考えているのかお聞きしたいと思う。

少子高齢化に伴う人口減少や、大都市圏への流出等の影響により、住む人がだんだん居なくなり、空き家となる住宅が急増している。空き家は、管理が行き届かなくなることで老朽化し、家屋の倒壊や屋根・外壁の落下、庭木や雑草が生い茂って隣地や道路に越境するなど、近隣への影響や地域の防犯性の低下など、様々な問題が顕在化している。特に、土塀、ブロック塀が、地震で道に倒れる感じになり、本当に危険な所は地元市町が対処しているようだが、なかなか勝手に手がつけられず近所の人も困り果てている、というような状況も散見される。

空き家の問題はいろいろと複雑で、更地にすると固定資産税が上がるとか、空き家を潰して道が狭い所に家を作るより、便利な広い道沿いに新しく建てた方が安く上がり便利である場合があり、なかなか対応が進まない状況となっている。

そこでまず、空き家に対する政策部長の認識と、空き家の現状について、見込みも含めて、改めて確認したい。

 

(政策部長:答弁)

  管理されない空き家が発生すると、安全性や公衆衛生の関係、あるいは景観を阻害する、あるいは市場性が低下する、地域における生活環境、住民生活に様々な影響が及ぶと考えており、これについては、一定行政が関与して、発生抑制、あるいは活用の促進、除却も含めて、総合的に対策を講じることが重要ではないかと認識している。

現状については、5年ごとに「住宅・土地統計調査」が行われており、平成30年の「住宅・土地統計調査」では、香川県の住宅総数48万7700戸、空き家8万8200戸で、この中に別荘、賃貸用や売却用の住宅が4万1500戸含まれているが、全体としての空き家率は18.1%であり、全国で高い方から8番目である。全国平均が13.6%なので、4.5ポイント高い状況である。

最近の推移は、5年ごとの調査であるが、前回調査からは0.9ポイント増加、前々回調査の10年前と比較した場合は2.1ポイントの増加であり、全国平均を上回る空き家数の増加という状況であるが、この5年間は、その増加率については少し鈍化している。

 

(辻村修:再質問)

  様々な事情があって鈍化しているのだと思うが、先ほど言ったように、もう予備軍がかなりの数あるのは間違いなく、あと5年、10年したらもっと恐ろしいほど増えるのではないかという気がする。

2015年、平成27年に、「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行された。現在、同法に基づき各種の取組みが進められていると承知しているが、空家法の枠組みの中で、国、県、市町の役割分担はどのようになっていて、県ではこれまでどのような取組みを行ってきたのか。例えば、先ほど言ったように、固定資産税の話が関わってきたりする。そういった時に、根本的な解決を図るには、地元の市町に押し付けたのでは本当に難しいのではないかと思う。本当に解決するために、そのあたりの役割分担が、今現在、どうなっているのかということについて、どうすればいいのかという認識も含めて伺う。

 

(政策部長:答弁)

  平成27年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」ができ、国は、空家対策に係る基本指針を作ることとなっているが、やはりこの法律の枠組みの中でも市町の役割が非常に重要である。空家対策計画の策定や、話し合いをする協議会の組織、空家を早く把握するための立入検査、あるいはデータベースの整備、適切な管理促進のための援助や、空家及び跡地の活用のための対策、危険な空家である特定空家、それに対する措置など、行政の空き家対策の実施主体として最も重要な役割を担うのが市町という位置付けになっている。

県の役割としては、市町に対する情報提供や技術的助言、市町間の連絡調整などが求められており、共通して推進すべき施策、取組みを促すような役割、あるいは個別の施策に対する相互の情報提供や技術的助言、県全体としての施策の水準や取組みの内容を揃えていくといった役割、広域調整の役割がこの法律の中で求められている。

空き家に関する取組み自体は、法律の所管は土木部であるが、これまで6年間で1000件ほどの除却を行い、今後発生させないという意味合いにおいては、「空き家対策連絡会議」を開催して市町との間での意見交換や、「空き家利活用サポートチーム」の登録制度の創設、あるいは「香川県空き家ガイドブック」を作成、適正管理、利活用、相続などの検討、あるいは「空き家再生コンテスト」も実施していると聞いている。

政策部としては、先ほど申し上げたような防犯の課題も含めて複数の課題があるので、移住のタイミングで、住むための住居にこの空き家を利活用できないかと考えて、空き家バンクの取組みなどを進めてきたところである。

 

(辻村修:再質問)

空き家バンクなど各種の取組みを行っているが、現状としては空き家は増加の一途をたどっている。

空き家には、特定空家等のように除却すべきものから、管理が十分ではなく周囲に迷惑を及ぼす可能性のあるもの、多少の改修等を行えば円滑な流通・活用が見込めるもの、資産価値がありそのまま市場に流通させることが可能であるものなど、本当にいろんなものがある。

新築で建てたばかりなのにお亡くなりになり、息子は帰らず空き家になっており、売りに出そうとしても、なかなか安く出せない、相続の関係など、複雑な問題が絡む話を聞く。

また、欧米のように、中古住宅に何年もリフォームをしながら住み続けられるような環境、習慣、仕組みがないと、空き家は増えるばかりである。国勢調査では、もう30年も前から人口は減り続けているのに、家の数は、世帯数も合わせて増え続けている、これが日本の国の現状である。特に街中の道が狭い所であったり、田舎の不便な所であったりすると、空き家は非常に流通しにくく、再生しにくい状況になっている。

諸般の事情で空き家になったものを再生してマーケットで流通されるような環境整備、こういったことに力を入れていただきたいと思う。欧米のようにはならないかもしれないが、例えば、空き家をそのままリフォームして使うとすごい特典があるとか、また、そこを更地にして住宅を建てるとその半分ぐらい特典があるなどである。

新たな造成地など今まで家がなかった所に家を建てる人には逆に負担を求めるといった空き家税など、制度として国が導入してくれないことには、地方、特に市町だけに、流通させるための努力を押し付けるだけでは、この問題は少しも改善できない上、どんどん状況がひどくなっていくと考えられる。

空き家の発生予防、活用、除却により減少するよう、状況を十分分析して、制度等を考えていただきたいと思う。

例えば、一つ例があり、新規就農者の若い人が、農業を善通寺で一生懸命やろうと家を探していたところ、ある新しい住宅があり、そこの最大の特典は農機具を全部つけてくれることであった。そんなに安くなくても買ってくれたという、そういう好事例もある。

とにかく、空き家を活用すると得をする、有利であるというインセンティブが働くような政策誘導を是非とも考えていただきたい。法改正、制度改正、国への要望を含めて考えていただきたいと思うが、再度、政策部長の考えを伺う。

 

(政策部長:答弁)

 まさに、国、県、市町が、市町任せというのではなく、連携して総合的な対策を講じることが重要ではないかと思う。

課題の認識については、国も含めて、県も市町も同じような共通の認識、課題があると思うので、今からその状況分析などが必要になるかと思う。空家法所管の土木部とも連携する中で、深く検討してみたいと思う。

また国策としての誘導がないとなかなかこの問題は解決できないのではないかというご指摘があったが、そのとおりであり、我々も財政的な面と制度の面の両方から、国に対して、有効な対策について、どのような要望ができるのか、早急に検討を始めてみたいと考えている。

 

(辻村修:要望)

企業が進出しやすい所や、優良な田んぼからなくなり、不便な所にどんどん空き家が増えている。あと5年、10年で加速度的に増える。強い危機感を持って、この空き家対策に臨んでいただくことを要望する。