★ 四国遍路の世界遺産登録に向けた広報啓発活動について

 

(辻村修:質問)

  四国遍路の世界文化遺産への登録に向けて、四国4県が取組みを始めて、もう15年が経過した。まだまだ県民の皆さんや四国の皆さんへの浸透が足りていないという気がする。

世界文化遺産となるには、四国遍路がそれにふさわしい価値があるかということを証明していくことや、札所や遍路道などの資産をどう保護していくのかといった課題があると聞いているが、特に資産を保護していくためには、四国に住む皆さんの理解と協力が不可欠である。

そうした意味からも、広報啓発活動が重要であるが、これまでどういった取組みを行ってきたのか、今後どう取り組んでいくのか、また、整備や啓発がともにコロナの影響で遅れているのではないかという懸念もあり、これらの点について所見を伺う。

 

(文化芸術局長:答弁)

 四国遍路の世界遺産登録に向けて、平成18年に文化庁へ最初に提案をして以降、国の文化審議会において課題として示された、四国遍路が世界遺産にふさわしい価値を有することの学術的な証明、札所寺院や遍路道などの資産の保護について、四国4県や関係市町村とともに、取組みを進めている。

資産の保護にあたっては、四国にお住まいの地域の方々の御理解と御協力が欠かせないことから、各県独自の広報啓発を行っていることに加え、四国4県の産学民官で平成22年度に設立し、本県が事務局を務める『四国八十八箇所霊場と遍路道』世界遺産登録推進協議会において、啓発用のDVDやポスター、ピンバッジの配布など、広報啓発活動について四国が一体となって取組みを進めてきた。

本県の取組みとしては、遍路文化に対する理解を深めていただくため、史跡指定のために行っている札所寺院の文化財調査の成果を地域の皆様に分かりやすく紹介する報告会、それに併せた次世代の子供たちを対象とした近隣の小学校の見学事業等を、平成30年度から毎年2箇所程度行っている。昨年度からは、四国遍路を生かしたまちづくりや地域の活性化を考える「四国遍路から考えるまちづくり講座」も開催している。

また、民間企業とのコラボ企画として、ビールや清涼飲料水のメーカー、スーパーマーケットなど、趣旨に賛同いただいた企業の企画として商品のパッケージや店頭におけるのぼり掲示に、四国遍路をイメージしたイラストや推進協議会の活動を掲載するなどのキャンペーンを実施している事例があり、こうした企業活動を通して、商品を購入された方や来店された方に対して、認知が広がってきていると考えている。

こうした取組みを進めてきたが、浸透が足りていない部分もある。そこで、四国遍路の普遍的価値、不動産だけに留まらない無形的な価値などをイメージできるように、資産の名称を四国遍路に改め、また昨年の4月に協議会の名称も四国遍路世界遺産登録推進協議会としたところであり、これを契機に新たなシンボルマークを作成して、心機一転、広報啓発活動を強化したいと考えている。今後、推進協議会において、新たなシンボルマークを活用したポスターやパンフレットなどによる広報啓発活動や今年度から始めたユーチューブによる情報発信の充実など、広報啓発活動を一層強化してまいりたい。また、ここ数年来強化してきた県独自の取組みや企業とのコラボ企画も、引き続き積極的に行ってまいりたい。

世界文化遺産登録に向けて、多くの地域の皆様の御理解と御協力をいただけるよう、四国遍路登録推進協議会の構成員、協賛企業とともに、取組みを進めてまいる。

次にコロナの影響であるが、広報啓発活動については、一部、人数を制限して講演会を開催したなどの事例はあるが、予定していた事業は概ね実施できた。また、調査研究については各種研究会や4県の担当者会の協議などがあるが、オンラインを活用するなど、ほぼ実施できたと考えている。

一方、史跡指定のための文化財調査事業については、調査員が寺院に一定期間調査に入り、県外の調査員も含まれることから、コロナが落ち着くまで調査を延期してもらいたい、といった事例もあり、調査事業が幾分、延期になったという影響が一部出ている。

 

(辻村修:要望)

  多様な広報啓発活動、取組みを実施しており、ぜひともインパクトのある、親しまれるシンボルマークを作ってもらいたい。

 

(辻村修:再質問)

弘法大師空海が我が地元、善通寺で生誕されてから令和5年度で1250年を迎え、善通寺や善通寺市商工会議所が中心になって、来年度にはプレイベント、再来年度には生誕記念の大法会とそれに合わせたイベントを開催することになっている。50年前の誕生1200年祭は、年間通じて150万人ぐらいが訪れており、非常に効果があると聞いている。世界遺産についても、佐渡島の銀山は別の意味で世間を賑わせているが、四国遍路も四国の活性化、観光の推進についての起爆剤として、四国4県の皆さんが期待するものと確信している。

そうしたなか、コロナ禍、特に外国から観光客が来ない状況にあり、今、観光を推進することを、皆控えている状況だが、ポストコロナ時代を見据えて、推進を図っていただきたい。

弘法大師空海御誕生1250年祭が開かれるが、ぜひともこの機会を通じて、世界遺産登録に向けた広報啓発活動を活性化させることが非常に有意義である。

様々なイベントも開かれる予定であり、協議会における広報事業をイベント等に合わせて善通寺と連携して実施し、相乗効果により、世界遺産登録と1250年祭を盛り上げてもらいたい。

 

 

(文化芸術局長:答弁)

弘法大師空海御誕生1250年祭に向けた動きとして、地元の善通寺や善通寺市議会、各種団体とともに、県も交流推進部や県観光協会が参画して実行委員会が設けられ、来年度の事業計画などの協議が始まっていると聞いている。また、交流推進部においては、各種関連イベントに対して財政的支援を行うよう、来年度当初予算案に計上しているとのことである。

今後、これらの取組みについて、協議はこれからであり、現時点で確たることは言えないが、文化芸術局としても、四国遍路に深く係る弘法大師空海の生誕を記念して実施される実行委員会の各種イベントについて、全国の四国遍路や空海に関心を持つ方のみならず、広く国内外の方に情報発信できる絶好の機会と捉えており、世界遺産登録に向けたPR活動をぜひ一緒に実施していければと考えている。

県や推進協議会が参加可能なイベントがあれば、四国遍路の世界遺産登録に向けた取組みや四国遍路の価値を紹介するほか、構成員のNPO法人や協賛企業が行う様々なイベントを生誕記念イベントに合わせ、善通寺市や善通寺をイベントに取り込むような形で開催できるよう、働きかけてまいる。

また、県事業のうち、来年度で3回目となるまちづくり講座を善通寺市で実施できないか、市役所の担当課と協議を始めたところである。善通寺市は門前町として、四国遍路の巡礼者を支えてきた地域の歴史や暮らしぶりが街中に多く残されており、こうした文化的景観をまちづくりに生かすことを考えるヒントが多くある地域なので、本事業のモデル事例として、他の地域の参考となるような講座を開講できるよう、取り組んでまいる。

四国遍路の世界遺産登録に向けて、県として、また推進協議会として、積極的な広報啓発活動に係わらせていただきたい。その中で弘法大師空海御誕生1250年祭実行委員会と十分連絡をとり、相乗効果が図られるよう、積極的に取り組んでまいる。

 

(辻村修:再々質問)

  最近、世界遺産が世界中で飽和状態にあり、国内暫定リスト入りは無理ではないか、と気にしている。ぜひとも、2年後の弘法大師空海御誕生1250年祭の開催時に、国内暫定リスト入りが発表できるぐらいの意気込みを伺い、質問を終える。

 

(文化芸術局長:答弁)

頑張って取り組んでまいりたい。