シンガポールでも外国人採用に逆風-景気後退で自国民の雇用優先

(Bloomberg 2020年8月27日)

シンガポール政府が打ち出した自国民の採用を促す措置を受け、外国人居住者にしわ寄せが来るのではとの懸念も強まっている。政府は今月、差別的な採用慣行の疑いがあるとして47社をウオッチリストに掲載。外国人の雇用を優先し、シンガポール人に公平な機会を与えていない可能性があるとされた銀行や資産運用会社、コンサルティング企業が対象だが、企業名は開示されていない。

  5月には外国人雇用を規定する仕組みを厳格化。基準となる最低給与を月3900シンガポール・ドル(約30万円)に引き上げたほか、雇用主に対しまず国民向けに求人広告を出すよう義務付けるルールを強化した。政府は26日、この給与基準をさらに引き上げる計画だと発表した。 (一部抜粋)

 

注意シンガポールでは、外国人を採用しないのが差別なのではなくて、自国民を優先しないことが差別とされます。

当たり前といえばそれまでですが、こういう正常な政策は外国人差別ではないのです。


今回は次の資料の中からシンガポールについての紹介と内容の一部抜粋をしていきます。

『諸外国における外国人材受入制度
非高度人材の位置づけ
―イギリス、ドイツ、フランス、アメリカ、韓国、台湾、シンガポール―』

独立行政法人 労働政策研究・研究機構)2018年9月

 

シンガポールは570万人強の人口のうち、国民は350万人強、外国人永住権者が52万人強、外国人が168万人弱、かなり外国人が多い国です。

 

ダイヤグリーンまず、日本でいう高度人材にあたる外国人材についてどうしているでしょうか?

 

雇用条件の中に給与がありますが、何度も引き上げられて今はこういう状態です。

  • Eパス(高度技能者)は月収がS$3,900以上、Sパス(中度技能者)がS$2,400以上、
  • 両方のパスともに、配偶者や子供帯同ならS$6,000以上、両親帯同ならS$12,000以上

※最新の内容はGlobal Partners Consulting Pte. Ltd.(日本語)にあります。

 

この金額は最低ラインなので条件によってもっと高額にもなり、日本の高度人材の条件がいかに甘いかわかります。もっと安い給料で子供から親まで呼び込んで公営住宅を乗っ取っています。えー?

 

ちなみに、日本政府は外国人留学生の日本での就職支援にも税金投入しています。

JETROを使ってこんな感じです。高度人材という位置づけのようです。

日本政府は外国人雇用を優先シンガポール政府は自国民雇用を優先のようです。


シンガポール政府は、相当優秀な高度人材は外国人でも受け入れようとしていますが、それでも自国民への求人が先なのです。どうやって自国民を優先しているかというと・・・下矢印

2013 年 9 月、シンガポール政府は、シンガポール国民に公平な雇用機会を与えることを目的として、E パスの申請に関して「Fair Consideration Framework」と呼ばれる新たな規制を設けた。

2014 年 8 月より企業が E パス保有者を雇用したい場合、シンガポール労働力開発庁のジョブ・バンク(Job Bank、オンラインの求人募集サイト)にて、同ポストを2 週間以上公募しなければならない。この条件を満たさない E パス申請は、却下される。ただし、求人広告掲載義務は、それを通じて応募してきた者を雇用する義務までを課すものではない。対象企業及び対象となる職は、26 名以上の従業員を有する企業で、月額固定給料が S$12,000 以下の職とされた。
2018 年 7 月よりこの規制は強化され、対象は 10 人以上の従業員を有する企業、月額固定給料が S$15,000 以下の職、と広告掲載義務の対象が拡大する。さらに、これまでは E パスのみが対象であったが、S パスも対象に含まれることとなる。(P156)

 

ダイヤグリーン次に労働許可と呼ばれる、単純労働外国人材を見てみます。

 

E パス・S パスとは異なり、労働許可に対しては、出身国の制限と最長雇用可能期間が設定されています。

※労働許可:特定産業のみで許可される低度技能労働者向 け の「 労 働 許 可(Work Permit)」 。日本でいうと、技能実習生、特定技能、留学生(出稼ぎ目的)、日系などの身分系ビザで単純労働するなど人たちが就業しているような仕事です。

 

就労ビザ発行の条件の違いはどうなっているでしょうか?

  • EパスSパスは先に国内人材向けの求人広告掲載が必要(前出の通り)
  • Sパスは、ビザ発行前に雇用者による労働者のための医療保険の購入が必要
  • 労働許可(単純労働者雇用)は、E パスや S パスより短期間で手続きが開始されるが、ビザ発行前の義務はより多くなる 例えば下矢印

●雇用者による保証金(Security Bond)の支払いが必要

 ※保証金とは、雇用者が労働者(マレーシア人以外)の入国前に 1 人あたり S$5,000 を労働力省に納める預託金のことで、労働者の入国前に支払われなければならない

保証金の全額もしくは一部の没収は、保証金条項または労働許可条項に反する行為が行われた場合に実施される。

よくある没収のケースとして、賃金支払いの延滞と労働者の帰国の未履行である。なお、労働者が逃亡した場合に、居所を特定するための雇用者の努力が認められれば、保証金の半分を回復することができる。


●労働者のための医療保険の購入が必要となる。 

 

また、日本と違い、外国人労働者を政府がコントロールできるようにしています。

自国民の雇用に悪影響を与えないように外国人雇用税を雇用者から徴収し、外国人の比率も上限を設けて外国人労働者の雇用調整をしています。

 

シンガポールは非熟練分野などで外国人を雇う企業を対象に、「外国人雇用税」を課すとともに、従業員に占める外国人の比率に上限を定める。税額と上限率は産業別に決め、外国人労働者の需給調整の仕組みになっている。

日本も受け入れ人数の調節に知恵を絞るべきだが、これまでの国会審議ではこの視点が乏しい。論議を深めてもらいたい。

外国人雇用税と似た負担金に、台湾の「就業安定費」がある。製造業や建設業などで外国人労働者を雇用する企業が、その人数に応じて納付を義務づけられる台湾人の雇用確保のための職業訓練などに活用される点が特色だ。(日経

 

ダイヤグリーン次に社会保障制度ですが・・・

  • シンガポールの社会保障制度は、市民と永住者を対象
  • シンガポールにおける公的扶助制度 は、市民、永住者を対象としており、永住者以外の外国人は基本的に対象外
  • さらに市民と永住者間についても、医療に限らず、住宅、教育分野の政府補助において、ある程度の差が設けられ、近年、この差が拡大する方針がとられている
  • 外国人労働者に対する公的な社会保障制度は皆無に等しい

外国人労働者(個別雇用パスを除く)は、失業と同時に就労パスを失い、出国が求められる。法律上、外国人労働者全般に提供される保障は、労災のみである。労災の場合は、雇用者に一定の範囲で補償することが義務付けられている。(P157)

公的な保障が限られているため、ほとんどの外国人労働者(S パス及び労働許可保有者)については、雇用者に民間の医療保険への加入が義務づけられている。また、雇用法も、労働災害補償法の適用も受けない家事労働者については、医療保険と傷害保険の 2 つの加入が使用者には義務付けられている。(P157)

 

日本では社会保障制度が不良外国人に食い荒らされるように制度設計されていて、政府も国会もそれを良しとして放置しています。

公的扶助どころか生活保護まで外国籍に与えるよう政府が命令し、日本人にただ乗りして暮らす歓迎されない外国人が後を絶ちません。

 

外国人を雇用する事業者が負担すべきことを日本では全部国民に負担させているのです。

 

外国人が納税しているかどうかは関係ないのです。日本という国土を利用するだけでも徴税すべきであり、公的扶助や社会保障は国民に限定すべきなのです。

 

日本では、建前上研修に来ている技能実習生が妊娠して実習ができなくても帰国させないという意味不明の制度になっていますが、シンガポールは厳格です。

 

“低技能”の労働者の場合、シンガポール人や永住者と結婚するには政府の許可が必要だ。シンガポール人や永住者の配偶者以外との間で子どもを妊娠すれば帰国しなければならない。
こうした低収入の外国人労働者の定住を回避するしくみにについて、シンガポール経営大学のユージーン・タン准教授は「定住するならば自分で生活を切り盛り出来る人でなければならない。シンガポールの財政負担につながるような移民政策は維持できない」と話す。

NHK)

 

こういう制度を持つ国もあるということを知り、国内の人権屋の言葉を鵜呑みにせず、持続可能な外国人政策、日本の国益に適う外国人政策は何かをよく考えることです。

 

外国人単純労働者というのは、出稼ぎです。日本に偶然その時いるだけの人であり、仕事をする中で日本人と平等に扱うだけで、国民とは一線を引く対応が当たり前です。

 

劣る日本語や日本の文化になじまないことが、その仕事にマイナスとなるならば日本人よりのも低待遇であることこそが平等な扱いであり、それらが仕事に影響ないなら同等の待遇でいいわけです。

 

「お金を稼ぎたい」と「仕事をしてほしい」とがマッチングした時だけ日本にいることができ、失業したら日本にしがみつく根拠はありませんから出国させるべきです。犯罪者になります。

 

労働力が足りないから、外国人単純労働者を大量に導入し、その中で良い者は定住させて、人口減少対策のために移民を認めていこうなどと言う発想で、日本の将来が切り開けるのだろうか。出入国管理法改正の導入には賛成だが、外国人単純労働者をそのまま滞在させ、「特定技能1号」から「特定技能2号」に移行させ、家族帯同させるという制度には疑問を抱いている人が多い。

 そもそもこれだけ問題が噴出している外国人実習制度の廃止や、現在実習制度を利用している優良企業が新たな外国人労働者受け入れ制度にスムーズに移管できるような整理もできないままで、多くの競争相手国の中から「日本」が外国人から選ばれるのだろうか。目の前の問題を解決できれば良いと、「低学歴の外国人単純労働者をかき集める国」で未来は拓けるのか、もう一度、考えるべきだ。

「低学歴の外国人単純労働者をかき集める国」で未来は拓けるのか
中村智彦 | 神戸国際大学経済学部教授
Yahoo 2018/12/20(木)

 

シンガポールや台湾には受け入れられないような低レベルな外国人に日本を選んでもらうために、日本政府は低レベル外国人が喜ぶ制度にしてあげているのです。