「プレイヤーの志向と行動」に関する大規模定性調査 | 遠藤雅伸公式blog「ゲームの神様」

「プレイヤーの志向と行動」に関する大規模定性調査

 大学でゲームデザインを教えながら、自らも大学院の博士課程に通う生活ですが、とにかく余暇がありませんww。自業自得なのでしばらくは大好きなゲームを控えて、慣れない研究に時間を割いています。と言うか、いつもスケジュールに穴開けていて、迷惑を掛けている方々、すみません!

 さて新しい年度になって、研究室のメンバーも一新され、新たな研究テーマに向けて本格的に始動しました。で、最近の遠藤研のテーマと言えば、

・日本のゲームクリエイターは今までにない物を作りたがる

・日本のゲームプレイヤーはマイナーな作品でもファンになってくれる

・日本のゲームは変な物や怪しい物でもヒットすることがある

・日本のゲームユーザーは自分が良いと思ったコンテンツには金を払う


 この4つから発展して、日本のゲームは世界でも稀な多様性を持っています。また、ゲームの原点は古典的なゲームの目的である「競争」と、デジタルゲームに転換して生まれた「ハイスコア獲得」にあります。しかし日本では、こんなベタな楽しみしかできないゲームに反し、それまでにはない楽しさを創出してきました。

 その原動力は、ゲームクリエイターが既存の面白さの枠を超えたいという意欲を持っていたことは当然ですが、視点を変えると、ユーザーが新たな面白さを支持してくれたからだと考えました。プレイヤーあってのゲームもとい、変態プレイヤーあっての日本ゲームの変態化だったのですww。

 そこで、「日本ゲームプレイヤーはどんなゲームをどんな理由で評価しているのか?」「日本ゲームプレイヤーはどんなプレイ行動を取るのか?」を基にして、日本ゲームが独自の面白さを作っている源泉に迫ろうと思いました。まずは統計的な数の調査ではなく、特徴をはっきりさせるための質的調査を行います。とはいえ、調べる側に興味の薄いデータはやる気にもならないので、研究室の学生諸君がそれぞれに興味のある課題。そして、ゲームを途中で辞めてしまう理由の調査で20%以上のなった課題を中心に調査項目を作りました。

 最初は1つのアンケートで行こうと思ったのですが、アンケートページが表示されたとたん、遠藤なら「戻る」ボタン押して無かったことにしたいくらい重いアンケートになったので、バラバラにして、答えやすい設問だけに答えてもらう方式にしました。例によって回答の傾向を見るために性別と年齢層の設問がありますが、一切個人情報は収集しませんので、ナマの意見をお送りください。あ、記述の中に「遠藤さん、お久しぶりです、○○です。」とか書くとバレるので注意。

 設問はテーマに当たるゲームのタイトルとその理由を書いてもらうタイプと、チェックやラジオボタンなどで項目を選んでもらって記述してもらう、あるいは記述だけというタイプの2種類です。前者は思い当たるゲームが複数ある場合は、何回でも答えてもらえるとありがたいです。なお、アンケートページを適当に作ったので、iPhoneのSafariとかでは文字化けする可能性大です。不本意だとは思いますが、ChromeやPCとかで見てください。
回答は、それぞれの質問の説明についている「回答する」リンクから行くと直接飛べて楽です。


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「物語・ナラティブ」に関する項目


◆「物語が良かった」ゲーム ⇒ 回答する何回でもOK

 小説とは異なるゲームとしての物語は、ストーリーの構成や進み方などで最近は「ナラティブ」と呼ばれています。ナラティブは昔から日本ゲームに組み込まれていますが、どんなナラティブが日本プレイヤーの好みなのか?、どんなナラティブを評価しているのかは、プレイヤーがナラティブであることに気付いていないため、よく分かっていません。そこで、今まで風に「物語の良かった」ゲームのどんなところが良かったを調査して、日本ゲームプレイヤーが好みのナラティブ表現の仕方を分析する研究です。


◆「感動して泣いた」ゲーム ⇒ 回答する何回でもOK

 感動で涙が出るというのは、プレイしている人の経験とナラティブが共鳴するように働くからと思われます。遠藤もゲーム音楽専門のオーケストラ「Japan Game Music Orchestra(JAGMO)」の関係者なので、ゲーム音楽のコンサートに行きますが、みんな「泣きに来ている」んじゃないかと思えるほど、ゲームで泣ける人が多い印象があります。そこで皆さんが泣くほど共感するナラティブ要素を調査して、泣けるゲームを作るエッセンスを分析する研究です。


◆「設定・世界観が大好き」ゲーム ⇒ 回答する何回でもOK

 20歳代女性を中心に、設定・世界観こそがゲームの魅力だというプレイヤーは少なくありません。そんな設定や世界観のどこが魅力なのか? 各人各様なのは当たり前ですが、意外に「○○の世界観がいいよね」とタイトルで括られることが多く、同じタイトルだとそれぞれの理由についてはスルーされてしまいがちです。そこで設定や世界観が好きな理由についてを調査して、設定や世界観のフックとなる要素について明らかにする研究です。


◆「怖過ぎる」ゲーム ⇒ 回答する何回でもOK

 10~20歳代男性層になぜか多かった「ゲームが怖過ぎる」という現象。怖い物見たさで手に入れたゲームをわざわざプレイしているんだから、別に「怖過ぎ」だったとしても不満にはならない点が面白いです。なので普段から何かのチャンスでもない限り、「あのゲーム怖過ぎる!」と語る機会は滅多にありません。そこでわざわざお聞きしたい! その結果からゲームで恐怖を演出する効果的な手法について明らかにする研究です。


◆「キャラクターの命名制限」に関するアンケート ⇒ 回答する

 オンラインゲームで自分のキャラクター(アバター)を使う場合、名前を付ける場面がよくあります。ところが「その名前は使えません」「同じ名前が既に使われています。別の名前にしてください」と拒絶されたり、「同名のプレイヤーが○○人居ますが、その名前でいいですか?」と念を押されたりします。一方、キャラクターの名前は一種のネタと見なすこともでき、命名のルールはどうすればゲームが楽しくなるのか、傾向を模索する研究です。


◆「パーティー構成」に関するアンケート ⇒ 回答する

 オンライン、オフライン問わず、パーティーを構成して遊ぶゲームはたくさんあります。最近では、たくさんの候補の中から、パーティーメンバーを選んで進める方が、固定メンバーで遊ぶより多くなっています。となると、パーティーメンバーの構成によって、経験できる物語(ナラティブ)が異なるわけです。さらに特定のキャラクターだけに提供されるナラティブも存在しますが、この辺を調査することで、ナラティブの方向性を模索する研究です。


「操作感・加減」に関する項目


◆「操作感が良かった」ゲーム ⇒ 回答する何回でもOK

 アクションゲームに限らず、自分がイメージする動きが実現できるインターフェイスを「操作感が良い」と言ってユーザーは重視しています。しかし「操作感」は各人によって好みが異なり、またスキルレベルによっても尺度が違います。そこで「操作感が良かった」ゲームと、どんな部分に操作感の良さを感じたかを調査し、操作感を調整する際に重視すること、必ず守る必要がある一線を模索する研究です。


◆「操作感が悪い」ゲーム ⇒ 回答する何回でもOK

 インターフェイスの良し悪しは、実際にプレイしてみないと分かりません。特にグラフィックデザインが優れたゲームは、スクリーンショットを見て良くても、プレイするとフレームレートが低かったりして、操作への追従感がなかったりします。その他にも、プレイしていて操作感が悪くイラッとして経験が誰しもあると思います。そんなエピソードを調査し、操作が悪いと感じる要素を明らかにする研究です。


◆「ゲームAIが良かった」ゲーム ⇒ 回答する何回でもOK

 デジタルになる前のゲームは、必ず対戦相手が居る物でした。トランプの1人遊びとかは本来占いだったりするので、ゲームという原点である「競争」には相手が必要だったのです。コンピュータの出現によって、ゲームは1人でも遊べるように進化しました。そこに必須だったのが、プレイヤーの相手をしてくれる「ゲームAI」です。皆さんから良いゲームAIのサンプルを挙げてもらい、それを分析して良いゲームAIの共通項を模索する研究です。


◆「ゲームAIが悪かった」ゲーム ⇒ 回答する何回でもOK

 デジタルゲームでは、ありとあらゆるレベルデザインにゲームAIが応用されています。細かいところではアクションゲームの敵の動き、RPGのNPCの会話など、大きくなるとゲーム全体の流れを制御するエージェント、難易度をコントロールするDynamic Difficulty Adjustmentなどです。ところがこのゲームAIは、一つ調整を間違えると、ゲームがとたんにクソになったりします。そんなクソAIのサンプルを挙げてもらい、ゲームAI構築の禁忌とするための研究です。


◆「マッチングが良かった」ゲーム ⇒ 回答する何回でもOK

 対戦が主流だったゲームの世界に、デジタルが1人遊びを持ち込んで十数年。ネットワークが再びゲームに対戦を持ち込んで来ました。ネット経由で離れたプレイヤーと対戦できる仕組みは、新たなコミュニティを産んで広まっています。そんなネット対戦の素敵なマッチングに関するエピソードを調査し、プレイヤーが体感評価する良いマッチングを考察する研究です。


◆「マッチングが悪かった」ゲーム ⇒ 回答する何回でもOK

 オンライン対戦は、デジタルゲーム以前の対戦と同じ問題を抱えています。それは結局対戦相手がコンテンツになっている部分です。つまり対戦相手がクソなら、ゲームもクソってことになるんですが、これは対戦相手を選ぶ仕組みがダメと言えます。プレイヤーがダメだと思ったマッチングに関するエピソードを調査し、ダメなマッチングの要素を考察する研究です。


◆「メニューが良かった」ゲーム ⇒ 回答する何回でもOK

 デジタルゲームでは、メインとなるゲーム部分だけでなく、タイトルやセレクトと言ったシステムの画面や、イベントや結果表示など、メニュー形式になっている部分が多々あります。この部分の出来が悪いと、ゲームのテンポが悪くなったり、面倒になったりして文句も出るのですが、逆にスイスイ進めるメニューは特に話題に上がることもありません。そこで「メニューが良かった」というゲームを調査し、快適なメニューに必要な条件を考察する研究です。


「課金・購入」に関する項目


◆「課金してよかった」ゲーム ⇒ 回答する何回でもOK

 ダウンロードを前提としたアイテム課金は、オンラインゲームのビジネススキームとして、今では当たり前のことになりました。細かく課金できる仕組みは、ユーザーの需要に適切に応えられる利点があります。興味のあるコンテンツをピンポイントに課金して手に入れることができたなど、納得できる課金コンテンツのエピソードを調査し、需要に応える課金とは何かを考える研究です。


◆「課金して損した」ゲーム ⇒ 回答する何回でもOK

 アイテム課金は細かくコンテンツを提供し、細かく課金できるところが利点です。しかし、手に入れたコンテンツが期待を下回っていたり、バージョンアップによって価値が変動したりで、課金に納得感がないこともあります。課金して損したというエピソードを調査し、運営が安易に行っては行けない施策は何かを考える研究です。


◆「課金行動」に関するアンケート ⇒ 回答する

 基本無料のフリーミアムゲームが増え、最近はコンテンツ内購入にも違和感がなくなりました。こんな現況では、プレイヤーは予めどんな風に課金するかを、方針として決めていることも少なくありません。「無課金」に関する定義にも幅ができつつある中で、プレイヤーの課金方針をアンケートで調査し、課金する行動原理を考察する研究です。


◆「パッケージとダウンロード」に関するアンケート ⇒ 回答する

 プリペイドカードがコンビニで簡単に手に入るようになり、ダウンロード販売は徐々に実績を上げています。同一タイトルで、パッケージ版とダウンロード版の両方がある場合、どちらを買うかというユーザーアンケートから、パッケージ、ダウンロードそれぞれの利点と将来性を考察する研究です。


◆「ショップで見かけたゲーム」に関するアンケート ⇒ 回答する

 ゲームショップに出掛けて、ふと目についたゲーム。事前情報がない状態のゲームを、パッケージを見ただけで購入する決め手は何なのか? 購入に至らないポイントはどこなのか? というアンケートから、音楽や映像コンテンツで見られる、いわゆる「ジャケ買い」に当たる「パッケージ初見買い」の実態を明らかにする研究です。


◆「ゲーム実況と購入」に関するアンケート ⇒ 回答する

 ゲーム実況をはじめとするゲームのプレイ動画は、動画投稿サイトの隆盛により、アーケードゲームから直接投稿できるようなるなど、ゲーム自体にも、そのセールスにも影響を与えています。こうしたゲーム実況を見る目的と、対象のゲームタイトルの購入に関するアンケートから、ゲーム実況とセールスとの関係を明らかにする研究です。


◆「デジタルカード・キャラクターの価値」に関するアンケート ⇒ 回答する

 オンラインゲームでプレイヤーが使用するカードやキャラクターなどは、運営サービスが終了してしまうと無くなってしまうデジタルデータです。その所有権は運営会社にあり、プレイヤーには使用権しかないのですが、プレイヤーは所有物として認識しています。これらのデジタルデータがサービス終了によって無くなることに対し、プレイヤーはどんな感想を持ち、運営に何を求めているかをアンケートで調査し、その価値観を考察する研究です。


「ゲームの評価・プレイの評価」に関する項目


◆「今までにない、エポックメイキング」ゲーム ⇒ 回答する何回でもOK

 「こんなゲームが欲しかった」と言うゲームを、登場前から具体的に想定できていたプレイヤーは居ません。今までにないゲームだから評価していることになります。そんな今までになかった、それ以降のゲームに影響を与えるエポックとなったゲームについて、パラダイムシフトとなっている点はどこかを調査し、新規性の高いゲームを作るヒントとする研究です。


◆「クソゲーと感じた」ゲーム ⇒ 回答する何回でもOK

 経済学的には事前の期待に対し、実際にプレイした評価が著しく低いものを人は「ダメだ」と思います。そんな相対的な基準ではなく、クソゲーはクソゲーであり、ダメとは別の尺度を持っています。あなたが思うクソゲーと、クソなポイントを調査によって集め、クソゲーの定義、クソゲーと判断する基準などに迫ろうと試みる研究です。


◆「これは許せない」ゲーム ⇒ 回答する何回でもOK

 ゲームのレイティングとして日本ではCEROのレーティングがありますが、そんな形式ばったものではなく、これは許せないと思える表現、仕様などは確かに存在します。「変わった切り口で」とかろくでもない思いつきを深く考えもせずに実装したり、プレイヤーが無限のMと決めつけるゲームデザイナーの仕業です。そんな「これは許せない」というゲームについて調査し、こんな変化球企画はNGというラインを模索する研究です。


◆「人に勧めた」ゲーム ⇒ 回答する何回でもOK

 余りに面白かったので、あるいは1人で遊ぶだけでは飽き足らなかったり、自分がハマった地獄に友達も引き込んだりするなど、人にゲームを勧めることがあります。自分のソフトを貸したり、余計に買って配ったり、そんな布教してしまったゲームについて調査し、経験を共有するというコミュニケーションとゲームの関係を明らかにする研究です。


◆「恋愛モノ(ギャルゲー・乙女ゲー)」ゲーム ⇒ 回答する何回でもOK

 恋愛を題材にしたゲームは、1994年の『ときめきメモリアル』『アンジェリーク』などで市民権を得て、シミュレーションゲームを中心に今では一大ジャンルに育っています。そんな恋愛ゲームですが、プレイヤーの様々な趣味趣向に1つのゲームで応え切ることはなかなか難しく、プレイヤーがたくさんのゲームの中から選んで遊ぶスタイルです。プレイするキッカケを調査し、恋愛ゲームに対する期待を明らかにする研究です。


◆「アイドル」ゲーム ⇒ 回答する何回でもOK

 アイドルを題材としたゲーム、あるいは登場するキャラクターがプレイヤー間でアイドルとなっているゲームがあります。言わばゲームのキャラクターがアイドルとなるのは、1996年の伊達杏子から始まるヴァーチャルアイドルや、永瀬麗子が釈由美子に似ていると話題になったことなどと同期しています。ゲームに登場するアイドルに対するプレイヤーの感想を調査し、リアルなアイドルとの対比について考察する研究です。


◆「3つの☆で評価するゲーム」に関するアンケート ⇒ 回答する

 マッチスリーゲームなど、カジュアルゲームの中には面をクリアした時の得点などによって、☆の個数や金銀銅など3段階で評価するタイトルがあります。これらは同一の難易度設定でありながら、プレイヤーのスキルレベルによって、自主的に目標を設定することができ、難易度に関するミスマッチを解消しているように見えます。この方式のゲームのプレイスタイルの調査より、難易度調整の方法についてヒントを見つける研究です。


「リアルへの影響」に関する項目


◆「実生活に悪影響がある」ゲーム ⇒ 回答する何回でもOK

 ギャンブル依存症と同様に、ゲームでもやめたくてもやめられない場合があります。既に投資している金額を考えると、損すると分かっていてもさらに投資しなければならない場合もあります。他にも実生活に与える影響が冗談では済まない状態はあると思います。そんな実生活に与えた悪影響を調査し、ガイドラインを模索する研究です。


◆「プレイしたら疲れた」ゲーム ⇒ 回答する何回でもOK

 どんなに熱中できるゲームでも、体力的に疲れないゲームはありません。時に腱鞘炎や筋肉痛、打撲など身体的なダメージを受ける場合もあります。その他にも精神的に疲弊すしたり、眼精疲労や肩こりなどを起こすものもあります。そんな疲れるゲームを調査し、ガイドラインを模索する研究です。


◆「3D酔いする」ゲーム ⇒ 回答する何回でもOK

 いわゆる3D酔いは、3Dでなくても起こり、昔から知られている症状です。今後はVR系のヘッドマウントディスプレイが普及し、視覚と体感の加速度の乖離が激しいゲームが安易に作られることも予想できます。既存のゲームにおける3D酔いを調査し、VRコンテンツにも通じるガイドラインを模索する研究です。


◆「ゲームに触発された行動」に関するアンケート ⇒ 回答する

 ゲーム内の食事シーンに触発されて何か食べたなど、コンテンツに触発されて行動することがあります。実際にゲームに触発された行動について調査し、ゲーム内容が誘引する行動の実態を明らかにする研究です。