道に迷ったとき、大事なのは努力することではなく、道を知っていることです。 それと同じく、目標が達成できるのは努力の多嘉ではなく、達成に必要なこと の実行にかかっています。ですから、目標を達成するには、達成に必要なスキル を有していることが条件になります。
それは人間関係にも、恋愛にもあてはまります。
24歳、OLをしている祐子さん(仮名)は、複雑な家庭環境の影響もあり、親 密な交際を苦手としていました。
決して引っ込み思案というわけでもありませんが、大事なことは言えない性格 が災いして、本当に話したい事が言えないので、異性との深いコミュニケーショ ンをした経験はほとんど皆無に近い状態でした。
祐子さんは、幼い時に家を出て行ったお父さんを慕いながら、意識の上では憎 んでいてアンビバレンツな状態を無意識に作っていました。好きになるほど憎く なるのは状況によっては誰にもあることですが、祐子さんの場合、素直になれず 怒りをぶつけてしまう、友人に対しても、意に反して意中の人のことをあの人は 嫌いと言ってしまう始末でした。
そんな祐子さんが「ライフスキル講座」に参加してきたのは、自己認識スキルを 身につけて、アサーティブな自分を引き出すためでした。
しかし、いくら知識を増やしても、人は変われるものではありません。 それには、乗り越えなければならない未解決の問題がありました。 未解決の問題が邪魔をしていることを知り、クリアすることが先決だったのです。
ライフスキル講座も中盤に達する頃、感情の扱い方を理解して、ようやくお父 さんへの憎しみが薄れ、許したい思う気持ちをも強まった頃、ライフスキル講座 のプログラムひとつである「99日間プロジェクト」で、大事なことほどきちん と伝えることに取り組みました。
それは幼い頃、お父さんのことを話したら母親に叱られたつらい経験で傷ついた 人を思う気持ちを取り戻す作業でした。
祐子さんは心から臨むことを手に入れて幸せになるために、超えなければならな い壁を取っ払う戦いに臨んだのです。
それでは、祐子さんの「99日間プロジェクトレポート」のはじまりです。 今後連載で毎週、そのプロセスをお届けします。