以前、「The Guv’norを改良したもの」と言われている DRIVE MASTERを購入した時に、
The Guv’norと音を比べてまして、
購入した時のセッティングはこれで
もちろん両方とも同じセッティングです。
この時はこの2台は音が異なりました。
今はこういうセッティングにしていて
もちろん両方とも同じセッティングですが
何故かこの2台は同じ音なのです。
以前、音が異なることを確認したのに
今は同じ音なのです。
おかしいと思って色々と試したら
セッティングによって2台の音が異なったり同じ音になったりすることが判明しました。
セッティングを変えたら音も変わるに決まってるじゃないか、という話ではありません。
比べる2台のエフェクターは常に同じセッティングにして比べています。
2台とも同じAのセッティングにした場合と
2台とも同じBのセッティングにした場合では
その2台の音が同じになったり異なったりするという意味です。
それはオシロスコープで波形を観測しても確認出来ます。
両方ともこのセッティングにすると
(上=DRIVE MASTER、下=The Guv’nor)
音が同じなので波形も同じで、
(上=DRIVE MASTER、下=The Guv’nor)
両方ともこのセッティングにすると
(上=DRIVE MASTER、下=The Guv’nor)
音が異なるので波形も異なります。
(上=DRIVE MASTER、下=The Guv’nor)
つまり、
試奏する時にどういうセッティングで音を比べるかによって、
「2台の音は同じ。」
というレビューになったり
「2台の音は異なる。」
というレビューになったりするので
このことに気付かないまま2台の音が同じか異なるかを確認しようとしても
自分で試奏しようが、
他人のレビューを見ようが、Youtube等で他人が試奏して比較した動画を見て音を確認しようが、
まるで参考にならないのです。
私は村田喜行さんの説得力ある解説が好きなんですけど
この動画でのThe Guv’norとDRIVE MASTERの比べ方は2台を同じセッティングで交互に比べていないので、曖昧な記憶と比べてしまっている状態でもどかしいです。
(DRIVE MASTERの音と比べてるのは実際のThe Guv’norの音ではなく、頭の中に記憶として残っているThe Guv’norの音であるという意味です。)
村田さんは「DRIVE MASTERの方がGAINがモダンな感じでスッキリしている。」「BASSの帯域がGuv’norよりも低い位置にある。」と表現してますが、うちの2台ではそのようには思わないですし、
「出力がGuv’norの方が大きいのでDRIVE MASTERのLEVELを上げないと同じ音量にならない」と言ってますが、うちのはそういうことはないので、
もし本当に音量が異なるならそれはPOTの許容誤差による個体差ではないかと。
説得力と影響力のある村田さんがどうレビューするかで多くのユーザーの認識も村田さん寄りに傾倒してしまいますから、本当に他人のレビューには気を付けないといけませんね。
まぁ村田さんが感じた違いや感じた感想は、間違いではないと思うんですよ。
ただ、もっと比較の仕方を徹底したり、同じ機種の個体差も確認したりすると村田さん自身の感想もまた違ってくると思います。
話を元に戻します。
どういうセッティングで音を比べるかによって、2台の音が同じになったり異なったりするということは分かりましたが、
それは、なんと、
DRIVE MASTERとThe Guv’norを比べる場合だけでなく、
The Guv’norの英国製と韓国製を比べる場合にも起こる現象なのです。
両方ともこのセッティングにすると
(左=韓国製、右=英国製)
音が同じなので波形も同じで、
(上=英国製、下=韓国製)
両方ともこのセッティングにすると
(左=韓国製、右=英国製)
僅かですが、
音が異なるので波形も異なります。
(上=英国製、下=韓国製)
はっきり言って、
DRIVE MASTERとThe Guv’norで音が違うとか、
The Guv’norの英国製と韓国製で音が違うのではなくて、
3台ともランダムに個体差の範囲内で音が違うだけだと思います。
5つあるノブのセッティングは無限大と言えるほどあるので、
もっと音の差が分かりやすく出るセッティングもあるかもしれないし、
他にも同じ音になるセッティングがあるかもしれません。
少なくともThe Guv’norの2台は回路が同じなので、英国製と韓国製の音の違いは
POTの許容誤差によるもので、セッティングによって違いが出たり出なかったりするのは、POTのカーブによって許容誤差による個体差が表れ易い位置があるからだと思います。
「思います。」というか、POTの許容誤差により抵抗値やカーブの可変具合にばらつきがあることは既に分かっていることです。
実際に、以前お客さんのThe Guv’norを修理して全てのPOTを交換した時に、音量もトーンもかなり音が変わったことを経験していますし、
BOSSのDS-1のJAPANとTAIWANや、
MarshallのアンプLead12のシリアルによる音の違いも、
POTの許容誤差が大きな原因であることは既に検証済みです。
あとは、
DRIVE MASTERはThe Guv’norの回路を若干、変更したものだという話は聞いてますが、
今回、セッティングによっては同じ音になることが判明したので、
もしかしたら回路の変更っていうのは
音には関係ない箇所なのではないか?
と、疑問を抱きました。
なので、
Marshallのメーカーの回路図を見比べてみました。
これがThe Guv’norの回路図で
これがDRIVE MASTERの回路図です。
レイアウトが異なっていて見づらいので
同じレイアウトに描き直してみました。
すると、
The Guv’norとDRIVE MASTERの違いは
バイアス電位の平滑コンデンサの容量が
10μFか100μFか、と
出力部分に1MΩの抵抗器が付いているか付いていないか、の2点だけで、
歪みやトーン回路等の音に関する箇所は同じですね。
DRIVE MASTERで出力部分に追加された1MΩの抵抗器は、出力インピーダンスを変更する役割がありますが、
元々のThe Guv’norの内部抵抗、出力インピーダンスがどうであれ、1MΩという絶縁に等しいほど大きな抵抗値を並列に追加したところで、出力インピーダンスはほとんど変わらないはずです。
メーカーのHPを確認したら
The Guv’norの出力インピーダンスは50kΩで
DRIVE MASTERの出力インピーダンスは25kΩになっていました。
ちょっと腑に落ちませんねぇ・・・
交流抵抗を表すインピーダンスと直流抵抗は異なるので、単に直流抵抗値を測定して確認出来るものではありませんが、
オシロスコープとテスターと発信器と任意の抵抗器を使って実際の入力インピーダンスを測定したりしても、
エフェクターの場合は入力や出力に抵抗器を付けてインピーダンスを調整しているものが多く、抵抗値が結果的にインピーダンスと同じになるものが多いです。
そして、
The Guv’norの出力抵抗値は実測48.54kΩで、メーカー公表値の50kΩとほぼ同じです。
それならDRIVE MASTERの出力抵抗値もメーカー公表値の25kΩにらなるはずですが、
私はそうは思いません。
何故なら、内部抵抗が50kΩで出力部分に1MΩの抵抗器を追加したところで、
並列合成抵抗により、
1÷(1/50kΩ+1/1MΩ)=47kΩ
なので、
25kオームではなくて47kΩになるからです。
実測値でもほぼ計算通り46.1kΩです。
で、出力インピーダンスが実測値で
48kΩから46kΩに変わったところで、音には影響ないです。
百歩譲って、メーカー公表値の通り
50kΩから25kΩに変わったとしても
理論的には「ロー出しハイ受け」の理想のインピーダンスに近くなるので改良したということにはなりますが、普通のアンプの入力インピーダンスが1MΩで受けることを考えると、音には全く関係ないと言えます。
実際にうちのThe Guv’norとDRIVE MASTERの音量は同じですし。
そして、
バイアス電位の平滑コンデンサの容量が
10μFから100μFになったところで、
これも音には影響ないです。
理論的には電源電圧が9Vの回路の場合は
10μFよりも100μFの方が平滑能力はあるので改良したとは言えますが、
そもそも音をコントロールするところではありません。
よって、
The Guv’norとDRIVE MASTERは同じ音であり、回路の変更点は音には影響が無い部分で2箇所の改良がみられるだけです。
そうすると、
例えばサウンドハウスさんの商品説明にはこう書かれているわけですが、
まぁ私は楽しんで読んでいますが、
回路は簡素化どころか「変更」の他に「追加」されていますし、
低域のゲインを加えるような回路の変更はありません。
全てのエフェクターに言えることですが、
Youtubeによくある比較動画も、
全く参考にならないということを前提に見た方がいいと思います。
他人が試奏したレビュー動画は、フェイク動画ではなくても、フェイク動画と同じ効果が発揮されてしまっていますからね。
以上。
信じるか信じないかは、あなた次第です!!
うーむ。