この前に我が家が担当した、不登校をしている親族の子達の学習会をしていた時のことを、少し書いておきます。

 

不登校の子供を持つ親の心配は、学校へ行かないことをどう家庭で補填するか、学習をどう補っていくか、あとは体調をどう整えていくか、ということです。

 

学校で学ばない、ということは集団生活を送らない、ということですので、集団の中のコミュニケーションスキルが伸びないのでは・・・という心配があるかもしれません。

 

でもここは、発達凸凹がある親族の子達の場合は、「1対1のコミュニケーションが丁寧にできて初めて、1対2や3、1対集団がまともにできる」ので、集団生活でへとへとになったケースでは、家庭で親と1対1で丁寧に学んだ方が、同級生が理性的になり落ち着いた頃の合流を目標に「自分の子供も、おちついて同級生と複数人いてもゆったり対応できるように」しておいたほうが、実は現実的には上手くいきます。ですので不登校でこの「集団にいないから、対人能力が伸びないのでは」という部分は「親と、またはフリースクールの先生や友達、または家庭教師など誰でもいいので1対1で円滑に、良い人間関係が築けるように練習しておけば」、その後中高生、大学生、社会人になっている親族のケースでは将来的にそれほど問題にはなっていません。

 

次に体調ですが、体を急激に「使わなく」なり家にいるようになると座ったり寝転んだりして動かない時間が増えます。子供は「成長期」ですので、体は1日最低でも動かす必要がありますが、「運動しないと」と思うとできないものです。そこで主婦の経験がある方ならわかると思いますが、ゴミ出し一つ、雑巾がけ一つ、洗濯物を干したり取り込んだり、畳んだり、もしくは野菜を洗う、刻むなど、それだけでも「立ち仕事」や「全身を動かす」ため、仕事という意識もないのに家事をするだけで体が疲労するぐらい使っているのを理解できると思います。

 

不登校は二次障害を発症していたり心身を治療中でなければ病気ではありませんので、妊婦さんができるぐらいの仕事量はできる、と考えて子供に伝えておきます。「不登校中であなたも大変だろうから、あまりいろいろ家事をしてもらおうとは思ってない。けど妊婦さんができるぐらいの、体に負担にならない家事は少し担当してもらうね。家にいる人間で家を回さないといけないからね。」と説明して、洗濯機を回した後は「外に干して」と多少、下手でも任せて「ありがとう!上手!」とほめておく。

 

夕食を作る前に、新聞の上で人参やジャガイモ、玉ねぎの皮むきをしておいてもらう。人参やジャガイモはピーラーで皮むきしてもらい、時には刻んでもらう。ジャガイモは適当に切ってもらったら、オリーブオイルをまぶしてオーブンにいれて、焼いた後子供に「小腹がすいたらどうぞ。あなたが剥いたジャガイモはおいしいね」と、昼ご飯を食べない子ならおやつがわりにポテトを親子でつまむ、などすると、お手伝いも食の調整にもなり一石二鳥になっています。

 

少しの家事参加で子供の生活能力が上がるので、それは成人までに教えて行かないといけない自立能力にもつながりますから、不登校の時期は楽しく親子で料理をしたり(皮をむくだけでも)、料理する材料を買いに出たり(メモ作成を子供に任せて、なるべく安くていい品を見つけるお手伝いをさせる、本人に選ばせる)、いろいろと実地学習ができます。

 

「学習」のことをテーマにしたのに、なぜこんなことを先にいろいろ書いたのか、というと、こうした実地学習こそが私達が親族が持ち回りでしている「学習会」の基礎だからです。昼ご飯を私が作って「食べさせる」ようなことはたまにしかしません。集まった子達が「何か手伝う」ように促しています。

 

私は大勢の子の面倒を見る能力はありません。子供たちにも「全員の昼ご飯をつくるのは私には無理」というのは前々から言ってあるのでわかっています。ですので、昼ご飯の時間になると「おばちゃん、今日はどうする?」と聞かれるので

 

「誰か畑でじゃがいもを10個ほどほってきて」

「トマト食べたい人は裏からとってきて。5つ以内にしてね~。全部食べられたらおばちゃんが夜ご飯にトマトがない!って困るから」

「白ご飯でいい?だれかおにぎりとかチャーハンとか、納豆巻き・おつけもの巻きにしたい人いる?」

 

と聞いて、チャーハンがいい!という子達はあつめて、焼き豚を刻ませたり、ピーマンや玉ねぎを刻ませたりしてホットプレートで混ぜて焼くようにさせています。これだと「自分はピーマン嫌いだから、焼き豚と玉ねぎだけでいい」と自分の分は自分で、安心して食べれるものを確保します。

 

今の時期だとサツマイモをホイルでまいて、庭で焼いておくとそれがおやつになったりもしますので(大人気です)、手間いらずです。中高校生の大きい子達には、後片付けをいつも頼んでいます。一人でホットプレートを片付けたり皿を片付けるのなんて重労働でやりたくないですから。子供たちがいるうちに、「これ洗ってくれる人」とつのってお願いします。自分たちが他人の家で食べたのだから、そのうちの誰かか片づけるのは当たり前、と親たちからも言われているようで、そこは実行してくれます。

 

こうした「他人といる場での実践」は外に出た時に直接使える対人関係のノウハウにつながっている、と考えています。なんでもない家でのやりとり、家事、役割分担こそが、外に出たときに「他人との間で実践できるかどうか、気配りにつながるかどうか、依存せず手助けする側に立てるかどうか」につながっていきます。発達障害があるからといって、社会で手助けされてばかりの立場では生きて行きにくい、気が滅入るものです。当事者としては、手助けする側にもまわりたい、そうすれば「自分も生きていていい気がする」ものです。

 

社会に出た時の気配りも、「やったことのない気配り」はできないものです。会社のクリスマス会や慰労会などで後片付けが「できるかできないか」も、自分が食べたら当然、片づけるのは自分の役割だ、とこうした学習会で「やったことがある子達」は、当然として慰労会でもやるべきことと「わかっている」ので、できるのです。ですが家庭で「他人の家で食べたら、食べた後のごみをちゃんとごみ箱に入れたり、もしくは袋に入れてごみを持ち帰ったりすること、食べたお皿はまとめて借りた人に返す、できればその場で洗い場を借りて洗って返すのがルール」と教えてやらせていなければ、およばれしたお友達の家で、一人だけ食べて飲んで、おいしかったー!で、遊びに飛び出したり、会社では「お先に失礼します」と片づけている同僚を残して帰宅する、なんてことをやらかします。経験がなければ当然、こうした行動を取ると思われます。

 

不登校の子の学びは、学校での友達関係などで躓いて内側にこもる分、周囲を見渡す余裕がないので、こうした家庭内でのやり取りの中で「他人がいる」「自分がそこにいる」という意識ができるように「行動で」理解できるように巻き込んでいきます。親が口で説明して、子が頭で理解していく、というのでは学習にならず、「本を読み飛ばす」ことが多いように身につかずにスルーしていくことが多いと思われます。

 

こうした日常のやり取りを大事にしたうえで、最後に「勉強という学習」がきます。

勉強は遅れても問題ではありません。2年や3年遅れても、その気になったときに一気に学習していくことが、特に今の時代は可能です。よく私達が利用している動画学習の「スタディサプリ」などは、自分が理解できていない学年からやりたい学年まで好きに進めることができます。今大学生になっているうちの親族の子達は、不登校からの大学受験でこの動画学習ツールを使っていた子が最近はとても多いです。

 

 

小学校4年生からしか履修できませんが、今回の学習会では5年生で不登校の子は算数は4年生、理科と社会は5年生をやっていたようです。スタディサプリのレベルが高い、という子供は、学研ゼミの方をしています。勉強がとにかく嫌いで苦手、という子の方はゲームで遊びながら勉強ができる「ワンダードリル」というのを月500円程度でやっています。これだと親も惜しくないらしいです。教科書の勉強をするのには、「スマートドリル」という方をしています。月1000円になりますが、教科書にそった学習ができます。今回、これで5年生の理科をしていた6年生の子を見ましたが、「ふりこ」が苦手のようで、何度も動画を見てドリルを解いて、を繰り返していました。驚くことに動画が1つ1分とか2分の短いものですが、要点だけきちんと説明されていた感じです。「わかりやすい?」と聞いたらわかりやすい、と言ってました。

 

↑こちらが学研ゼミですが、コースで金額も異なるそうで、それぞれの家庭で選んでるコースが違います。

 

不登校の子が勉強する上で気になるのが、「先生に教えてもらっていない」という分ですが、現代ではスタディサプリのように講師が動画で教えてくれるので、こうした気持ちの上での「先生から教えてもらっていない」ことへの不安は少なくなっています。また動画は自分が何度も再生できるので、学校の授業よりも自分がわからない部分を丁寧に自分自身でフォローできることから、学習の理解度が「人から教えられるだけじゃない」自分でやる勉強、という力が上がってきている気もします。

 

面白くない学習素材というのが減ってきて、学習教材が率先して世の中に登場してくれているため、不登校の子供たちはその恩恵を受けている気もします。特に中学生の不登校の子達は高校受験というハードルがあるのですが、スタディサプリは相当の学習レベルまで網羅してくれているようなので、その動画で学んでワークをしている子達は、外部テストを受けたり、週に1回だけ塾に行ってみても、極端に勉強が遅れているという気はしないようです。

 

あとは発達凸凹がある子達は波があるので、低気圧で体調が悪い子達は勉強ができない時期もあります。その時は休憩して動画を「見るだけ・聞くだけ」で緩く聞き流しする程度で、ほとんど勉強という勉強ができない状態ですが、パッと「できる」状態になると過集中で、朝から夕方までずーっと動画を見て解く、を繰り返す子もいます。やれる時にやる、という感じで自分の体調と学習ペースを自由自在にできるので、その辺での無理をしていませんから、長続きはしています。

 

勉強が苦手も苦手、という子は小学生も中学生も高校生も、親も考えたもので「見るだけ」「遊ぶだけ」の学習ツールをあれこれと提供しています。英語が苦手な子も多いのですが、英語ほど学習の無料アプリが多いので、どれか1教科を学習会で勉強してきた「証拠(ノートや解いたドリル、学研ゼミなどは親側で学習結果を見れるそうです)と引き換えに、英語のゲームアプリをさせてもらえるらしいです。家では1時間勉強したら30分、ゲームアプリをさせてもらえ、それが英語の学習として認められる!と子供たちはルンルンしていました。単語はそれで覚えている子が多いです。(英語の無料学習アプリはスマホのPlayストアから取れます)

 

あと、この教材も好きな子は好きです。ゲーム感覚で歴史の勉強をかじる感じです。

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下のソフトは完全にゲームを楽しむついでに勉強する感じでしょうか。


学習会でも素直に勉強しようと座る子なんて半数ですから、先にこれをスタンバイしておいて「親からの課題ができた子はカーディーズを先にできるからね」と言っておくと、遊びたい子ほどうわっ、と座ります。楽しいことがないと、子供は頑張れません。

 

がくげいさんの教材は親族の間ではよく使われていて、レベルが高すぎず、勉強が遅れいていることに気が引けて、ちょっとできないと泣き崩れるタイプの子には、この最低限の基礎を楽しくわかりやすく学習させてくれるツールとして重宝しています。

 

勉強嫌いな子も、学校を休んでいることで遅れを気にしてしくしく泣いてしまったり、やる気をなくして学習自体を放棄してしまいそうな子には、「楽しみ」がないとふんばれないので、そこをゲームや見るだけ動画など楽だけどやった気になるものから導入して、少しずつ少しずつじわじわと、学習を継続させる方へ習慣づけていきます。

 

日々、これで少しでも「学習した」という実績が積み重なれば、経験からしか学ばない・実感しない子ほど、「まあ、嫌だけど少しはやったから」というどこか継続した部分への自信のようなものが、次のステップへの足固めになります。その先に、学習に取り組む姿勢が出てくる、などの結果が出てくるという気長な作業です。

 

逆にいうと「今まで寝転んで何もしてこなかったから」とか、理想だけ高くて分厚いワークの紙ベースの教材などをそろえて「できない・未完成」という実績が積みあがると、そこで踏ん張るものが何もないので、次のステップの足あがめもなく、先に進まない、という事態になるので、学習成果がある・なしに関わらず、発達障害の子を前進させるには「やった」「行動した」という中身が薄くても、中身が伴わなくても、むしろ「楽しんだ」とか「まあ、やらないよりはやったし」という経験値の方が感覚的に役立ちます。紙ベースは「自分のできなさ加減」が目で見て明確にわかるので、子供によっては落ち込ませて後ろ向きにさせる威力充分だったりしますので、未学習なのがあまりぱっとわからない動画学習の方がハードルが低いのだと思います。

 

ですので、テレビの番組だろうと、外で科学センターで見たり体験したりしたことだろうと、「学習かな?娯楽だけど学習にかろうじてかすっている」のであれば、それは結果として先に進む礎の一つとなります。急がず、慌てず、一つ一つ、足固め、です。不登校の子達が歩んだ奇跡から見ると、これこそが堅実な結果に現実的にたどり着く道でありました。

 

以上、今回の学習会の模様から、いろいろと書いてみました。

 

 


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