いきなり不安は的中した。
トイレに行こうと思い、ブッシュ(藪)の中へ行った。
自転車を道端に置いておくとカメラやビデオを持った奴等が待ち構えていたりする。
自転車野郎を撮りたがる旅行者は多い。
そんな中をトイレットペーパーを持ちながら出ていくのは恥ずかしいのだ。
自転車ごとブッシュの中へ行きスッキリして自転車に跨るといつもと感触が違う。
前輪に眼をやるとパンクしている。あちゃーと思い自転車から降りると後輪もパンクしている。
タイヤをみると何かがいっぱい刺さっている。
恐怖のトゲトゲ植物の上を通ってしまったようだ。
種がマキビシ状になってて鋭いトゲが何本も有る。
殆ど嫌がらせの為に、この世に存在しているとしか思えないファックな植物だ。
前輪10ヵ所、後輪12ヵ所、計22ヶ所もパンクしている。
予備のチューブは1本。パッチ(パンク穴を塞ぐゴム板)は8枚。修理不可能。
 

今日出発した町までヒッチハイクで戻るしかないと思い親指を立てるポーズをとった。
(後で知ったのだが、この国では人差し指を斜め下に向けるのがヒッチのポーズらしい)
皆、笑顔で手を振り返してくれるが、1時間たっても誰も止まってくれない。
どうやら「チャリンコ小僧、元気をアピールしとるな」とでも思ってるらしい。
チャリンコを隠したら、あっさりヒッチできた。
翌日Norsmanの町では俺の自転車と同じタイプのチューブは入手できなかった。
仕方ないのでパッチをしこたま買い修理してから、再びパンクした元の場所までヒッチで戻り走行を再開した。


結局このチューブでアデレードまで走ることになる。
3~4日に一度の割合で空気を足さないと駄目だった。