青春ウォルダム(月譚) 청춘월담 英題:Our Blooming Youth
(tvN 20230206-0411 全20話)
【Episode 5-2】
~市中の通り~
ファン「凶悪な犯罪に使われたとは言え・・・」
と言いかけたその時、見回りの夜警たちが通りを近づいてくるのに気づいたジェイが、慌てて、ファンを路地に押し込む。
気配を消し、夜警が通り過ぎるのを確認する。
ファン「だからといって、こんな風に隠れる必要があるのか?」
静かに!と注意するジェイ。
ジェイ「捕まったら、棒叩きですよ。どのくらい痛いか、知ってるんですか?」
ファン「なぜ、私が知らねばならぬのだ?まさか、棒叩きをされたことがあるとか思うのか?」
ジェイ「かくれんぼが、どんなものか、とか知ってます?」
ファン「宮殿の外の暮らしは知らないかもしれぬが、どういうものかぐらいは知っておる」
バカにされたとか思ってる?(笑)
ジェイ「今、かくれんぼをして遊んでるんですよ、で、捕まるわけにはいかないんです。最初に見つかった人は、デコピンです」
ファン「そなた、世子を叩くつもりか?」
ジェイ「だから、つかまるわけにはいかないんですよ」
咳払いの声が聞こえ、路地のもっと奥深くに隠れる二人。
このシチュエーション、私にとっては、これを思い出しちゃうよ(笑)
裏路地密着と言えば、ヘリとリュ・ジュンヨル@応答せよ1988
朝鮮王朝期は、この距離感だって、ヤバイでしょうけどね(笑)
ほのかに酔って、頬をうすく赤らめた想い人を前に、すさまじい誘惑がファンを襲ってます。
必死に気持ちをセーブしようと、視線をそらし、後ずさるファンに、「胸がドキドキしませんか?」と煽り始めるジェイもどうよ!(苦笑)
ファン「なぜ、胸が高鳴るのだ? そんなわけがないであろう」
ジェイ「私の胸は高鳴ってます」
この女、こんなところで、こんな状態で、一体、何を言い出すか!!
ファンの喉ぼとけが、上下に忙しく動き回ってます。(笑)
ジェイ「怖いことがあると、胸がドキドキするんですけど、でも、怖さ半分ワクワクも半分なんです。私、心臓がドキドキするの、大好きなんです。今、本当に高鳴ってます・・」
そんなん言われたら、今、目の前で、自分のバクバクしてる心臓を取り出してみせようか、くらいの気持ちのファン。
あろうことか、一歩、前に進み出るジェイ。
ファン「・・・・・・!」
その時、頭上で、音がして・・・・さっと、音のしたほうを見る二人。
路地から、通りにめがけて、ザルが転がり出てくる。
夜警が物音に気づき、路地の奥にむかって、火をかざしてみれば・・・そこには、猫が一匹。
その直前、すんでのところで、路地から逃げ出していた二人。
屋敷が立ちならぶ通りまで、全力で駆け抜けてきて、ようやく足をとめたときの、屈託のないジェイの笑顔を見て、不安な気持ちが吹き飛ぶファン。
仕方のない奴め・・・と、ひたすら、楽しそうなジェイのあとに続くファン。
~領議政 屋敷前~
一方、柱にもたれかかり、座り込んで寝てしまったミョンジンを見下ろし、途方にくれるガラム。
ガラム「先生様、起きてくださいよ、先生様・・。おうちの前ですよ。こんなところで寝ちゃだめですよ」
熟睡はしていなかったのか、ほうっておけ・・・と、手を振りほどくミョンジン。
ガラム「こんなに酔ってたら、家の前でつかまりますよ。お坊ちゃま・・・、お坊ちゃま!!」
起きないミョンジン。
ガラム「ミョンジナ~~!」← これ、笑った!
いやだ、と暴れ、とうとう、大の字になって寝っ転がってしまう。
天を仰ぎ、もう放って帰ろうか、と思いつつ、それでも、あまりに忍びなく、結局、門をたたき、
キム家の使用人に声をかけることに。。。
「静かに! 旦那様がまだ、起きていらっしゃるんですよ」と焦って出てきた使用人と共に、ミョンジンを屋敷の中に運び入れる。
当然のごとく、騒ぎをききつけた領議政が、顔を見せる。
領議政「また、酔っぱらってきおったか!(怒)一体、どのくらい飲んだのだ」
頭をさげるガラム。
ガラム「そんなにおおくはありません。ほんの少しです。旦那様」
ミョンジンの代わりに答えるガラム。
領議政「誰じゃ?」
ガラム「キム先生のもとで、教えを請う者です」
領議政「それで、こんなになるまで飲ませたままにしておったか?」
ガラム「・・・申し訳ございません」
ここは、謝るしかありません。
ためいきをついて、家の中に戻る領議政。
とりあえず、領議政の追求は、そこで終わりましたが、次に現れたのは、ミョンジンの二人の兄。
なんだか、ロープレゲームで次々現れるモンスターみたいだな(笑)
兄1「こいつが酔って戻ってきても、家の中に入れるな、と申しておいたはずだ。なぜ、家の中に入れたのだ?」
兄2「ほっておきましょう、兄上。どんなに惨めであっても、弟には変わりないんです。外に出しておいたままにすれば、我が家の恥となるだけでございます。(使用人に)さっさと中に連れていけ。逃げ出さぬよう、門に鍵を閉めておけ!」
兄たちの冷たい言い様に驚くガラム。
~ミョンジンの部屋~
なんとか、布団に寝かせると、使用人に「あの人たち、お坊ちゃまの家族じゃないんですか?なんだか、みんなして、惨めだなんて見下してるみたい・・」と訊ねるガラム。
父親は領議政、長男は、検閲局のお役人で、次男は王立書院で働いている。
それなのに、末の息子は、かろうじて、王立書院に入ったものの、そこも追い出されてしまった、とキム家の内情を話す使用人。
ミョンジンの知らなかった一面を見てしまったガラム。
変わり者で呑気な、金持ちのお坊ちゃまだとばかり思ってたのに。。。
ガラム「明日の朝、うちの先生に、ヘジャンクッ(二日酔いに効くスープ/(해장국;解酲湯))を作ってあげてください」
二日酔いにはヘジャンクッって決まり文句みたいだけど、この言葉が出るってことが、ガラムのいいところだと思う。
もし、ガラムが面倒を見る立場なら、絶対、作ってあげるだろうから。
使用人「なにがヘジャンクッだ・・、飯一杯でも食べられたら、幸運だろうよ。お前さんには、ここの奥様がどんなに恐ろしい人か、思いもよらないだろうな・・・。今夜だって、奥様が早くお休みになってたのを神に感謝したほうがいい」
ミョンジンを箒で追い掛け回し、ぶちのめしたという御人ですね。← たぶん、この流れでいくと、キム家のラスボス?(笑)
使用人「ああ、うちのお坊ちゃま、明日はおそらく、箒で叩かれて、目を覚ますことだろうよ」
ガラム「え?」
部屋から、出ていってしまう使用人。
行くな、置いていくな、と寝言を言うミョンジンを見て、布団をかけなおしながら、
微笑むガラム。
屋敷の外に出てきて、大きな屋敷の門を見上げるガラム。
ガラム「お坊ちゃまは、とってもすごい人なのに。あの人たち、まだ、知らないんだわ」
口では、なんだかんだ言ってはいても、ミョンジンのことをちゃんと評価しているとこがいいなぁ、ガラム。
~通り~
いつしか、歩幅を合わせて、歩くファンとジェイ。
ファン「ソンオンに反抗するのは、気分悪くないのか?」
ジェイ「・・・・こんな形で会うくらいなら、いっそ会わないままでいたほうがよかったとは思いますが、(私に)ほかに選択の余地はなかったじゃないですか。それに、私は、これを競争とはみなしてないんです。皆が、無実の人が殺されるのを防ぎ、犯人を捕らえるために、それぞれのやり方を試そうとしているんです。
チョハにお伺いしたいことがありました。チョハは、ハン正郎様のことをどのように考えておられますか? 私の能力を試すためだけではないような気がするんです。あの方の忠誠をも、試されているように感じるというか・・。」
ファン「そのようなことではない。彼の、経験値、能力、そして、忠心も認めておる。」
とはいうものの、そこで、言葉が途絶えてしまうファン。
ジェイ「幽霊の書のせいですか?」
立ち止まるファン。
図星と言われているようなものです。
ジェイ「朋者背道友者向倒 萬億殯因汝之愚
親しき友が背中を刺し
愚かさのせいで 多くの人が殺されるだろう
そのせいで、距離を置かれていらっしゃるのですか? 正郎様があなたの背中を刺し、あなたのせいで、殺されることになるかもしれないと心配されているのですか?」
ファン「・・・・・・・」
ジェイが、手紙を目にしているとしたら、当然、その文言も目にしているはずで、ただ、ソンオンと距離を取っていることまで、ちゃんと見抜いていたことを、ファンは、どうとらえるんだろうか。
ファン「伝令は殺された。私のせいだ。もし、私が彼を遣わさなかったら、あの者は殺されずにすんだはずだ。そして、お前も、家族を殺されたと私を責めたではないか・・・」
ナイーブなんです。ウリ世子は・・。
ジェイ「まだ、そのことを心に止めて置かれたとは思いませんでした。あの時の私は、追い出されたらどうしようという恐怖のあまり、あんなことを言ってしまっただけなんです。チョハのせいなどではございません」
ファン「・・・・・・・」
真摯に、今の気持ちを伝えるジェイの瞳を見ながら、その視線を、兵曹の役所に向けるファン。
ファン「正郎は、まだ、家に帰っておらぬようだ」
振り返るジェイ。
恐る恐る門の中に入るジェイと・・あとに続くファン。
出払っているのか、誰も出てきません。
この灯りのついている部屋が、ソンオンの部屋なんですね。
~兵曹 ソンオンの部屋~
手を止め、ジェイの言葉を思い起こしているソンオン。
ジェイ「ハン正郎は、これらの事件が起きた日付がおかしいと思われませんか?」
「犯人が、民間信仰を信じており、特定の場所を拾い上げているのなら、それらの日付を選んだ理由もあるに違いありません。」
「発見される危険を冒してまでも、それらの文字を刻んだ犯人の理由が、これらの殺人の動機なのです」
~兵曹役所の前庭~
覗き込んでいるジェイ。
ファン「入ったらよい」
ジェイ「え? どうして、私が中に入るんですか?」
ファン「私が、内官に対抗させたせいで、おそらく動揺しておるであろう。そして、おそらく、婚約者であるそなたのことでも、思い悩んでいるに違いない。」
ジェイ「(今の私に)なんと声をかけられるでしょうか。チョハこそ、中に入って慰めてあげるべきですよ」
ファン「え?」
ジェイ「チョハこそ、正郎様のこと、心配じゃないんですか? 中に行って力づけてあげてください!」
文字通り、ファンの背中を押すジェイ。
靴まで脱がしてあげて、いたれり尽くせり。(笑)
有無をいわせず、扉が開けられ・・・
突然の物音に驚くソンオン。
ソンオン「チョハ・・・」
立ち上がるソンオン。
ソンオン「変装なさって、どこかにお出かけだったのですか?」
ファン「ああ・・・」
ちらっと、横のジェイを睨み、仕方ない・・・と、部屋に入っていくしかないファン。
その場で聞き耳を立てるジェイ。(笑)
ファン「そなたこそ、こんな夜遅くまで、兵曹で何をしておるのだ?四方位事件の件か?」
ソンオン「そうでございます。 明朝、お訪ねしようと思っておりました」
引き出しから、“亀ちゃん”を取り出すソンオン。
手に取るファン。
ファン「方位磁石ではないか」
ソンオン「道教の役所のものが、市場で売ったものの一つです。」
すぐに、気づいたファン。
ファン「ならば、なぜ、何も見つからなかった、と報告したのだ?」
ソンオン「・・・・・・」
いくら、ウソがつけないにしても、黙り込んじゃうってどうなの?
ファン「これの持ち主が誰なのか、知っておったのか?」
動揺しまくって、何も言えないソンオン。
外で立ち聞きしているジェイにも、聞こえてるのかな?
亀の甲羅部分を開き、確認するファン。
ファン「そなたの父親、左議政ハン・ジョンオンのものに違いないのだな・・・」
ソンオン「父のものではありません。他の人の・・・」
ファン「これは、二年前、明国の使者が来た際に譲り受けたものだ」
当然、その出自も知ってたファン。
ソンオン「いかがいたしましょうか」
ファン「今、それを訊ねるのか・・・あえて、私に嘘を申し、自分の父親のものではないと判明してから、どうしたらよいか、と訊ねてきおったのか・・・」
ソンオン「この方位磁石を見つけた瞬間、チョハにご報告しようと思いました」
ファン「しかし、そなたは真実を告げなかった」
ソンオン「息子として、まず、父を確認すべきだと考えたのです。たとえ、それが父のものだったとしても、チョハに真実を告げようとしたのです」
ファン「本当に、そのように考えたのか?」
ソンオン「・・・・・・・」
ああ、目に動揺がうつってる。。。
ファン「そうなのか?」
ああ、ジェイの耳にも、会話は届いてた~~~。
ファン「もし、そなたの父が、祈祷を台無しにしたら、そなたの家族はどうなったであろうか? 私がそれをかばうとでも思ったか? そのことが気になっていたのではないのか?!」
だんだん、声色が険しくなっていくファン。
ソンオン「チョハは、私にとって、世子である前に、友なのです」
そんなことは、言われるまでもなく、わかっている
ファン「もし、我々が友であるなら、もし、私がお前の友であるのなら、お前は、なにをすべきであったか?」
ソンオン「自分の父親が加担した(のかも)と知った時に感じた絶望を理解できませんか? なぜ、私が躊躇ったのか・・・」
それも言われなくても、わかっている
彼らの会話を、何とも言えない想いで、外で聞いているジェイ。
ソンオン「たとえ、躊躇したとしても、たとえ、それが父親のものであっても、私は常に、チョハの側におります。本当に、私を信じられませんか?」
ファン「私は・・・」
脳裏に浮かぶ、先ほどのジェイの言葉。
ジェイ「幽霊の書のせいですか?」
「正郎様があなたの背中を刺し、あなたのせいで、殺されることになるかもしれないと心配されているのですか?」
こんなはずじゃなかったのにねぇ・・。
ファン「・・・・私は、世子になったとき、友情全てを手放そうと心に決めた。しかし、私は今夜、そなたが言ったことを覚えておこう。たとえ、この方位磁石が父親のものであったとしても、私の側につくと言ったことを・・・。お前も忘れるでないぞ」
その時、外で、「何者だ?」と大声が聞こえ、部屋を出ていくファン。
兵曹の兵士に捉えられていたジェイ。
兵士「正郎様、まだ、いらっしゃったのですか」
ソンオン「どうしたのだ?」
兵士「この者が、門限を過ぎても、外にいただけでなく、周囲を覗き見しておりましたので、捕まえました」
ジェイを掴む兵士に、「その手を離せ!」と命令するファン。
ソンオン「そなたは・・・」
ジェイ「はい、正郎様。コ内官でございます」
ソンオン「この者なら、怪しいものではない」
兵士に伝えるソンオン。
兵士「かしこまりました」
ソンオン「テガンではなく、彼をともなって、変装して、出かけていたのですか?」
そんなことはありえないと驚くソンオン。
ファン「ともに対応せねばならぬことがあったのだ。もう、戻るぞ」
超絶、気まずいなかで、ソンオンにむけて、頭をさげるしかないジェイ。
そして、ファンのあとをおいかけていく。
その後ろ姿を見ながら、更に、ファンとの間の、距離を感じるソンオン。
~兵曹役所の門の外~
ジェイ「私を叩いてださい。」
いきなりそんなことを言い出したジェイに、立ち止まるファン。
ジェイ「誰であろうと、捕まった人は叩かれる。覚えておいでですか?」
デコピンされる覚悟で、笠子帽をずらすジェイ。
申し訳ないという気持ちを、少しでも、軽め軽めにみせてるんです。
ちらっと、周囲を見回すと、「私は、人を叩いたりするのは好きではない」と告げ、
先に歩き始めるファン。
ジェイ「後で、いろいろ言わないでくださいね~~」
ほんと、まさか、こんなことになるなんてねぇ。
★『青春ウォルダム(月譚)』5-2 雑感★
恋心というのは、突然、ふってわいて出ることもありますが、その後の想いというのは、どんどん募っていくものなのですね。
今となっては、少年だった頃の、宝物のような非日常の一日を思い出すときに、決まって思い出すのは、人のために必死になっていた少女の姿。
いや、そんな立派な理由じゃない。
ただ、川の照り返しと共に、眩しい笑顔が目に焼き付いていただけ。
そんなぼんやりとした初恋の輪郭が明確になったのは、いつだったんだろう。
ソンオンの縁談が決まり、相手が、あの時の少女だと知らされた時だったのかもしれない。
大人になった彼女は、周囲には決して見当たらない、打てば響くような、聡明で可愛らしい女性に成長し、しかも困難を一身に背負い、(婚約者ではない)自分に助けを求めて、命がけで会いにきたという。
顔を合わせてしまえば、手元に置いておきたくて、毎日、顔を見たくて・・話がしたくて、ともに歩きたくて・・・どんどん、抑えられずに、気づけば、今、ここ。
ジェイはジェイで、どんなに聡明で、世事に長けていても、自分のことに置き換えるのはなかなかむつかしい。
ソンオンへの想いが「憧れ」だけなのか、それとも「本当の愛」なのか、確信は持てないですが、これは断言してもいいよ。
絵にかいた餅より、目の前の飴ちゃん。。(笑)
いえ、私としては、キャッキャウフフの時期を思いっきり楽しみたいだけなんです。
だから、絵にかいた餅を、早くステージから降ろしてほしい。。。← なんてことを!
いや、いなくなれ、と言ってるわけではなくて、他の道もあるよ~~って言いたいんです。
友人であり、主従でもあるファンとソンオン。
「恋愛関係」とどこか、少し似ているかもしれませんが、重用されていたと思っていたのに、いつのまにか、距離が出来て、もがけばもがくほど、空回りしてしまう。
そんな人間関係、覚えがある人も多いと思います。
特に、「親友」という存在は、「一番近しい」という、距離の順列と比較を生むのです。
第三者の登場が、「距離感」を強烈に意識させたり、「嫉妬」を加速させたりしますが、そもそもは「彼我(あなたと私)」の問題なんですよね。
そのあたりを掘り下げるのは、人間ドラマとしては、大いに「あり」だと思います。