ファンのからくり箱、いいなぁ。
 
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青春ウォルダム(月譚)  청춘월담 英題:Our Blooming Youth

 (tvN 20230206-0411 全20話)

 

【Episode 6-2】

 

~領議政 屋敷~

東宮の内官が、四方位事件の犯人を捕まえ、ケガをしたと聞きつけたガラム。

そんな内官、ジェイ以外にいるはずがありません。

 

ガラムが、駆けつけてきたのは、領議政の屋敷、というか、ミョンジンの元です。

 

門の隙間からのぞき見しても、別に、なにかわかるわけもなく・・・。

 

ガラム「ウリアガシ・・正体を偽ってるんだから、まともな治療なんて、受けられなかったに違いないわ。無事でいてくれるといいんだけど・・・。ああ、先生様にも何日も会ってないのよ、いったい、どうすればいいの?」

 

オットカジョ~~と言いつつ、向かった先は、屋敷の裏。。(笑)

 

ガラム「やっぱり、壁を乗り越えるしかないかな・・・」

久しぶりにうずうずしてます。やる気満々です(笑)

 

塀に手をつき、身体を上に持ちあげようとしたところで、屋敷の内側から塀をよじ登ろうとしていたミョンジンと鉢合わせ。

ミョンジン「ああ、びっくりした!」

ガラム「きゃぁ!!」

なんとも、気があうことで。。。

 

ガラム「先生様!」

ミョンジン「弟子よ!」

ガラム「閉じ込められたんですか?」

ミョンジン「そうだ」

 

ぴょんぴょん飛び跳ねながら、塀のこちら側と向こう側で、会話する二人。(笑)

 

ガラム「壁の乗り越え方も知らないんですか?」

ミョンジン「だから、今、やっておろうが・・・」

一発じゃ無理でした。

とりあえず、一旦、塀の上に馬乗りになるミョンジン。

 

ミョンジン「私のことが心配で、ここに来たのか?」

ガラム「ええ。飛び降りてください、先生様」

そういうと、手を広げるガラム。

 

ミョンジン「そなたが、私を受け止めるのか?」

ガラム「もちろんですよ、さ、思いっきり飛んでください」

確かに、これは、ミョンジンが勘違いしてもむりないかも。(笑)

 

塀の上にたち、自ら両手を広げると、そのまま、「弟子よ~~~」と倒れ込んでくるミョンジン。

 

当然、え・・と、手をひっこめるガラム。

違う、違う、そうじゃな~い♪

 

地面にたたきつけられたミョンジン。

 

ガラム「飛ぶのを見ててあげますよって意味で、受け止められるとは思ってませんでしたよ」

でしょうね。(笑)

 

ミョンジン「だったら、私が飛ぶ前に言え!」

背中を強打したみたいです。(笑)

 

とりあえず、脱出成功。(笑)

 

~市場~

早速、チヂミをぱくつくミョンジン。

ミョンジン「うん、うまいなぁ」

領議政の御屋敷じゃ、ごはん抜きだったのかな。

 

ガラム「なんで、(お宅では)先生様に、ごはん食べさせてくれないんですか?」

ガラムも同じことを思ったみたいです。

 

ケロッとした顔で、否定するミョンジン。

ミョンジン「うちの母上は、気性が荒くて、時々私を監禁したりするが、決して、空腹にさせたりはしない。だが、活気ある市場の食べ物をしばらく食わないでいると、つい、なにも食べてなかったような気がしてなぁ・・。(ここは)いいところだと思わんか? 人にも会え、皆、とても愛情深い」

ガラムの口にも、チヂミを突っ込み、一緒に分かち合うミョンジン。

 

ガラム「ところで、どうして、閉じ込められたんですか?」

ミョンジン「なぜだと思う? 私が役立たずだからだ」

ガラム「それで、毎日、壁を登ろうとしてたんですか?」

はぁ~、とため息をつくミョンジン。

ミョンジン「いや、もうすぐ、玄関を使うことができるようになるぞ。縁談が舞い込んだのだ」

 

嬉しそうなミョンジン。

ガラム「・・・え?」

ミョンジン「礼曹判書の娘・・・美人で賢いと知られた三女だ」

一人で盛り上がってます。。

ガラム「ああ~~、結婚するんですね?」

ミョンジン「世子の婚姻がすむまでは、禁婚礼のため、すぐには結婚できぬ。だが、彼女は、私のことを聞いて、ショックを受けた。それで、遠くからでも、一目、私に会いたいと言ったそうだ。それがいつかわからないので、うちの両親は、常に注意深くするようにと話されたのだ。だから、私は両親がそれほど長い間、私を閉じ込めておく気はないと思っておる。」

それを聞きながら、だんだん、読めてきたガラム。

ガラム「あ~、そりゃ、先生様のことを聞いたら、大層、ショックを受けられたでしょうよ。きっと、そのお嬢様が先生様に直接会われたら、もっとショックですよ」

視線の先は、サルの手のホネホネのりげ。

 

ミョンジン、聞いちゃいない。

でも、やっぱり、ミョンジンだと、(成立するしないは別として)そのクラスの縁談が来るってことよね。

 

ミョンガン「あ、そうだ。マンヨンダンで、なにか起きたのか?」

肝心なことを思い出しました。

ガラム「そうだった!ああ、もう、私のバカ! こんな大事なことを忘れるなんて、信じられない!・・・先生様、宮殿でなにがあったのか、聞かれました?ウリアガ・・じゃなくて、内官がケガをしたとか、聞いてませんか?」

ミョンガン「コ内官のことか?」

うんうんうんうん、と頷くガラム。

ミョンガン「兄上の話では、役人たちが、四方位事件の殺人者を捕まえたそうだ。コ内官になにかあったのか? けがでもしたのか?」

泣きそうなガラム。

ガラム「先生様が、それを私に聞いてどうするんですか!先生様に聞こうと思ったのに・・・」

ミョンジン「ちょっと待った!ちょっと待てよ。お前は私のところに訊ねてきて、そして、なぜ、私は、壁を乗り越えようとしたのだ?・・・マンヨンダン! そうだ、私はマンヨンダンにいくつもりだったのだ」

高笑いしながら、ずんずん、歩き始めるミョンジン。

 

ガラム「そうじゃなくて・・・先生様のお父様は、領議政でしょう。どうか、調べてください、ウリアガ・・じゃなくて、コ内官が無事かどうか・・ひどくケガをしたのかどうか、調べてください、ね?」

 

楽しそうに、笑うのみのミョンジン。。。

 

 

~マンヨンダンの向かいの食堂~

 

かまどの前で、ぼう~っとしているボクスン。

 

客が声をかけても、心ここにあらず。

 

そこに、腕を押さえながら、マンドクが戻ってきました。

ソンオンから受けた刀傷です。

 

マンドク「今、帰ったぞ」

心配の極致だったボクスンが、無言で、家の中に、マンドクをひっぱりこみます。

ボクスン「見せてよ。ケガしたんでしょ? 大丈夫なんだよね?」

マンドク「平気だよ、もちろん」

ボクスン「私がどれほど怖かったか、わかる?一晩中、ずっと待ってたんだよ。死んだんじゃないか、って心配だったんだ。なによ? けがしたのね?」

左腕を押さえているマンドクの傷を確認しようとする。

ボクスン「みせてごらんよ。どこをケガしたの?」

服の上から血がにじんでいるのに気づき、隠すマンドク。

 

座り込んでしまうボクスン。

 

マンドク「なんでもないんだ。薬草を取りに行くときは、よくあることなんだよ」

ボクスンに背を向け、黒装束をしまうマンドク。

 

ボクスン「もう行かないでおくれよ。命令だっとしても・・。故郷に戻らなくてもいいよ。今回は、どこだったの? 祈祷所? 誰かを殺したりしてないよね?そんなことしてないよね?」

 

マンドク「なんで、わしが誰かを殺したりするんだ? お前、なんで、そんなことを言うんだよ?」

マンドクのケガの手当をしようとするボクスン。

マンドク「平気だってば」

ボクスン「平気だったら、みせてごらんよ」

感情的になって、声を荒げるボクスン。

マンドク「平気だって言っただろう?」

ボクスン「いいから、手をみせて。」

 

この夫婦も、いろいろなものを抱えいそうだね。

なにか、目的があって、ここの場所にカモフラージュの店を出したんだろうか。

 

この二人が、いつまでも敵方にいるって感じ、しないんだけどなぁ。

 

~東宮殿~

 

先輩内官の前で、神妙な顔で立っているジェイ。

もう、よくなったのね。

 

先輩キム内官(向かって右)「我々は、お前がケガをしていようと、気にしないからな」

先輩チャ内官(〃左)「いくら、チョハがお前をかわいがろうと、お前のすべきことを忘れるなよ。俺たちの言ってる意味、わかるよな?」

そろそろ、この二人も名前で呼ぶようにしようかな(笑)

 

ジェイ「はい・・」

頭を下げるジェイ。

 

お掃除タイムです。

床をピカピカに磨き上げる時も、お尻で押されたり、ちょっぴり意地悪されるジェイ。

 

キム内官「こうやって、背中に力を入れるんだ」

チャ内官「ただ、こするだけじゃないぞ」

 

その時、ファンが戻ってくる。

 

ファン「スンドラ、ついてまいれ。お前にやってもらうことがある」

先輩のいびり・・・聞いてたのかな(笑)

 

ソ内官が、雑巾をうけとると・・・そそそそ~~っと、ファンのあとに続き、部屋に入っていくジェイ。

 

チャ内官「いまの、どういうことだと思う?」

キム内官「広間中、掃除させてやる!」

 

~ファンの部屋~

呼ばれたものの・・・なにも指示がなく、本を読んでいるファンの前で、ただ、つったってるジェイ。

 

ようやく「座れ」と言われ、座ったものの。。。それだけ。。。

ジェイ「なにか、やることがあるとか・・?」

ファン「座っておれ。それが、お前にさせようとしたことだ」

 

どういうこと?????

 

まだ、お仕事をさせるのは忍びないそうですよ(笑)

 

また、ある時は・・・

 

重い長机を二人がかりで運ぶ先輩内官たち。

チャ内官「倉庫の掃除をしようとしても、新しい内官が入ってきたって、一体、なんの役に立ってるんだ」

キム内官「できるだけ早く、あいつを追い出してやらないとな・・」

チャ内官「だが、どうやって? 世子は、あいつを可愛がってるのに・・」

キム内官「じゃ、どうするんだよ?」

チャ内官「だから、俺がそう言ってるだろう?」

キム内官「くそ、これじゃ終わらんぞ」

チャ内官「水、飲みにいこうぜ」

キム内官「これのあとだ!」

 

また、ある時は・・・

 

先輩たちと薪を抱えているところに、ファンが通りかかり・・

ファン「コ・スンドル!ついてまいれ、おまえにさせることがある」

またですか?(笑)

またですか?(笑)

 

持ってる薪を先輩たちに渡して、あとに続くジェイ。

 

あからさまになってきたぞ(笑)

 

部屋に入っても、別になにもするわけじゃなし・・・。

 

・・・と思ったら、なにか投げられた。

キャッチしてみると、やっぱり「みかん」来た~~~!!

先日の「りんご」は、謝罪リンゴじゃなかったと思いますが、お次は、世宗大王でさえ、めぼしい側室に渡して気を引いたと言われてる「みかん」です(笑)

ファンは、歴代の王たちのエピソードをてんこ盛りにしてるのかな(笑)

 

みかんを眺めているジェイ。

 

ファン「どうかしたのか? ・・・食べよ」

 

笑顔になるジェイ。

ジェイ「これ、みかんですよね? 見るの、はじめてです」

 

それをきけただけで、笑みを抑えるのに必死なファン。

 

香りを嗅いでる姿をみるだけで、内心、めろんめろん。

あ、柿もあったね。

いや、さすがに「メロン」は出てこないはず(笑)

 

そして、また、ある時は・・・・

 

倉庫の掃除で、重い甕を、先輩内官たちの言うままに、あっちへ、こっちへ、と無駄に移動させられるジェイ。

 

そこに、テガンが入ってきて・・・

 

キム内官「チョハは、また、スンドリをお探しなんですか?」

頷くテガン。

チャ内官「行くべきだな。チョハがお呼びなんだから。さ、行けよ。さっさと行けよ」

 

お辞儀をして、倉庫をあとにするジェイ。

ジェイも、別に、ここにいるよりは、何百倍もましでしょうからね(笑)

 

倉庫から出てきたジェイ。

テガンがなにか言いたげです。

 

テガン「チョハは、私に、お前に薬を飲むように伝えろ、と望まれた。薬を飲みに行ってこい」

 

ファンの意図に気づいて、隠し部屋にいき、薬を飲むジェイ。

苦い薬のあとには、甘い干し柿がついてます。

 

ぱくぱく食べながら、すっかり笑顔のジェイ。

 

~東宮 庭~

資料室から本を運んできている途中、中殿の一行が差し掛かる。

 

道をあけて、下を向いているジェイ。

 

中殿「コ内官ではないか?」

ジェイ「はい、中殿媽媽。」

中殿「そなたが、正郎と共に、四方位事件の殺人者を捕まえたと聞いた。・・・おや、ケガをしたのか?」

咄嗟にケガを隠すジェイ。

ジェイ「いいえ、媽媽。大丈夫でございます。世子にお仕えするには、なんの支障もございませんので」

中殿「たとえ、世子にお仕えできるからと言っても、身体には気を付けなければならぬ。宮殿の医師に知らせ、薬を届けさせよう。まずは、我が身をいとうのだ」

ジェイ「光栄でございます、媽媽。ご心配をおかけして、申し訳ございません。」

 

途中、立ち止まり、振り向くと、ジェイのことを気にする中殿。

 

中殿「なんと、尊い心掛けであろうか。とても知的なようにも見える」

女官も視線を向ける。

 

ついつい、なにか考えがありそうに見えてしまう。。。← でなきゃ、ベテラン女優をキャステングする?(笑)

 

すっかり夜になりました。

 

~ファンの部屋の前~

 

あ・・また、呼ばれたの?(笑)

内官や宮女たちが居並ぶなか、「チョハ、スンドリでございます」「入れ」のやり取り。。

超気まずいものの、中に入るしかないジェイ。

 

正面に座り、傷を気にするファンの視線を感じ、さっと、手で隠す。

ジェイ「とてもよくなったように思います。全て、チョハのおかげです」

 

ファンの机の上に置かれた書に目を向けるジェイ。

 

開城家族殺人事件記録・・と書かれてます。

 

 

ファン:そなたの腕前を試したのちに、そなたの家族について、聞こうと思う。その後、そなたの使い道を考えてみようと思う

 

内官となって、東宮に入ることが出来たあの日、ファンは確かにそう言いました。

 

その約束を果たそうというのでしょう。

 

ファン「そなたの家族の死について、申してみよ」

ジェイ「記録にはなんと書かれてあるのですか?」

 

ファン「記録によれば・・・」

 

ジェイは、殺人事件の起こる3~4か月前くらいから、料理の仕方を勉強していた。

 

事情聴取を受けた使用人たちの証言:

当日の朝食は、ジェイが作ることになっていたため、使用人たちは、台所には近づかなかった。

本人は、自身の朝食は、つくっていない。

 

ファン「また、記録には、ミン先生に、ハン正郎との結婚の中止を願い出て、情人と共に逃げようとしたが、ミン先生はそれを認めなかった、とある」

 

口を挟まず、じっと聞いているジェイ。

 

使用人たちの証言:

旦那様があのような声を出されたのを聞いたことがない。

お嬢様は、ヨンのせいで、毎夜、男の身なりをして、屋敷を抜け出していた

あの男と浮気をしていた

お揃いのヒスイの腕飾りを身に着けていた

ヨンと駆け落ちするつもりでいた

 

みるみるうちに、涙がにじむジェイ。

ファンも、言葉に出すのが、つらくてもたまらない。

 

ファン「記録によると、可能な限りの悪事を選択したとなっておる・・・」

 

砒素を持ち出し、汁の中に入れた。

家族を毒殺することを選び、恋人と共に逃亡した。

 

ファン「そなたは、汁に砒素を入れ、家族を毒殺したが、そなたの情人、シム・ヨンは、自分を引き取り、育ててくれた、ミン・ソンホを裏切ることができず、そなたと逃げる代わりに、全てを自供する決心をした。これらが、記録に書かれていたことだ」

 

あまりの絶望と無力感に、とうとう、我慢しきれず、涙がこぼれるジェイ。

 

ファン「さぁ、そなたの側の話を聞くとしよう」

 

使用人が不審を抱いた部分から説明を始めるジェイ。

 

ジェイ「私が、鍵のかかった扉の向こうで、父と話をしていたの理由は、私の恋愛絡みの話のせいではありませんでした。チョハが送ってこられた秘密の手紙のためでした」

 

 

手紙を読み終えると、「私が(漢陽に)参るべきでしょう。結婚を延期しなければなりません」と、父親に伝えるジェイ。

ジェイパパ「そんな簡単な話ではない。チョハに、男の身なりをし、兄の名を語るというそなたのやり方を含め、全てを話すつもりか?」

 

 

ファン「そなたが、家族のために朝食を作ったと言うのは事実なのか? そなたが取り分けるまえに、毒を入れる機会があったものはいるのか?」

 

ジェイ「いいえ、チョハ。犯人が汁に毒を混ぜることが出来た唯一の時間が、私が味見をし、器に盛った後です。汁は、私が味見をした時には、なんでもなかったのです。私がよそったのちに、毒が入れられたのです。」

 

辛い聴取は続きます。

 

ファン「その時、台所に入ったものは、誰もおらぬのか?」

ジェイ「はい、私だけです」

ファン「なぜ、そなたは、食べなかったのだ?」

ジェイ「秘密の手紙のことで考え込んでしまい、食べられませんでした」

ファン「そなたが、毒を買ったと言うのも、事実なのか?」

ジェイ「人に使うつもりではなかったのです。毒について、勉強中だったので、購入したのです」

ファン「では、なぜ、そなたの恋人とやらは、そなたが汁に毒を入れたと告白したのだ? シム・ヨンとは、そなたの恋人であったのか?」

 

ついに、情人の話になり、どんどん、声が強張っていくファン。

 

ジェイ「あの子は・・・」

 

ジェイが、奴隷として売り飛ばされそうになったのを助けた少年でした。

偶然、居合わせることになったファンも、そのことはよく知っています。

あのあと、ミン・ソンホが、実の子供と同じように育て、ユンジェ、ジェイとともに、兄弟のようにして育ったのです。

 

ヨンから、自分には習わせてもらえない武芸の心得を習うジェイ。

当然、秘密です。

日々、特訓を重ねていくうちに、上達していった結果が、

この間の、祈祷師との一騎打ちにでも、あのくらいのケガで済んだ理由でもありました。

 

ジェイ「あの子は・・・私にとって、他人なんかじゃなく、兄弟みたいなものでした。情人だなんて、とんでもありません」

強く否定するジェイ。

ファン「それならば、なぜ、彼は、お前たち二人が情人同士だなどと言ったのだ?」

ジェイ「私にもわかりません。ヨニが・・なぜそんなことを言ったのか、まったくわかりません」

大きく肩で息をついても、まったく気が晴れない様子のファン。

ジェイ「真犯人を捕まえなければなりません。もし・・ケソンに戻ることができれば・・・もう一度、すべてを調べることができれば・・・見落としていた事実を必ずや、探し出すことができると思います」

これはもう、そうさせてください、という、ファンへの嘆願です。

 

ファン「その前に、我々には、解決せねばならないことがある」

 

頷くジェイ。

ジェイ「幽霊の書についてですね。その書は、どちらに? チョハがお持ちでいらっしゃるんですよね?」

 

ファン「秘密の手紙の筆跡を覚えておるか?」

ジェイ「詳しいところまでは覚えておりませんが、とてもすっきりとして読みやすい文字でした」

ファン「では、世子の押印はどうであった?」

ジェイ「世子の押印とは・・?」

紙を取り出し、無造作に、印鑑を取り出し、押してみせる。

 

ジェイ「確かではありませんが、よく似ていたように思えます」

目を閉じるジェイ。

ジェイ「正直、あの日のことは、よく覚えていないのです。」

無理もなかろう、とでもいうように、小さく頷くファン。

 

おもむろに、卓の上にある文箱の、蓋に嵌めこまれた漢字の札を嵌めなおしていくファン。

配置を組み変えることで、蓋が開くという、からくり箱みたいな仕組みです。

カチャカチャ、パカパカ、素早く、はめ替えていくファン。

ジェイが呆気に取られていると、ガチャリ・・と解錠完了。

 

箱をジェイのほうに押しやるファン。

 

 

簡単には開かない箱にしまわれていた幽霊の書。

 

 

大きく息を吐くジェイ。

 

ジェイ「(これを手にされた時)どんなにか、恐ろしかったに違いありません」

 

ファンの正面に戻り、「どんなにか、孤独を感じられたに違いありません」と言葉を続けるジェイ。

 

ファン「・・・・・・・」

ジェイは、ファンが、言ってほしかった言葉をくれる人でした。

 

ファン「そうだ。恐ろしかったし、孤独であった」

 

頷くジェイ。

ジェイ「誰と闘えばよいのかわからず、悶々としたものを感じられたことでしょう」

ファン「幽霊と闘えるのか?」

ジェイ「呪いとなら、闘えます。このような紙の恐怖に騙されてはなりません。チョハ、チョハはこのような紙切れではなく、ご自身の運命を作り出すお方ではありませんか」

膝を前に滑らせ、ファンに近寄るジェイ。

ジェイ「私が、お傍におります。」

 

3年間、心から信頼できる人が発してくれるのを、待ち詫びていた言葉だけれど、ただ、この言葉にすがるには、まだ、他にいろいろなことが山積してます。

 

ファン「この手紙を送りつけ、肩を矢で撃ち、そなたの家族を殺し、祝いの辞を改ざんし、ムダンまで巻き込んだのは、だれだと思う?」

ジェイ「え? 四方位事件の犯人が、これら全てのことにかかわっているのですか?」

驚くジェイ。

ファン「ミン先生が亡くなられたちょうどその頃、ムダンは、ケソンの祈祷所に頻繁に訪れていたのだ。」

ジェイ「ケソンに・・ですか? ですが、ケソンには、松嶽山の地勢のせいもあって、たくさんの方が祈祷に来られます。」

ファン「そのとおりだ。 関係ないのかもしれぬ。」

 

ジェイ「・・・今、あのムダンはどこにいるのですか?」

 

牢に入れられ、じっと座ったままの、白髪のムダン。

 

ここで、切ります。

 

★『青春ウォルダム(月譚)』6-2 雑感★

 

ジェイの口から、語られる事件当日のあらまし。

随分、端折ったダイジェストでしたけどね。(苦笑)

事件記録との矛盾は、使用人たちの証言部分がかなりの部分をしめていそうです。

おそらく、これは、後々、総ざらいすることになるでしょう。


ファンがあえて質問している部分は、客観的な視点や事実(砒素の購入記録とか)に基づく矛盾をつくものだったりしますが、それに対するジェイの返答がちょっと弱い気がするというか。

ジェイ(とガラム)以外、亡くなっているというのが、(>_<)

 

怪しげな僧も登場してきたし、少し、登場人物に広がりが出てきた感じがあります。

 

キム家のラスボスは、出てこないのかなぁ?(笑)

 

★『青春ウォルダム(月譚)』6ー3に続く★