かわいいコウモリ、モリオ君（後編）

こんにちは。

ジャズピアニストの太田昌宏です。

昨夜、起死回生を果たし
箱で過ごしたコウモリのモリオは
もしかして喉が渇いていないだろうか。と。

そこで綿棒に水をしみこませ口の付近に当ててみた。

モリオは口をカパカパっとした。

きちんと飲めていたかは定かではないが
水分補給をしてくれたんだと思いたい。

電気を消して暗くしていたせいか
午後には箱の小窓から頭の一部がのぞき
動けるようになったようだった。

歯でガジガジしたような
段ボールのカスが、小さい穴からこぼれていた。

このまま元気に回復すれば
今夜帰してあげられるかなと思いながら
仕事に出かけた。

親指よりも小さなモリオ

演奏の間の休憩中
モリオの事が気になり
家へ電話をかけてみた。

すると…

「モリオ、まったく動かない。」

「お陀仏かもしんない」

との声。

「うっそ、だろぅ～～～・泣」

「何でだよ～～～・悲」

その後の演奏は落胆と悲しみで
あまり集中できなかった。

どんより気分で帰宅し
電気をつけて、箱に目をやると

あれれ

小窓から　フサフサした毛がみえる！

え　移動してきたのかい

じゃ、さっき電話で聞いた状況とちがうじゃないか

パラパラパラ～～～　と