精神科予約で初診まで長く待たされること | kyupinの日記 気が向けば更新

精神科予約で初診まで長く待たされること

中核病院は紹介状がない初診では別途料金がかかる。逆に言えば、別途料金を支払う覚悟があれば、中核病院でも初診は誰でも可能である。

 

しかし精神科に限れば、中核病院でもなんでもない民間病院(有床)に初診を思い立った日に受診することは難しい。わりあいその日に初診できる地方もあるかもしれないが、初診数や入院人数のコントロールなどの理由で、その日には初診できないことの方が遥かに多い。

 

これは他科にはない事態だと思う。特に発達障害や思春期外来などを挙げている病院の場合、数か月待ちはザラである。神経症やうつ病などのありふれた疾患でさえ、すぐに初診できず数週間待たされることが多くなっている。

 

精神科の場合、敷居が高いこともあり、なかなか決心がつかず、極端に悪くなってやっと初診しようとした日にこれである。これは医療的にもかなり問題だと思う。

 

昔はどの精神科病院も空床率が低かったため、突然、入院が必要なほど病状が悪い人は初診させられなかった。初診して入院が必要だった場合、すぐに他の病院を探さなければならないからである。こんな大変なことをするくらいなら、最初から初診を断った方が良い。

 

細かいことを言えば、空床がなにがしかあったとしても、その患者さんに相応しい病棟が満床のこともある。そのようなことから、患者さんの病状の重さが事前に分かっている方が受けやすい。

 

近年はどこの病院も空床はそこそこあるはずだが、それでも突然受診して診察してもらえる確率はかなり低い。

 

うちの病院は以前はオールカマーであった。つまり突然患者さんが外来に来たら、その日に診ていた。ところがそのような話が知れ渡ったことで、けっこう遠くから患者さんが初診で来るようになったのである。初診希望する患者さんがある病院に相談したら、うちの病院を紹介されるからである。

 

その結果、初診が1日4人とかもあり、流石に外来担当医は疲れる。また医師により受け持ち患者数の偏りにも繋がることになる。このようなことから、初診数はコントロールした方が望ましいのである。

 

精神科の場合、主治医交代があまりできないことも影響していると思う。民間病院では初診した患者さんをずっと同じ医師が診ることが多い。担当医が変わるのは特別なケースである。

 

近年は働き方改革などと言うワードがよく語られることがあるが、新患の患者さんがその日に初診できないことは、働き方改革的な面が大きい。(勤務している人の仕事内容がハードになりすぎないなど)。

 

かつて、4人初診して全員、その日に入院したことがあった。それも1度ではなく数回記憶がある。輪番日の深夜に4人入院したことがあるが、これは特別である。

 

これは受ける医師も大変だが、病棟からも苦情が来る。新患はどのようなレベルにあるのかわからないことも多い。院内自殺のリスクも潜在的に上がっているであろう。このようなことも医師は配慮しないといけない。これも看護者の働き方改革的な事情である。

 

一般に入院した直後は、自殺や自傷行為のリスクが高い時期で、突然4人も入院してきたら、どのような事故が起こるか想像もつかない。

 

現在、うちの病院は初診患者は精神保健福祉士が電話で症状を聴いて簡単なサマリーを書く。それを医師が見て、たいてい1週間以内に初診できる。当院では到底無理な人は最初に断っている。当院では無理な人とは、例えばADLが低すぎる高齢者などである。

 

神経症などで働いてるか、今は休んでいても数週間前まで働いていた人は断ることはまずない。このような患者さんはたいてい最初クリニックに電話をかけて初診できるか聴くが、クリニックもその日には初診できないことが多い。

 

そのような人がうちに電話してきたら、運が良いならその日に初診できる。僕の順番の人は大抵、その日かその翌日(休日でないなら)に診るようにしている。待っても4日くらいである。この短さのために他の病院より当院に受診する人が多い。

 

民間の精神病院に初診しようと思う人は、それなりに覚悟と言うか、切羽詰まっていると思うので、患者さんの気持ちを汲んでなるだけ早く診てあげようと言った感じである。

 

患者さんで、自分は少なくとも精神科に入院する必要までないと思う人は、新しく開業した精神科ないし心療内科クリニックに電話してみれば、その日か数日後に初診できる可能性が高い。まだ多くの患者さんがいないからである。

 

安定的に長期間開業しているクリニックは、既にサロン化しており、今いる患者さんだけ診て、新規患者さんを受けることに消極的なクリニックもある。

 

このようなことから、一刻も早く初診したいと思うなら、多くの病院、クリニックに電話してみることも大切だと思う。

 

新患でも例えば10年くらい前に1回かせいぜい3回くらい受診し、それから再診が途絶えた人もいる。これはうちの病院的には再診と変わらないので、基本、来院した日か、希望日に受診できる。

 

その患者さんが初診後10年間、いったいどのようにしていたか非常に興味があるからである。個人的にはむしろ大歓迎である。

 

最近は、突然、外来にやってきて初診できないと知り、大騒ぎをする人が激減した。基本、電話で確認して初診する人が増えていることがわかる。

 

このように大騒ぎをしている人は、やむを得ないので僕が院長として診ることが多い。外来で大声で騒ぐような人がいると、他の待っている外来患者さんが迷惑するというのもある。

 

こちらには何もおかしなことはないと思ってはいるが、精神科は常識が通用しないこともよくあるので、「まあこんなこともあるでしょう」と言うスタンスである。

 

このような患者さんは、とりわけ陰性感情が出ないように診察するようにする。(心証が悪くならないようにと言った感じか)

 

その結果、診察の終わる頃には、本人も和やかな感じになっていることがほとんどである。

 

精神科の初診は他の科と事情が異なっており、新規の患者さんから診ると、変な風に見えているかもと思う。