ある日です。忙しい相談の合間に2年ぶりに見えた方がいました。「少しだけ話を・・・」と通されました。「○○さん!」とすぐ名前が出ました。そばには小さな女の子が

「先生はいつも予約一杯だから、勝手に来ました。2歳になった娘の顔を見せたかったです。おかげで毎日幸せです!」とお礼を言われました。

この方が最初に見えたときのことをよく覚えています。伝統ある家の長男に嫁いで、早く跡継ぎを・・と言われ、20代の若さに体外受精を数回受けました。有名な不妊専門のクリニックの治療にもかかわらず、結果が付いて来なく、心も体もぼろぼろになっていました。顔もホルモン剤の副作用と思われるような、赤い湿疹だらけになっていました。

「最後の望みを漢方で・・・」と思って、相談に見えたのです。漢方薬とカウンセリングがいいと判断しました。1年弱毎月まじめに通ってくれました。そして翌年の春に初めてお腹に赤ちゃんがやってきました。エコー写真でみた「豆粒」、生後一か月のお人形みたいだった赤ちゃん、そして今目の前に2歳になった可愛い女の子が立っているのです!美人ママに似ていて、笑顔いっぱいのとても可愛い子です。

つい手を伸ばして抱っこしました。女の子がたどたどしい乳児の言葉で「あ・り・が・と・う」と言ってくれました。わが漢方人生で一番幸せな時です!うれしくて、幸せで涙が出ました。

ありがとう」は魔法の言葉と言われます。小さな子供に言われると、本当に世界一の魔法をかけられたようです。日々の疲れがうそのように消えてしまいます。こちらこそありがとう!です。