1.株価が上昇中の銘柄を買う事。株価が下がって安くなるのを待ってはいけない。
余りにも抽象的な表現でどの程度の上昇を差すのか分からない。
ピークに近い株価でも買っていいのかという根本的な問題が解決されない。


2.買い増しするなら株価が騰がって最初のポジションに利が乗ってから実行すること。
これについては、理に敵っている。然しながら、本来は利益を確定してから様子を見るかピラミッド型の投資スタンスが望まれる。
詰まり、1000株買って5%上昇したら500株買い増すといった具合だ。
短期間に10%上昇した場合は買い増さずに利益を確定…手仕舞うのが常套。


3.ナンピンしてはいけない。
ケースバイケースで全ての株式には当て嵌まらない。
無論、シャープなどの上場廃止が危ぶまれる様な株は「下手なナンピン、素寒貧」になってしまう。
逆にエプソンなどは、財務内容が良好なのに明らかに売られ過ぎている株はナンピンして大きく鞘取り出来る可能性が高い。
ナンピンは難平と書くが、投資コストを抑えるのはそれほど難しいのは確かである。
要は、根拠もなく将来性のないパナソニックなどの株を四半世紀以来の安値だからと言って闇雲に買い増す様な稚拙な投資は失敗すると言う事である。

4.最高値に近い株を買うべきで、底値圏の株には手を出さない事。特に割安に見える株は駄目。
これについては、統計学上も結果的に当て嵌まるケースが多い。
史上最高値を付けた後に株価が3倍まで跳ね上がる企業も数多くあるが、飽く迄も将来性のあるベンチャー企業に限られる。自動車株やハイテク株など競合他社が渦巻いている業界の株式には当て嵌まらない。
以前のヤフーや現状でのアップルなどがそうだが、アップルは最早ピークアウトしているので、その他の企業を模索しなければならない。


5.値嵩株を買い、ペニー・ストックのような株価が一桁台の銘柄は避ける事。
これに関しては、常識で一桁台の株は近い将来、破綻するか上場廃止になる確率が90%以上…JALが破綻するのが分かっていて大商いがあったが、結局は上場廃止で紙屑になった。

6.買ってすぐに損になったら損が小さいうちに早目に処分してしまうこと。
所謂、ロスカットで理屈は分かっていてもプロスペクト理論が邪魔をして「いつかは戻るだろう」といった自分の失敗を認めたくないという心理から損が拡大していく。兎に角、10%下落したら損切をするといったルールを設けて実行する事だ。
特に空売りの場合は理論上、損失は青天井になるので踏み上げられたら際限ない損失を被るので、買う場合よりロスカットを早めに敢行すべきだ。これに関してはオニールも強く警鐘を鳴らしていて頷ける。

7.PBR、配当利回り、PERは無視すること。
これもケースバイケースで下落基調の場合は、何でも売られるし上昇相場では何でも買われる大衆心理が財務指標を呑み込んで片側にオーバーシュートする。要はモーメンタムが優先する訳だ。
但し、ボックスレンジで膠着しているケースでは、特にPBRは重要な指標になる。
投資に関して企業の財務(ファンダメンタルズ)は重要なファクターである。


8.利益成長の高い銘柄を買う事。
誰でもそんな事は百も承知しているが、どの業種や企業が利益成長が見込まれるのか世界経済が成熟期を過ぎた現状ではスクリーニングを掛ける事さえままならない。
直近では、オンラインゲームソフトのDeNAやグリーがそうなのかも知れないが、既にピークアウトしている。
2年前にそれを見越した投資家が成功者であろう。


9.出来高を伴いながら騰がっている銘柄を買う事。
これについては、常套手段だがリターンが少ないので少額投資家にはメリットが薄く、資産家の長期投資に向いていると言える。
例えば、トヨタなどは技術的には他社のいいとこ取りの猿真似集団で最悪の企業だと思うが、確かに経営戦略は自己保全の為には下請けを殺してでも生き残るという投資先としては妙味があり、上昇時には大商いで下落時にも大商い。
ところが、100万や200万しか手持ち資金がないデイトレーダーには幾らリスクが少なくてもロウリスクロウリターンでは採算が取れないであろう。

10.同業他社の中で利益がいちばんあがっている銘柄を買う事。
これについては、反論の余地がないというか誰が考えても至極当然な手法だが、意外と財務なんかは無頓着な投資家が多い中では余り参考にならない。

以上、オニールを崇拝するのは間違いではないが、こんなに単純で抽象的な心得で投資が上手くいくなら誰も苦労はしないと言う事だ。
特にリーマンショック後の相場は過剰流動性の単純なゼロサムに近いマネーゲームに化しているのでこの様な旧態依然の昔ながらの古き王道手法は成立しない。

重要なのは、投資というのは最早成立せず、投機色が覆い尽くす現状の各市場では個人投資家が成功する可能性は宝くじに当たる位確率の低いもので、資金を溝に捨てるだけだと言う事。
詰まり、トレードなどは堅気の人間のやる事ではなくやくざな生き方だと言う事を肝に銘じて、自分に投資する事が肝要である。                                                                      naniwa-335