作業の後回しで失敗することはよくある。

 

あとで片付けよう、

あとで運ぼう、

あとで撒こう、

あとで印をつけよう・・・

 

大概その時にやっておかないと、忘れてしまったり、

タイミングを逃す。

それだけならいいが、

そのために痛手を受けることもある。

 

 

 

 

 昨年の秋、畑の脇に積んだ稲藁で、

これをやってしまった。

 

脱穀を終えて、藁運びの作業をしている中で、

屋根下にはもう入らない残りの藁を、

翌春に使う予定の畑に軽トラ一杯積み上げて持ってきたのだが、

上にかぶせるシートを忘れてきた。

 

これを「あとにしよう。」と思ったのが始まり。

 

田んぼ作業の後、荏胡麻の収穫、脱穀、大豆の収穫と

押し迫る作業に気がいっているうちに、

そこが家から一番離れた畑ということもあって、

シートのことを思い出しても、ついつい後回しに。

 

そのうち雨が降って、

 

「濡れた直後にかぶせてもね・・・」

 

と、そのままにしているうちに、

さらに月日が経ち、

 

雪が積もり、

 

その頃にはたまに思い出しても、

「まあ、表面の藁束なら使えるだろうし、残りは刻んでもいいし・・」

と、もうシートなしでそのままにしちゃえな路線。

 

(発酵済みの下肥。畑で使うため、各自自分の家にストックしてあったものを母屋に集めた。

 半年以上たっており、乾燥しておりすでに無臭。)

 

 

 そうこうしているうちに、

春を迎えた。

 

そうして、いざ使おうと思って一束持ち上げて

 

 ((゚m゚;)

 

一番上の束ですらたっぷり水を含んだ藁束は、

めちゃめちゃ重い上、

内側の方は黒く変色し、蒸れて半腐れの状態。

 

ピンクのカビやきのこも生えてきていて、

ネズミの棲み家になっていた跡も。

 

これまで使う予定で残した藁を、

畑に剥きだしで放置するようなことはなかったのが、

昨年から田んぼの面積が増えて、急に藁が豊富になった。

 

途端に「まあいいや」という気の緩みが生んだ、この始末。

 

藁って分解遅いと思ってたけど、

ぎゅうぎゅうに縛って重ねた状態だと、

気温の低い間の数か月でも、ここまでになっちゃうのか? (゚o゚〃) !!!

 

という新たな発見もある中での、

さてこの藁、どうしたものか・・・。

 

予定では、こんにゃくや里芋などの

芋類の敷き藁に使うつもりだった。

 

躊躇があったのは、

こんなに傷ませてしまって、

ついたカビやら、分解中に藁からはっしているモノ達が、

そうした芋類に影響はないのか?

ということ。

 

こんにゃく芋や里芋は、ジャガイモと違ってわりとデリケートで、

特に春のあたたかさにあたると、ちょっとのキズからカビがでる。

 

せっかく冬の間、凍らせないで、傷ませないで、と気を遣い、

大切に継いで取置いてきた種芋たちを、

こんな理由でダメにしてしまったら・・・(→o←)ゞ

 

自業自得ではありながら、

さらなる失敗は避けたい。

 

 

 

 

 

 そんなことを考えながら、畑に向かって歩いていたら、

タイミングよく、ちょうどTさんが軽トラに乗ってやってきた。

 

80代のTさんは、私が知りたいような畑のことを聞くと

いつもにこにこしながら教えてくれる。

 

この時も挨拶のため、車を止めて窓から顔を出してくれたので、

早速この藁を使うべきか、やめるべきか聞いてみた。

 

聞いたことを要約すると、

 

昔は縄綯い用や、むしろやわらじを作るための藁は、

濡れないように屋根下や小屋にとっておいたが、

今のようにシートもない時代だし、

畑の敷き藁用は、濡れて傷んだものを使った。

 

重なっている時は濡れて重いが、

広げて乾かせば敷き藁としてなら使えるし、

土の上に置いた藁についたカビが作物に影響するということはない。

(ただし、そのまますき込む場合は別)

 

山の落ち葉が積もったものが自然に朽ちても、

山の根のものが傷まないのと同じこと。

 

芋が腐ったり病気になるのは、

それよりも肥料のやりすぎや、夏秋の長雨が原因・・・

 

ということだった。

 

山の落ち葉の話を交えながらの、

長年の経験と観察からの答えは、

まさにパーマカルチャー。

 

それにひきかえ、

これまで畑をしながら実際に自分でも思ってきた事がするんと抜け落ち、

カビや菌=悪影響と捉えてしまう習慣が、

見事に舞い戻っていた自分に苦笑。

 

 

 

さらに、傷んだものは、秋にすき込む時に分解が速くてかえって良い、

敷くのに広げるにも、少し濡れている方がいいくらい。

とも言われたので、

 

「じゃあ、敷き藁用のものはかえって、

 シートなしで外に積んでおいた方がいいんですか?」

と、思わず聞くと、

 

「いやいや、そりゃぁな、シートがありゃぁ、かけといた方が世話ない。」

と笑って言われた。

 

こんなおバカな質問をする私に対して、

Tさんは終始エビス顔で、

 

「まあやってみりゃ、どうなるってことが解るから 

まずはやってみんさい。」

と言い残して、去って行った。

 

 

 

 

 かくして、

半ば発酵が始まっている積んだ藁を崩して、

数日広げてから、このように畝に敷いた。

 

 

敷き藁を敷くと、急に畑らしくなるから好き♪

 

藁はいつもより黒っぽいけど、

秋の分解の速さに期待をかけて、

気にしない、気にしない。(^O^)

 

Tさんのおかげで心配も去って、

終えた作業を眺める気分も上々 (^人^)

 

 

 必要な場所に敷き終わった後に残った、

ねっちりして分解が進んでいる藁は、

他の畑に運ぶのも大変だし、

その場で「押切り」でカットして、

草よけのマルチや堆肥として使うことにした。

 

これが、刃の押さえにはさまっちゃったり、

そもそも藁束が崩れて手で持ちにくかったりして、

切りにくいことこの上なしヽ(;´Д`)ノ

 

想定の倍以上は、時間がかかってしまったと思う。

 

(「押切り」。「藁切り」ともいう。刃は鋭利で、危なく指先を落としかけたことがある。)

(こちらは、この度の反省を生かして、使ってすぐ研いでしまいました。)

 

 

敷き藁にするのだって、

一度広げて干して、また集める分手間取ったし、

(そのままでは重すぎるし、濡れてて滑るし、運びにくかったため、

 Tさんの言う通り、一度干したのは正解だった。)

 

Tさん言うところの、

「そりゃぁな、シートがありゃぁ、かけといた方が世話ない。」

は、何度も頭をよぎった。

 

しかも、シートがなかったわけでなく、

後回しにしたことから生じたこの不始末 とほほ。(^_^;)。

 

 

やっぱり、作業って、

次の作業を思って、

めんどくさがらず、その場でやらないといけませんな。

 


 GWに入れば、畑作業も本格化。

この反省、これからの作業に生かすべし p(^-^)q。




(コシアブラの収穫も、今年は早め。)