宿をやめてから、うちを会場にイベント事をすることは減って、
今も続いているのは、年末の餅つきと、
春1~2度の友達との醤油搾りと味噌作りくらい。
食事は持ち寄り制にして、
各自分程度の主食と一品。
マイ食器も持ってきてもらうことも随分定着した。
みんなの作業の様子を見ながら、
来た人とおしゃべりもしつつ、私も数品作る。
持ち寄りごはんは楽しい。
自分が普段作らないようなものも出てくるし、
品数が多くて、色んな味があって贅沢だ。
もちろんホスト側としては、かなりラクである。
そうなのであるが、
先日、急遽うちですることに決まった味噌作りの食事は、
集まる人の中には、名古屋からやってくるグループや、旅人もいるということで、
相談の結果、私が作ることになった。
お代を頂いてごはんを作る、
というのは随分久しぶりのこと。
最後の出店以来だから、4年ぶり。
ランチと考えると、7~8年ぶりくらい。
時満くんからは、
カレーとか、すいとんとか、簡単メニューでいいんじゃない?
とも言われたけれど、
時間もたっぷりあるし、
ごはんにお汁におかず数品作ることにした。
ワラビやタラの芽などの山菜はまだなので、
ヨモギや甘草などの野草と、
秋に採って乾燥させておいた山のキノコ他、豆などの乾物、
それとまだ「むろ」に残っている根菜やイモ類を組み合わせる。
こんにゃくは前日に仕込んで、アク抜きに茹でるだけにしておいた。
普段でも、お客さんが来れば
多めにおかずを作ったりすることはよくあるけれど、
やっぱりお代を頂くとなると緊張感がある。
この日は国際色豊かで、
スペイン語と英語が飛び交っている中の作業とごはんで、
ほとんど街暮らしの人達だったので、
野草料理も珍しがられ、
作りたての刺身こんにゃくも人気だったし、
ちょうど前の日に搾った新鮮な生醤油があったのは、
私にとっても、みなさんにとってもラッキーだった。
「この環境で、この台所で、圧倒され続けたまま、
その間で食べるごはん、っていうのがまたいいですね。」
という感想をいただいた。
野菜の味が濃いとか、普段食べない玄米ごはんとか、自家製調味料とか、
そういう違いもあるけれど、
春を迎えて芽吹きが始まった山を前に、
ふんわりした温かい風を受けながら食べるごはん、
かまどから立ち上る香りとか、
山水の甘さとか、冷たさとか、
全部ひっくるめて、うちのごはんの味なんだろうなと思う。
作業を終えたあとのひと休憩では、
左官屋フクちゃんが、
こだわりのコーヒーを淹れてくれた。
コーヒーミルも、温度計までも持参していて、
淹れながら、この東ティモール産のコーヒー豆について
語ること、語ること(笑)
そして、語りに負けず淹れてくれたコーヒーは、香り高く、
フクちゃんの思いもプラスされて、本当においしくて、
1日の働き分を労ってもらった感覚になった。
フクちゃん、ありがとう~♪
(一度寒さに縮こまっていた菜の花が、たくさん採れ始めた。)
宿のあと数年続けた仕出しやランチ、出店は、
準備の大変さや間の緊張感がキツくなっていった。
決まったメニューやレシピで作るのが苦手な分、
その場勝負な場面が多くて、自分を追い込んでしまったのだと思う。
今回久しぶりに作ってみて、
みなさんに喜んでもらえて、
私自身、とても充実した時間をもらって、
持ち寄りごはんもいいけれど、
頼まれれば、たまになら、
全部準備してお迎えするのもいいな、
と思い直すことができた。
そして宿時代ほどでなくても、
こうやってうち会場の味噌作りや醤油搾りを、
今後また少しずつ増やしていってもいいかも、
ということも、夫婦2人で考え始めている。
ということで、
これを読んで、ほぉ~♪ と思った方がいましたら、
来年にむけてご相談ください。