LME社長室
「古賀くんには『泥中の蓮』を降りて欲し
い。」
社長のローリィの言葉を古賀はにわかに
信じられなかった。
「宝田社長、撮影だいぶ進んでいるんです
が？」
「判っている。それでも君に降りて欲しい
のだ。」
「僕に何か落ち度がありましたか？」
古賀には冗談と笑えない話だ。
「ない。勿論、これほどのことを頼んで
いるのだから別に用意しているものはあ
るよ。」
古賀はごくりと唾を飲み込んだ。
まさか菓子折りに小判とか？？
「君の考えているものとは違うが、俺の
用意しているのは2020東京オリンピック
のメイン司会だ。」
「！！」
あまりに想像と違うものだったので
古賀は回答できなかった。
「暫く、考えさせてください。」
数日後。
「なに考えてんの古賀さん、ムカツク！」
朝比奈の言葉にキョーコも頷く。
「体調不良はあり得ないですよ。古賀
さん、ロケ弁二人前たべていたのを私
見ました。」
「ラグビーワールドカップ見て俺もオリン
ピック実況したいとか言ってたよね。」
「言ってました。驚いたので、それを私、
敦賀さんと社さんに話しちゃいました。」
「不幸中の幸いは敦賀さんがスケジュ
ール調整できたことかな。」
「うんっ///」
End
2019.10.13加筆修正