「最上さん、すきな人いるのかな？」
蓮は『泥中の蓮』試写会を一緒にみて
いたキョーコに唐突に尋ねた。
「い、いません。ど、どうしてそんな
こと…。」
キョーコは狼狽えた。
「紅葉の志津摩を想う気持ちは、演技を
超えてる。」
断言する蓮にキョーコは凍りつく。
「実際に恋をしているか、志津摩役の古
賀くんを好きになったか…」
蓮はキョーコを見つめながら回答を
待った。
(…不破じゃないよね？古賀くんでもない
よね？誰？貴島くん？村雨くん？誰でも
許さないけど。)
「あ、あのっ」
キョーコの頭はパニック状態だ。
(…判ったの？敦賀さんに見破られた？
どうして…ええぃ！)
「コーンですっ、コーンとキスした時の
ことを思い出して演技しましたっ！！」
キョーコは顔を真っ赤にして叫んだ。
蓮に馬鹿にされてもいいのだ。
妖精でも男性には違いないし。
蓮の名前を出して困らせたくない。
キョーコは上目使いに蓮を見た。
(…嘘ついちゃった。敦賀さん怒ってる
かな)
キョーコが目にしたのは神々スマイル
を浮かべる蓮だった。
「いいね。」
蓮はキョーコを引き寄せ、濃厚な
キスをした。
「あの…もしかして」
キョーコの問いに蓮は頷いた。
「俺はコーンだよ。」
End
加筆修正2018.5.19